「下げ止まり」の解釈は?
新型コロナ新規感染者数が下げ止まる、とはどんな状況を言うのでしょうか?
増加に転じたことがわかれば、少し前に下げ止まっていた、と解釈できるでしょう。しかし、まだ減少中、増加はしていない。その場合でも下げ止まりを判断する方法はあるのでしょうか?
実は実効再生産数を見ていれば、わかります。
数学で言うと、一次微分は増加・減少の速度を教えてくれますね。一次微分の微分である二次微分は、増減の傾向の変化を示します。例えば ax^2+bx+c で表現された2次関数では、二次微分はaの2倍、aは二次微分の半分です。aが正の時はグラフは下に凸、負の時は上に凸と習うのは、つまり二次微分の符号で凸が上向きか下向きかがわかる、という意味です。そして二次微分の値が正であれば、たとえ今は減少していても、このままの傾向が続くなら、いずれ増加に転じることがわかります。一次微分の値が負であっても、一次微分の値自体が増加に転じている(=二次微分が正)と、いずれ増加に転じる、ということです。
新規感染者数のモデルの場合は、事前に対数変換が必要ですが、考え方は全く同じです。一次微分が実効再生産数。増減の傾向を教えてくれます。そして実効再生産数の変化が、兆候を示してくれます。実効再生産数が増加に転じると、そのトレンドが続く場合、いずれ新規感染者数が増加に転じてしまう、ということになります。
実効再生産数が(1以下であっても)増加に転じたら注意!
実効再生産数が1を超えたら、すでに増加中!
ゼロコロナにならない限り、増減を繰り返すのは当然でしょう。仕方がないことかも知れません。しかし増減を繰り返すならば、増加の兆候をいち早く把握し、大きな波にならないように対策することが重要なはず。「下げ止まりの傾向」と報道することは、この兆候を捉えたことからの注意喚起と考えれば良いと思います。
そのためにも、データ。だから検査の拡充を!