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データリテラシーについて考える

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数学・統計を元にデータリテラシーについて考えるためのヒントです
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#新型コロナ

コロナ重症化率、インフル並みか

いよいよ、「コロナ重症化率、インフル並み 厚労省が分類見直し議論」となったようです。もうすぐ3年にもなる、そろそろ何とかならないかという期待から、コロナはインフル並みだと思いたい人も多いでしょう。しかし情報を正確に読み解くためには、自分が期待から情報を取捨選択していないかを常に意識することが重要です。その上で、データを元に客観的理解しようと努めること。この視点から、今回はコロナはインフル並みかを考えることにしました。 初めに、もう1つ、私の立場を明確にしておきます。怖いと確

「マスクに意味がない」という主張の意味がわからない

日本人世界一マスクを着用しているのに感染者数がすごい、だからマスクは意味がない、と主張する人がいます。「世界一マスクを着用しているのに、陽性者数は世界最悪」。 いろいろな人が違うよ、と言っています。マスクを外している時に感染している、自然免疫を持っている人が少ない、日本だけが多いわけではない、などの説明が試みられています。実際、いろいろな仮説はあります。しかし真の理由はまだ解明されていません。少なくとも万人が認める詳細は、まだわかっていません。 しかしその前に、この主張は何

「傾向は認められるが有意性は確認できない」の意味

言葉を正確に理解するには、知識が不可欠。それがはっきりわかる例の1つが、この「傾向は認められるが有意性は確認できない」だと思います。 最近目にするのは、多くの人が関心を持っているであろう新型コロナウイルスの治療薬、塩野義製薬のゾコーバと、少し前の富士フイルムのアビガンだと思います。ゾコーバについては、「塩野義のコロナ飲み薬なぜ承認されない? 薬学の識者が語る「課題」」で説明があります。例えば「薬の効き目は微妙なところがあり、データを見ても有効性はすっきりとは示されていない。

根拠はないが、予測をしてみた

最近の陽性確認者の増加は、1日ほぼ10%になっています。1週間ならほぼ2倍。これが指数関数的増加の恐ろしさ。この先どうなってしまうのか。ところで前々から、陽性確認者数の各波のピークをつなぐと、指数関数的に増えていないか?それにあてはめたら、第7波のピークが何処まで増えるかを推定できるのではないか。データのみからの単純な推定ではありますが、それでも確認してみる価値があるかと思い、少し考えてみました。 下は、日本の陽性者確認数(7日移動平均)を片対数グラフで示したものです。赤が

新型コロナ発生届のフォーマットを6/30付けで変更、接種回数を記入できるようにしたら、「未記入」の割合が減り2回接種者の比率が増えているとか。東京都の発表からわかるらしい。(データ未確認) https://www.mhlw.go.jp/content/000958882.pdf https://twitter.com/xjR1BqbrppuegLj/status/1543585601760686081

女性セブンが「ワクチンを打った人の方が新型コロナに罹りやすかった」という記事を書いた。40代、60代、70代が罹りやすいと。これで1年前の人口データを使っていることがわかる。この記事を読むと、逆に80代以上はあたかも効果が続いているように理解できてしまう。まずいんじゃないか。

なぜ1年前の人口データを使うことが問題なのか

「未記入を未接種に」問題には続きがあります。年齢階級別人口データとして1年前のデータを使って人口当たりの陽性者数を示すと何が問題なのかを、改めて整理してみようと思います。(内容はこれまで書いたものとほぼ同じ。あまり整理できていないと感じたので、補足説明を加えながら整理してみました。) 結論: ・未記入を未接種とすることで、未接種の感染者数が多く計上していた ・1年前の人口データ利用により、高齢者のワクチン効果が高く見えている ⇒データを操作しようとしても、結局どこかで破綻す

データサイエンスの前に、開示側のデータリテラシーが不可欠

データを扱ってきた立場からすると、今の「データサイエンス」や「デジタル化」推進で行われていることは、全く理解できません。デジタル化の前に、正確なデータが存在し、情報が正しく管理されずに何ができると思っているのか。。。それを実感することができる、内容も新型コロナに関する講演を聞いたので、紹介してみることにします。 講演はこちら:2022/6/3    基調講演・対談 国立情報学研究所オープンハウス2022 注目したいのは、永井良三氏の基調講演です。講演は映像の52分から約

記事のタイトルと中身の乖離:緩和ではなく事実上の空港検疫やめる宣言

あまりにもタイトルのミスリードがひどい。先週のニュースですが、今日もNHKで繰り返していたので、メモとして残します。 政府 陽性率に応じ空港検疫緩和で調整 自宅待機免除も 2022年5月18日 18時21分 新型コロナの水際対策をめぐり、政府は、来月から空港などでの検疫措置を、これまで入国時に行われた検査の陽性率に応じて緩和する方向で調整を進めていて、数値が最も低い国や地域から訪れる人は、ワクチン接種の有無にかかわらず、今後は、検査などを免除するとしています。 新型コロ

なぜ話がかみ合わないのだろうか

どうしてもわからないこと、として幾つか書いてきましたが、なぜかみ合わないのか。それは、話の前提が違うからだ、としか言いようがないのかも知れません。どんなことでも、議論を深めたいなら、何を元に何を話すのか、すなわち何を前提と考えるかを確認しなけれは始まりません。 ということで今回は、前提について考えます。 このプロセス、前提をしっかり考えることは、とても大事です。自分が何を根拠に、どんな方向で考えを組み立てているのかを振り返ることになるからです。 個人的に大事だと思うこと

数えること

ある時、数学は計算だと思っている人が意外に多いことを知りった。数学が暗記科目だと思っている人も多いとか。他にも、分数の計算(割り算)はできるのに、分母が大きくなったら結果は小さくなるという感覚を持っていない人も、意外に多いらしい。砂場での遊びが少ないと、量が増える、減るなどの基本的な感覚がないという話も聞く。 そして全ての基本は数えること。 統計に限らず私たちが何かを判断し行動する時の基本は、何かを数えること。数えることで現状を把握。予測して次の行動を決める。結果を評価し

どうしても理解できないこと

新型コロナ・ワクチン関係で、どうしても理解できないことがあります。新型コロナは風邪のようなものだという考え方です。 前提として、   「最悪を想定して最善を尽くす」 という考え方をとります。これは言い換えると、    (1)不明なことは危険だと仮定して警戒、(2)危険がなければ(3)警戒を緩める ということです。 (1) わからないことが起きたら、まずは最悪を想定して慎重に行動、できるだけ危険かも知れない状況から遠ざかる (2) できる限り様々な立場の人からの情報を収集して

最悪を想定してみよう

最悪を想定して最善を尽くす。よく言われることです。最善を尽くすのは得意な人も多いと思います。しかし「最悪を想定する」は、想像力が必要だし、自分の願望を意識することが必要なので、意外に難しいことなのかも知れません。 今日は「新型コロナは風邪のようなもの」という考え方について、最悪を想定していると言えるかを少し考えてみたいと思います。 新型コロナを風邪のようなものだ、と言う主張があります。確かに本当に風邪のようなもの、インフルエンザ程度のものかも知れない。否定しません。でもま

「騙されやすい人は「相関と因果」をわかってない」という記事、そのとおり!! 前提もなく、断言する「専門家」は怪しい。その他の主張もいちいちもっとも。でもなぜ新しい記事がないのか。3記事しかないのか。 https://toyokeizai.net/articles/-/410761?page=2(あえてリンクは2ページ目)