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人食いバクテリアと夢十夜 クラフトコーラの夢

意識の無い約2ヶ月半の間にこんな夢を見た。

その店は幅5m程度の小さな川沿いの静かな小路にあった。入口には「クラフトコーラ」の立て看板のある小さな店。重い引き戸を開け10畳ほどの店内に入ると、瓶詰め生姜や謎スパイスの瓶が左右の壁一面の棚に並んでいた。正面には小さなカウンターがありその上にはiPad。そして、カウンターの向こうには、女店員がひとり立っていた。胸元に赤いハートの刺繍のある白いTシャツを着て、黒い無地のキャップを被り、後ろのポチポチボタンで調整する部分の上の隙間からは、ひとつにくくった長い髪が垂れていた。コーラをひとつ注文すると、透明のレトルトパックにコーラシロップが1/3ほど入ったものを手渡され、「今ここで飲むならここにソーダを追加し、ストローもお付けしますがどうしますか?」と彼女は言った。店内でそれを飲んだ。一口目の印象は薬膳感の強いドクターペッパーだった。薬膳コーラを片手に、他に客も居ないので軽く彼女と話をしていると、「今から家でスペシャルなジョイントパーティがあるけどよかったら。うちはすぐ近くだし、もう店を閉めるから待たせないし、このコーラとガンジャは最高よ」と誘われた。二つ返事で下心を小脇に抱え私たちは彼女の部屋へ向かった。そこは20畳は超えるであろうワンルームで対面のキッチンがあり、高い天井との間には開放感のある中二階があった。
私と彼女はソファーに座りビールで乾杯した。音楽はTROJANレコードのラヴァーズ・ロックコンピ。酒を飲みながら彼女は私に、余裕のある男と結婚していること、音楽が好きだということ、マリファナはほとんどやったことが無く、今回は1本だけ譲ってもらったこと、友人も誘ってるが来るかわからないことなどを話した。とりあえず、友人をもう少し待ってみようということになり、ウィスキーで乾杯をした。彼女と私の物理的な距離は吐息を感じるほど近くなっていた。私はいつ彼女の髪を触るかタイミングを謀っていた。

世界が暗転した。暗闇の中でサイレンが鳴り響く。空襲警報や工場内の火災警報の様な不快かつ大きすぎる音。2つの赤い回転灯もまわっている。機械的な男性のアナウンスが。「後7分で空気が無くなります。避難して下さい。後7分で空気が無くなります。避難して下さい」と繰り返す。体が重くなり、呼吸も苦しくなっていた。私は体を支えられずソファーから床に転げ落ちた。床にはまだ空気が残っているようで、ここならば少し時間が稼げると思った。彼女は何事も起こっていないように笑いながら話し続けている。
私は彼女に、「マウンテンデューは無いか」尋ねた。無ければ急いで買ってきて欲しいと懇願した。マウンテンデューがあれば助かると思った。
彼女は無表情になり「いいけど」っと部屋を出ていった。しばらく床をのたうち回っていると、いよいよと空気がなくなってきた。『こりゃまじでやべぇな』と感じたところで、意識を失った。


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