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データリテラシーについて考える

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数学・統計を元にデータリテラシーについて考えるためのヒントです
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2022年6月の記事一覧

基本を知らずに発言して、「平均余命」の意味を誤解する人を増やさないで欲しい

今日は少し違う話題。今炎上しているらしい「余命投票制度」の話題です。取り上げようと思ったのは、平均余命とは何かを知らない人がこの議論を聞いたら、悪い影響しか残らないと思ったからです。 ポイントは3つ。 (1) 平均寿命100年はあり得ない (2) ポイントとしている計算は、余命ではない (3) 平均寿命より長く生きる人のポイントはどうするつもりなのか? そして前提として知っておきたいことが2つ (a) 平均寿命と平均余命 (b) 「人生100年時代」で厚労省が何を言って

女性セブンが「ワクチンを打った人の方が新型コロナに罹りやすかった」という記事を書いた。40代、60代、70代が罹りやすいと。これで1年前の人口データを使っていることがわかる。この記事を読むと、逆に80代以上はあたかも効果が続いているように理解できてしまう。まずいんじゃないか。

なぜ1年前の人口データを使うことが問題なのか

「未記入を未接種に」問題には続きがあります。年齢階級別人口データとして1年前のデータを使って人口当たりの陽性者数を示すと何が問題なのかを、改めて整理してみようと思います。(内容はこれまで書いたものとほぼ同じ。あまり整理できていないと感じたので、補足説明を加えながら整理してみました。) 結論: ・未記入を未接種とすることで、未接種の感染者数が多く計上していた ・1年前の人口データ利用により、高齢者のワクチン効果が高く見えている ⇒データを操作しようとしても、結局どこかで破綻す

データサイエンスの前に、開示側のデータリテラシーが不可欠

データを扱ってきた立場からすると、今の「データサイエンス」や「デジタル化」推進で行われていることは、全く理解できません。デジタル化の前に、正確なデータが存在し、情報が正しく管理されずに何ができると思っているのか。。。それを実感することができる、内容も新型コロナに関する講演を聞いたので、紹介してみることにします。 講演はこちら:2022/6/3    基調講演・対談 国立情報学研究所オープンハウス2022 注目したいのは、永井良三氏の基調講演です。講演は映像の52分から約