「PCR検査を推奨しない」は社会を壊す
2020年4月、すでに「PCR検査を推奨しない」という方針が示されていたことを最近になって知った。
PCR 検査の原則適応は、「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺
炎を強く疑う症例」とする。軽症例には基本的にPCR 検査を推奨しない。
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PCR検査が増えない実態から、増やさない圧力があることは感じていた。どんな理屈でこうなるのか、ずっと不思議に思っていた。
最近やっとおぼろげながら、理由が見えて来た。それは、例えば
http://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/chat_in_the_den/222_20180305/
にあるように、多くの病気は軽い、自分で直せる病気は自分で直そう、という考え方が基本にあるようだ。今の日本の医療体制は非効率的だ、無駄をなくそう、という主張らしい。
その考え方をPCR検査と新型コロナに当てはめるとこうなる:
・無駄に病院に来るな、自分で治せ (←ほとんど軽症・無症状だから)
・むやみに検査しコロナ確定するな (←PCR検査は不正確、信じるな)
・重症化したら入院OK (←ひどくなったら仕方がない)
コロナと確定されなければ、風邪だと思って病院に来ない。軽症なら自分で治せと言っておけば、病院が満杯にならない。重症化した人は入院させられる。つまり医療崩壊しない。
そしてさらに良いことに、医療費が削減できる。これこそ地域医療構想、医療費適正化構想にぴったりだ。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/index.html
にわかには信じがたい。しかし最近、開業医はもうけ過ぎだ、既得権だという議員が出始めた。コロナ禍真っ最中に病院を減らしたり、今から減らそうと計画している自治体もある。ジェネリック医薬品への点数を下げ(だから不正が起き、薬不足になる)。とにかく医療費を削減しようとしていると考えれば、辻褄があう。すべて同じ流れ。
「医療費適正化」と名前を付けているが、「適正」は判断結果だ。誰が判断しているかを考えれば、「適正化」の本質は削減だと容易に理解できる。
つまりPCR検査という今人類が手にしている最適な検査方法が、医療費適正化という名の医療費カットの旗印の元、抑制されてしまった。
しかしPCR検査を抑制した結果、無症状者・軽症者が野放し。感染が広がり、重症者や死亡者が増えた。後遺症の人も多い。社会的な損失は計り知れない。それでもこの判断の妥当性が検証されないのが、日本の限界だとつくづく思う。
そして財政改善が必要だと行われて出てくる施策は、いつも弱い立場の人へ直接的に影響することばかりだ。ますます弱いものは弱く、強いものは強くという格差が広がってしまうだろう。そして中間層がいなくなると、社会が、民主主義が機能しなくなる。
・データ(情報)を集める。
・集めたデータ(情報)を改竄しない、破棄しない。
これこそが現代社会の根幹だとつくづく思う。どちらが欠けても社会は壊れる。嘘を打破する根拠がなくなり、嘘が蔓延し、悲劇が起きてしまうのだ。