過去の栄光は積極的に手放す
どんな時代でも生き残るリーダーの仕事 1章-5(該当ページ:34P)
過去の成功の延長にイノベーションはない
人間は「習慣の動物」とよく言われるが、ビジネスシーンでその傾向は顕著であり、イノベーション の阻害要因となることが多い。
・効率の悪い今のやり方で8時間
より
・効率的なやり方に変えた1時間
の方が人は苦痛を感じる。
僕らは幼少期からの教育で、盲目的に同じことを繰り返すことに疑問を感じにくい。そもそもその行為に意味があるのか、効率的なのかを疑うことから避けてきていると思う。
アナログ→デジタル→アナログ→デジタルの衝撃
以前勤めていた会社でこんなことがあった。総勢500名のアルバイトの勤務管理は各自が記載した出勤表。通信環境・コストを考えるとこれは仕方ない。問題はこの手書きの出勤表(アナログ)を、エクセルに落とした(デジタル化した)後の話だ。
50名それぞれの管理者が10名。それぞれのやり方で、項目もバラバラのエクセルデータを、サイズの異なる紙に印刷(アナログ化)して経理に渡す。
受け取った経理はサイズ・項目違いの印刷された紙を見ながら、一件一件、勘定ソフトに手入力(デジタル化)していく。
長年のやり方であろう。ミスなくやるために、各色マーカー、定規を置いて、着実にやっていた。これは社内における成功体験であり、栄光でもあったと思う。
その状況を目の当たりにした時、何が起きているのか、当初は理解できなかった。本人もその周りの社員も役員も、誰もこのことに触れない。カオスだった。
CSV読み込みにより2秒で完了
恐る恐る異なるやり方を提案する。
「エクセルデータをインポートすればすぐ終わると思いますよ」
と聞くと
「そんなわけないでしょ、このやり方が一番早いのっ」
本人と柔和にコミュニケーションをとりながら、数ヶ月かけてインポートできる準備まで持っていった。彼女の見る前で、csvデータを選択して、インポート開始。わずか数秒でインポートが終わり、彼女がいつも打ち込んでいた必要項目が、画面に綺麗に並んでした。
苦虫を噛み潰したような表情。怒りにも似た表情だったが、次の瞬間、一気に緊張していた表情が崩れ
「わたしは首になるのでしょうか?」
と言われた。2014年のことだった。今でも忘れられない記憶だ。
過去を否定する勇気と実行力
あくまで社内業務の一例である。実際はこれが会社・組織においては、難なく上げてきた売上かもしれない。
これまでの成功例や経験則に疑問を抱くことはなかなかに難しい。うまく言っていれば問題意識を感じにくくなるのは当然だからだ。
ヒントはマーケットにおけるちょっとした変化だと思う。ユーザーは何も言わずに日々変容している。今まで以上に品質、スピード感、使い勝手を求め、その嗜好にフィットしないサービスや商品は置いていかれる。
大切なのはふとした時に、本当にいま勤しんでいるサービスや商品はなぜお客様が買ってくれているのか? これからも求め続けるか? 類似サービスの動向は? と危機感を持たねばならない。
どの会社に所属しているかより、いま何ができるか?
これは所属している会社や役職にも同じことが言える。転職や起業が当たり前の世の中になり、会社の肩書きだけで生きていくのは困難だ時代だ。
偉いから仕事ができるとは限らない。10年前の古びた栄光にすがっていては、マーケットからも社内からも瞬時に不要になる時代だ。
過去ではなく、いま何ができるか? 厳しいようだがそれが現実。歳はとっても好奇心を失わず、チャレンジングな日々を送りたいものだ。
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