できるだけ速やかにデータを開示して欲しい
新型コロナ関係のデータはどこまで信頼できるのでしょうか。データを大事に考え、判断したいと常々思っていても、どこまで信頼して良いものか、疑問に思ってしまいます。
統計データ(集計)は遅れることがあります。多くの場合、「速報値」として発表されるのは、ある意味仕方がありません。第4波の大阪のように、しばらくリカバーできない状態が起きることもあるでしょう。その場合でも本来は、できるだけ速やかに情報を修正するとともに、修正履歴の記載もあるべきでしょう。
少し主題から外れますが、GW頃の大阪では統計が破綻していました。そう判断できる理由は、死亡発表日が死亡日よりかなり遅れている、発表が少ない日の後に多い日が時々ある、という点。さらに陽性者数も途中で長い間頭打ちだった時期があることからも、ほぼ確実です。
第5波のピークは、平な所がほとんどありません。通常の感染モデルではこのような形になるはずです。
つまり陽性率の高さからも推測されているとおり、第4波大阪の本当の感染者数は、これよりかなり多かったはずだ、と考えられます。(検査していないので、データを修正する手立てがない、というのも問題です)
一方、今回の記事。
オリンピック開催中に東京で入院できない状態が続いたことは記憶に新しいですね。記憶だけに頼らず、その頃の感染者数と入院者数、そして死者数を数値で確認してみましょう。(データは東洋経済:新型コロナウイルス国内感染の状況からたどるれる都道府県別の発生動向を使いました。)
東京で8月31日と言えば、新規感染者数が5000人を超えたお盆のころを経て、ピークを越えたように見え始めた時期です。しかし、入院患者数は、新規感染者数が減ってもしばらく増え続けます。そのグラフがこちら。ピークは8月21日。
続いて死者数。さらに遅れることがわかります。(但しこれは恐らく発表日別なので、増えたのはもう少し前である可能性があります。)
ということで、8月31日頃がどんな状態だったのかを思い出せると思います。確かに感染者数は減り始めたようだ。でも絶対数はまだ第4波までのピークよりも多い。陽性者が減ったのは検査が減ったからなのではないか。入院は難しい。死者も多い。そして、さらにこれからパラリンピックが開催される。こんな状態でした。
1か月も経ってから情報を出すということから想像できることは、できれば最後まで隠蔽したくない、少なくとも危機の真っただ中では隠しておく、ピークが過ぎたと人々がギスギスしないであろう時期まで待った、という解釈以外、何が考えられるでしょうか。
少なくとも、納得できる遅れた理由の説明はあったのでしょうか?
オリンピック組織委員会は、発信する情報を信頼して欲しいと考えているのでしょうか?(今後の、オリンピックの費用関係の情報が信頼できますかね、これで)
ところでこの例は、以前のデータ開示側に求めたいことで書いた、
(1) 合理的なフォーマットで
(2) 正確な数字が定義と出展と共に
(3) 漏れなく
(4) 定期的に
(5) 常に同じ場所で 公開されているか
という議論にさえ達しない事例ですね。実はこの5項目、北欧の国の誰かの発言例として教えて頂いたものです(出展不明)。日本ではさらに追加で「(0)できるだけ速やかに」という項目が必要なのではないかと思った次第です。