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緩和医療学会認定医試験2024 受験記録-追記


はじめに

先日緩和医療学会の認定医・専門医試験があり受験してきました。
受験に至るまでに準備したことや勉強方法や試験当日の様子を綴ります。


自身のスキルアップを目的に緩和医療学会に入会しようと決断したのが2022年の年末。最短で資格試験を受けたいけれど年会費を安く済ませたいと考えたケチな私は学会の会計年度が5月1日から4月30日であることを調べて、2023年5月1日に入会しました。


緩和医療学会の認定医・専門医の申し込み期限が7月末であることから逆算すると5月1日から受験申し込み日期限の7月31日までの間に入会すると年会費が1年分安くなるという算段です。


注釈:試験申し込みまでの学会入会期間は認定医で半年、専門医で2年が必要ですのでご注意。(2024年から専門医制度が改定されておりますので学会ホームページで詳細はご確認ください。)

申請準備

受験申請に際して、認定医は「痛み」「身体症状(痛み以外)」「精神症状」「社会的な関わり」「スピリチュアルな関わり」の5つの症例報告書の提出が必要です。

私は消化器外科が専門なので、がん患者の終末期はたくさん診てきたつもりでしたが、消化器症状以外の症例報告を作成するのにとても苦労しました。。。

SpiPas!? 関係性の喪失!? せん妄の診断基準!?
ってか「社会的な関わり」ってなんのこと!?

勤務している病院の緩和ケアチームでは症例報告に使えそうな経過がないか日夜目を光らせておりました。


自身が慣れている消化器がんの消化器症状の症例については丸1日あれば作成できましたが、「精神症状」「社会的な関わり」「スピリチュアルな関わり」は1例作成するのに3日程度かかってしまいました。。。(GWがそれで潰れたことは今でも悔しい。。。)しかも結局バタバタして最終日に申請するというお粗末。。。

試験対策

筆記試験の出題範囲はホームページにも記載されている通り、
基準となる教科書として、「専門家をめざす人のための緩和医療学(第2版)」、Oxford Textbook of Palliative Medicine(第 5・6 版)、学会から既刊されているガイドライン、学会ニューズレターのジャーナル club(申請年の前年 1 月~12 月発行分)等を参考に出題されます。

正直、Oxford Textbook of Palliative Medicineは一切勉強しておりませんが、専門家をめざす人のための緩和医療学(第2版)は何度も繰り替えし読みました。今年は受験の前に第3版が出版されており、ちょうど今年の緩和医療学会総会に参加した際に見つけたので、「これは買わねば!!」と購入して第3版でも勉強してました。


でも結論から言うと第2版だけでもよかったかもしれません。
あとは過去問を知り合いのツテでできるだけ多く集めて勉強するのがよいと思います。また各種ガイドラインも参考までに通読しました。


あとは学会ニューズレターのジャーナル clubは一応読んでおきました。

最初は過去問があまりに難しすぎてちんぷんかんぷんなのですが、ひたすら何周もすることを心がけました。そして自分なりに教科書を参考にノートに要点をまとめ、それを自宅の壁を相手にして説明するというアクティブ・リコールを繰り返してました。

履歴書など受験申請に必要な書類を揃えて、ウェブ申請を済ませると1ヶ月程度で書類審査結果が通知されました。例年ほぼ100%の方が書類審査は通過するので怖くありません。

ただし注意が必要なのはこの際症例報告書は審査対象外となっており、後述する筆記試験に合格した受験者のみを対象に症例報告を審査するようです。
このため筆記試験は合格したのに症例報告で落ちたという話を耳にしたことがあります。

書類審査後

試験は全国に設置されているCBTセンターで行われます。書類審査に合格するとメールで通知がきて後日自宅に郵送で通知がきます。そこにはCBTセンターのログインに必要なアカウントIDとパスワードが記載されております。これを使って全国のCBTセンターで受験予約を自分でしないといけません。

私は通知が届いてからすぐにログインしましたが、受験予約ができる日時が設定されておりすぐには予約できませんでした。このため予約開始当日になってからログインしましたが、私のお目当てのCBTセンターはすでに予約で満席でした。(まだ申し込み開始から6時間しか経っていないのに!?)

今年は専門医制度が改定されてから学会として認定医・専門医を増やそうという流れで受験資格を緩和しているので受験者数が多いのかもしれません。ちなみに去年の受験者は190人とのことです。

私は申請できる最終日の7月31日に申請して(よく考えると怖いですね)、
申請番号の下3桁が400番台だったので受験者が倍増しているかもしれません。

試験当日


試験前日は早めに就寝し、気持ちを落ち着かせます。試験当日は早めに会場についたので近くのカフェで腹ごしらえ&最終確認。

辺りを見回すと受験者らしき人が教科書を読みながらコーヒーを飲んでいるではありませんか。悟られないように様子を伺うと、教科書は付箋やマーカーの形跡もなく新品同様みたいでした。こういう時、心の中で「勝ったな」とわけのわからない自信をつけたりする愚かな自分がいます。。。

トイレを済ませてから会場に赴き受付を済ませます。受付すると自分の名前の確認とログインIDのようなものを渡されます。試験当日の持ち物は身分証明書のみです。腕時計やスマートフォンは外してロッカーにいれるように指示されます。

会場では20人くらいの受験者が丸椅子に座って待ってました。パーティションで分けられた隣のスペースにも受験者がいましたが、おそらく同時刻に開催される別の資格かなんかだと思います。受験者は皆ある程度年齢がいってるように見えました。(失礼)

時刻になり「一蘭の味集中スタイル」(わからない人はすみません。。。。一度食べてみてください)みたいな、パソコンと椅子だけの座席に着席するように促され、受付で渡されたIDで自由にログインして受験を開始します。開始ボタンをクリックしてから丁度90分で終了です。

(ちなみに途中退席はできません。トイレ退席もできません。退席🟰終了とみなされます。)

問題は60問。「あとで見直す」ボタンがあるので回答に迷うような問題はボタンを押しておくと見直しやすいです。選択形式は5つの選択肢から1つあるいは2つを自由に選択する問題ばかりで、2つ選択する問題は迷う問題も多かったです。臨床問題も5ー10問くらいあった気がします。過去問と類似の問題も10問程度ありました。

私は時間を目一杯使いましたが、終わってから辺りの残っている人数をみると皆ギリギリまで残っている人が多かったです。参考までに学会のホームページには去年の合格率が載っています。


認定医試験が終われば専門医試験受験者のみ30分の休憩があります。専門医受験者は休憩後さらに90分の筆記試験があります。専門医試験受験者に聞くと、長丁場で疲れたとのことでした。。。(しかも専門医試験合格者は秋にコミュニケーションスキルが問われるWeb面接試験があるようです。。)

試験が終わればあとは合格を祈るのみ。去年のTwitterでは11月1日に合格報告しているツイートをみかけたので、今年もそのあたりでしょうか。
今回自分自身の記録のためにも受験記録を投稿しました。

来年は専門医試験を受けようかと思案中。ちなみに認定医を経由しなくても専門医試験を受けられますし、認定医に合格したことでアドバンテージは特にないと思います。認定医試験の際に提出した症例報告書をそのまま専門医試験にも引用できることくらいでしょうか。(学会の専門医Q&Aをご参照ください)

終わりに

  • 年会費を節約したければ会計年度を意識して入会を検討

  • 認定医は半年、専門医は2年の会員期間が必要

  • 症例報告は結構大変なので前もって準備を

  • みんな時間ギリギリまで回答してるので気持ちは一緒

追記

9月22日に受験して、10月24日に郵送で合格通知が届きました。通知書にはCBTマークシートの自分の点数や、合格者平均点、合格者の最高点と最低点などが記載されてます。あとは症例報告の総評が書かれてましたが、自分のものではなく全体としての総評が書かれていました。噂によると不合格の方には少し早く通知が届いて、症例報告もダメだったところについて具体的に記載されているという話を聞いたことがあります。

以上体験記でした。これから受験する人の参考になれば幸いです。













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