2次情報に注意
藤田医科大学が2021年8月25日に発表した、新型コロナウイルスのワクチンの接種後の抗体の量について。2次情報を見ると相当な違いがあることに注目したいと思います。
共通に読み取れること:
・抗体の量は4回調べた((1) 接種前、(2) 1回目の14日後、(3) 2回目の14日後、(4) 1回目の70日後)
・(3) の時の抗体はその前に比べて多くなっていた(別発表あり)
・(4) では抗体の量が(3) の平均で1/4になっていた
しかし、抗体量の減少と発症や重症化予防との関係はどうなのでしょうか?例えばNHKのタイトル
ファイザーのワクチン 3か月後抗体量低下も発症予防効果持続
を見ると、効果は続いている、と読み取れます。しかし他のソースを見ると少しニュアンスが違いました。そこで今回は、2次情報を4つ比較してみます。NHK東海、メ〜テレニュース、日経新聞、共同通信です。(各記事文章の一部のみ記載)
はじめはNHK東海です。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2586M0V20C21A8000000/
ファイザーのワクチン 3か月後抗体量低下も発症予防効果持続
3か月後には2回目の接種後に比べて平均で4分の1ほどに減少したということです。
その一方、新型コロナウイルスの発症を予防したり、重症化を防いだりする効果は保たれているとみられるということです。
メ〜テレニュース https://www.youtube.com/watch?v=8YwMy5bFzjI
「1回目の接種から3カ月後の抗体の量は、2回目の接種から14日後と比べ、約4分の1にまで減少しました。」「ワクチンの効果が時間とともに低下している可能性があります。」「抗体の量の減少がどの程度ワクチンの発症予防効果に影響しているかは、今後も研究が必要だとしています。」
続いて日経新聞記事です。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2586M0V20C21A8000000/
一般的に抗体の量はウイルスへの感染やワクチン接種によって増えるが、その後急に下がる。感染を防ぐのに十分な抗体の量は分かっておらず、今回の結果から感染などのリスクがどのくらい変化したかは判断できないとした。また発症や重症化を防ぐ役割をもつ「細胞性免疫」の変化は調べておらず、3回目の接種が必要か判断するには不十分だとした。
共同通信記事https://nordot.app/803210568083111936?c=39550187727945729
70日後コロナ抗体量大幅減
「2回目接種から約14日後と約70日後の抗体量を比較したところ、約4分の1まで減少」「土井洋平教授はウェブ上の記者会見で「ワクチンを接種した方が抗体量が多くなるのは間違いない。接種を受け、重症化や入院に至るケースを減らしていくことが引き続き大事だ」と強調した。」
以上を比べる限り、NHKのニュースのタイトル「3か月後抗体量低下も発症予防効果持続」、「新型コロナウイルスの発症を予防したり、重症化を防いだりする効果は保たれているとみられるということです。」は、共同通信による「ワクチンを接種した方が抗体量が多くなるのは間違いない。接種を受け、重症化や入院に至るケースを減らしていくことが引き続き大事だ」という部分や、メ〜テレニュース後半の文章と関係しているようです。つまり
・70日後に抗体は減少するが、それでも接種前より多い
・ワクチン有効性の変化はわからない
ということは発表の中で述べているようです。さらに、どのくらいリスクが変わるかわからない(日経)、というニュアンスがあったのでしょう。
それに対し、記者の解釈が加わります。よくある曲解が、
効果が下がったかどうか、わからない → 効果は下がっていない
と理解してしまう例です。それが今回、2次情報の一部で起きているのではないか、と推測します。以前、「「今はわからない」と言えることの重要性」の悪しき事例のようにも思えてなりません。
なお、この状態で行うべきは、一次情報を探すことです。情報確認の鉄則です。しかし残念ながらこの記事を書いている時点ではプレスリリースがまだ見つからず、2次情報だけで書きました。