数学を学ぶということ
珍しく、これいい!と感じたニュースがありました。イギリスで18歳まで数学を必須化する、というニュースです。数学・統計、そしてデータと日々接している私からすると、そのとおり!と膝を打つ感じでした。
振り返って日本ではどうでしょうか。今回は、この記事に対する感想などを書いてみます。
スナク首相は、データについても触れているようで、さすが数学の重要性をわかってらっしゃる、と感じた記事でした。ゼロを発見し、ラマヌジャンを出したインドに関係が深い方だからなんでしょうか。
(日本も16歳位で数学を勉強しなくて進学できるが、と思いつつ)
日本の数学の教え方が問題なのではないか:
ある時、大学で教えている内容を高校の教員に説明した時、その教員から
と問われたことがあります。これには、正直驚きました。絶望感を感じたと言っても良いでしょう。
点数のために勉強させる?
就職に有利だから勉強しろと?
こんな考えを持つ教員に数学を習ったら、数学(だけではないく学ぶこと)を面白く感じるはずがない。数学は積み上げなので1つ躓いたらなかなか先に進めない。こうして数学が嫌い、分数ができない生徒が増え、数学は計算だけだとの思い込みが量産されてしまうのだ、と思いました。
数学を学ぶことの重要性を感じない人もいる:
別記事(下記)「英スナク首相 18歳まで数学“必修化”を発表」のヤフコメの上位には、肯定的な意見が並んでいました。数学を学んで使っていることを実感している人だけでなく、もっと勉強しておけば良かった、という感想もありました。
しかし後ろになるにしたがって、否定的な意見が並んでいました。否定的な意見が出るのは想像どおりです。数学を無意識に使っていることにさえ気が付かない人は、こんな考えを持つだろうな、というものばかりだからです。だから曽野綾子のような人物が出てしまうんですね:
世の中で数学がどのように役立っているかを知らないと、こんなことが言えてしまう。そして「二次方程式の解の公式」が一時義務教育内容から外されてしまいました(今は復活)。
文系・理系の区分:
網羅的に知っているわけではありませんが、文系だから数学は学ばなくて良い、という考えの国は日本以外にあるのでしょうか?文系なら数学を学ばなくて大丈夫、という考えは何処から来るのでしょう?
文系学問と言われていても、アンケート調査をしたり、社会調査でデータを分析する場合があります。また、1%の利上げがどれだけ住宅ローンの返済額に響くのか。新型コロナの感染者数が何もしなければ指数関数的に増加する、放射性物質の量は指数関数的に減少するなど、少しでも理解できれば自分の行動を決める時に役立つ時もあります。勉強しておくことで、将来の生き方を変えるかもしれない。それが学問だと思います。
ところで、同じニュースを別のソースで見ると、少しニュアンスが違うと感じました。勿論感触ですが、この記事はいわゆる「文系」記者が書いた文章なのかも知れません。
「住宅ローンの契約や貯蓄の金利を見つけることができる」をわざわざ切り出しだしていますが、メリットというより当然の話。(記事を3つ見つけましたが、この記載はこの記事のみ。)数学=計算と考えている人の典型。「文系」の人も、数学的素養が必要だ、という例のように見えます。
そして感じるのはもう1つ。
両論併記すれば良いという考えが蔓延している:
記事最後の「物価高騰に絡めた批判の声も上がっています」は、今の日本の両論併記することが中立だ、という考え方を反映していると思いました。
この記事を書いた人も、子供の時にしっかり学ぶということが、その人の一生に与える影響が大きいことは知っているはず。特に数学は若いうちに学ばないと、歳をとってからの学ぼうとしても、なかなか難しいことを知らないとしか思えません。
このnote は「データを大切に」としています。本当は、数学・統計がどのように役立っているかをまとめたい、という意図を持っています。でも重要性を主張するだけではダメだと思ったからデータにフォーカスしようと思っています。
今回は、その初心を思い出させてくれるニュースを読んだ気がしました。