Life is wonder
僕の好きなバンド『LOST IN TIME』には『Life is wonder』というアルバムがある。
そのアルバムの紹介でボーカルの海北さんは「人生はビューティフルでもワンダフルでもなくワンダー(不思議)だ」と語っている。
僕がカメラを始めたのは数年前、ドルヲタの僕は好きなアイドルグループ『ゆるめるモ!』が初めて撮可ライブを行ったのがきっかけだ。
ツアー初日の大阪、当時の僕はコンデジしか持っておらず設定もよく分かっていなかった。せっかく、最前列が取れたのに結果は惨敗…。
その悔しさから一念発起、次の名古屋公演ではSONYのミラーレス一眼α6000を購入し、設定に四苦八苦しながら本番に備えた。でも、その日推しのあのちゃんは急遽お休みにになった…でも、たくさんいい写真は撮れた。
そこから日に日にライブを撮ることにのめり込んでいった。当時は大阪に住んでいたので、毎日のようにどこかで行われている撮可ライブを撮りに出かけていた。
そうしているうちに今度はもっといいカメラが欲しいと思うようになり、一念発起しSONYのフルサイズミラーレス一眼α7iiiを購入。途端に撮れ高が爆上がりし、更にライブを撮る楽しみが大きくなった。
人間どんどん欲が出てくるもんで今度はアイドル以外にもロックバンドを撮りたくなってきた。しかしながら、バンドで撮可はほぼ皆無。仮に撮可だとしてもおおっぴらにはアナウンスはしていないのが大半だ。
ある日、Twitterを眺めているフォロワーさんがリツイートしたこんなツイートが目に飛び込んできた。
「今回のワンマンライブはライブ撮影OK!SNSで拡散してくれ!」
HPの注意事項をなめるように観たが一眼はNGとは書いてない…よし行こう!
そのバンドの名前は『HERE』。
ライブ当日、上手に陣取れた自分はいつものライブよろしく楽しみつつバシャバシャ撮る。ライブ後、せっかくなので課金しつつ撮った写真をメンバーに見せようと物販に出向く。
撮った写真を見せるとボーカルの尾形回帰さんはまじまじと僕の写真を見ながら、こっそりとこう言った「実は今日のライブ、ライブ音源を出すんだけどその盤面に写真使わせて貰えませんか?」と。
秒で快諾した。
後日頂いたのがこれ。
自分が撮影した写真が形になるなんて…嬉しかった。
後日、そのライブに行った人のブログでこんな文章を見かけた。
「今後、大阪のHEREライブの時に専属カメラマンして欲しい。売り込んでいいと思いますよ。」
その言葉で僕の心は燃えた。その後、僕は毎日のように「ライブカメラマン 募集」でTwitterを検索しまくった。
そうこうしているうちに、また別のフォロワーさんのリツイートでとあるツイートが目に飛び込んできた。
「4/29京都、4/30大阪、俺たちのライブを撮ってくれるカメラマン募集!大したお礼はできないが俺たちを練習台にしてくれ!」
即、今までに撮ったライブ写真を貼ってリプライを送り、結果撮らせてもらえることになった。
2019年4月29日、場所は今はなき京都VOXホール。その日僕は初めてスタッフパスをもらいライブを撮影した。
そのバンドは北国からやってきた四人組、ダブルサイズベッドルーム。
ちなみにこの写真は去年、シングル『フォーエバーヤング』のジャケットに使ってもらった。
その後もHEREやダブルサイズベッドルームとのお付き合いは続いており、今でも来阪時にはライブを撮らせてもらっている。
ある日、僕はいつも通りアイドルイベントに出かけていた。そこでヲタク仲間であった鉄平さんが声をかけて、思いもよらぬことを僕に告げた。
「今度、プロデュースするアイドルグループのデビューライブがあるんやけどそれ撮ってくれへんかな?」
それがsui suiとの出会いであった。その後すぐに公式とメンバー全員をフォローした笑
2019年6月21日、SOCORE FACTORY。
sui suiデビューライブ、ライブハウスの動員歴代2位という大盛況振り。
ライブ後、特典会の時間になりフロアに様子を見に行くと、特典会はまだ始まっていないのに長蛇の列で、鉄平さんをはじめ運営チームの皆さんが大慌て。自分はライブの撮影以外、特に何も頼まれてなかったがつい「よかったら手伝いましょうか?」と言ってしまった。普段は撮られる側だが、撮る側もめちゃくちゃ楽しかった。
その後の神戸でのお披露目ライブも終わり、ライブハウスでの打ち上げにも参加させてもらった。
翌日、買ったCDを聴きながら写真を現像し、ライブを反芻していた。
sui suiのライブすごかったなあ…
めっちゃ盛り上がってたやん…
売れて欲しいなあ…
応援したいなあ…
「また撮らせてもらえませんか?」と鉄平さんにLINEしていた。
sui sui、ライブ3本目はお披露目の翌週サンホールでのフロアライブ『ファイトクラブ』。この時はスチールではなくムービー撮影。その時の動画はMV『S.U.I』に使われている。
終わった後、僕はほぼ勢いで鉄平さんにこう言った「これからsui sui手伝わせてもらえませんか?」
後日、「採用決定やで!おめでとう!」と連絡をゼロツさんからもらった。嬉しかった。
そこから、目まぐるしく日々は進んでいった。その中でも特に印象深いのがギュウ農フェスクロニクルブックの撮影、大きな舞台に舞い上がってしまい山ほど失敗してしまってたくさん迷惑をかけてしまった。またチャンスがあればリベンジしたい。
2020年1月、sui suiは6月にデビュー1周年ワンマンを開催することが発表された。ただのお手伝いの僕は何も知らず、受付でメンバーやお客さんと一緒に驚いていた笑
しかし、その後新型コロナウイルス感染拡大によりsui suiは活動自粛を余儀なくされ、そのワンマンライブも中止となってしまった。
ある意味伝説となった無料配信ライブから数ヶ月後、ある日鉄平さんから連絡があった。
メンバー脱退の連絡だった。
それから1ヵ月後、僕はとあるスタジオに居た。目の前には百鬼朱紀、猫戸彩凪による二人のsui sui。
リハーサルの様子を見て、僕は震えた。四人から二人になってパワーは半減しているどころか、むしろ倍になっていた。二人の後ろ姿から並々ならぬ気迫が伝わってきた。
その後、sui suiの再始動が決まり、僕がアーティスト写真を撮ることになった。はじめてのアー写。
再始動したsui suiはライブを重ねるごとに大きく成長していった。その裏側ではいろいろなことがあり、体制も変わり、決してスムーズな道のりを歩んではこなかった。
僕自身やらかしてしまうことが多々あり、幾度となくめちゃくちゃ怒られた。正直、しんどいことの方が多かった。
でも、sui suiの二人を応援したい。全身全霊で感情をむき出しにして歌う二人の姿は唯一無二。そのsui suiが大きなステージに立つところを見届けたいって気持ちがあったからこそ続けて来られた。その気持ちは今も変わっていない。
新メンバー募集を経て、sui suiは2021年3月13日に新体制お披露目ライブを行う。
僕は平日は普段の仕事のため、レッスンなどはほぼ顔を出さない。だから月一程度のペースで観る度にメンバー全員が著しく成長していて毎回度肝を抜かれる。みんな血の滲むような努力を重ねているのだ。
sui suiは最強の二人組から最強の五人組になった。
これからも僕は彼女たちの歌がもっともっとたくさんの人たちに聴かれるよう、たくさんの人たちの前でライブが出来るよう応援していきたい。もちろん自分も日々彼女たちに負けないように努力しカメラの腕を磨いていく。
ここに名前が挙がったHERE、ダブルサイズベッドルーム、sui sui…それ以外にもたくさんのバンドやアイドルのライブを撮影させてもらった。先日は僕がカメラを始めるきっかけを与えてくれたゆるめるモ!をオフィシャルで撮影させてもらった。様々な縁が結びついて今日の自分がいる。音楽が好きで写真が好きな僕は、これからも色々な人たちのライブを撮り続けていきたい。
カメラがきっかけで、僕の人生は大きく変わった。ある意味、カメラに人生を狂わされたといっても過言ではない。
人生は不思議だ。