Covid-19死者数、全死者数、予測死者数の比較

ずっと気になっていたCovid-19死亡者数、全国の死亡者数、そもそも予測される死亡者数のデータを整理し、比較してみました。

結論:
・Covid-19死亡者数が発表の3.2倍と仮定すれば、2022年の超過死亡はほぼ説明がつく(県別では異なる数字になる)
・ワクチンの影響はわからない(影響がないとは言っていません)
・2023年1月の死亡者数は、2022年12月(15.8万人)よりさらに増え17.8万人になる可能性がある

今回は、Covid-19で発表された死者数全ての死者数、そもそも予測されていた死者数の3つの数字を比較します。データは全国、月別のデータを使用しています。
・Covid-19死亡者数は発表日別なので多少のずれはあります。
・全国の月別死亡者数は、2022年12月分まで発表されています。(速報)
・そもそも予測される死亡者数は、2012年~2021年のデータからの回帰分析で行った推定値です。

例えば下記グラフは、全国の死亡者数のうち、12月分をプロットしたものです。2012年から2021年までのデータは水色、2022年は赤丸で示しました。赤い点線は回帰直線です。これを使えばそもそも予測されていた死者数(概数)がわかります。(赤丸から下に線を引き、回帰直線と交わった所が予測値)


下記は、そもそも予測されていた死者数、実際の死者数、Covid-19で発表された死者数を、2020年から月別に計算した結果グラフです。
赤い線が全国の月別の実際の死亡者数、青い線が(上で説明した)そもそも予測されていた死者数、黒い線が発表されているCovid-19死亡発表数です。黒い点線は、青の数値にCovid-19死亡発表数を加えたものです。(2023年分は、実際の死亡者数が未発表ですので、得られる情報だけを記載しています)

1倍


もしもこの黒い点線が赤いグラフと重なれば、すべての死亡の原因が自然死とCovid-19死亡の合計と言える可能性があります。しかし、グラフから確認できるとおり、その値は一致しません。超過死亡が、発表されているCovid-19の死亡者数だけでは説明できないことを意味します。特に2022年はその差が顕著です。

そこでCovid-19死亡者数を何倍すれば、黒い点線が赤い線に近づくかを確認してみました。2021年のデータでは1.1倍、2022年は3.2倍という数字になりました。1.1倍は見た目はほとんど上の1倍と同じですので、3.2倍に修正したグラフを示します。(2021年は本来より大きな値で補正したことになるため、点線が赤より上に来ています。2022年部分だけに注目してください。上とのグラフの違いは点線部分のみです。)


3.2倍

3.2倍という数字で、実際の死者数をある程度推定できているようです。しかし良く見ると、死亡者数が多い8月9月では点線が赤より上振れ、少ない時は逆になっています。医療提供体制のひっ迫度合いと関係する可能性があります。超過死亡のかなりの部分が感染を捕捉できていないために起きているという可能性は十分あると言えるでしょう。ワクチン接種との関係性が指摘されていますが、このデータからではわからない、と言うしかありません。

続いて同じ情報から、2023年1月2月の推定について考えてみましょう。これまでの例では、12月の死亡者数よりも1月の死亡者数の方が多くなっています。さらに2023年1月・2月のCovid-19の死亡発表はそれぞれ10,880人、4,087人とかなりの数になっています。ですから、同じ数式に当てはめると、1カ月当たりの実際の死者数推定は、グラフ内に示したように、1月で178,267人、2月は135,077となります。今後発表される1月の死亡者数が過去最多になる可能性もあるので、注目したいと思います。


考察1:超過死亡が、発表されているCovid-19の死亡者数だけでは説明できないことは、知られています。検査が足りていないため、感染していたかどうかわからない、という可能性は否定できません。このため、最初に行うべきは、検査がどの位足りていないのか、Covid-19死亡者数をどの程度の割合で捕捉できているか、になります。上で述べた「Covid-19死亡者数が発表の3.2倍と仮定すれば、2022年の超過死亡はほぼ説明がつく(県別では異なる数字になる)」この線で行った推定です。

考察2:
「Covid-19死亡者数が発表の3.2倍と仮定すれば、2022年の超過死亡はほぼ説明がつく」は非常にラフな近似です。この3.2倍にどのくらいの根拠があるのか、そして近似で捕捉できない部分を詳細に分析していく必要があります。例えば同じ情報を県別に分けて確認し、さらにワクチン接種歴等を確認すれば、2次要因としてワクチンが関わっている可能性は否定できません。
しかし今のデータでは、情報が荒すぎてワクチンとの影響は見えてこない可能性も十分あるでしょう。それでもなお、仮説として
 「ワクチン接種→感染→死亡」
 「ワクチン接種→持病等発症→死亡」
 「ワクチン接種→死亡」
といった流れは否定できませんので、情報を注視していく必要があると思います。

医学を中心にしたエビデンスと、詳細な情報が出てこない限り、残念ながら、統計でわかることはこの程度かも知れません。
統計って決して最強ではありません。直感としてわかっている、わかるかも知れないことを数値化するだけ。この点を意識しながら、それでも少しづつ分析を進めてみたいと思っています。


データのソース:
人口動態統計速報
・東洋経済ONLINE 新型コロナウイルス国内感染の状況