山里さんのこと、あまり好きではなったという話
もちろんキライなわけではないんです。ものすごく思慮深い人だし、優しくて思いやりがある人なのも知ってます。
あまり好きになれなかった理由、実は長年ずっと考えていたんですが、いくつかあって。
ひとつは、こじらせ続けてグニャングニャンになった自意識のもつれが、言葉の端々に感じてしまうところ。
「自分に自信なんてないけど、劣等感を必死で隠しながら道化を演じてるんですよ」
という演出が透けて見えてしまうところ。
きっと、誰かがボケたとき、山里さんの頭の中ではいろんなツッコミのフレーズが浮かんでいて、高速で取捨選択をして、その中からあえて自分のキャラクターである「劣等感を抱えた男」としての言葉を選ぶんだと思います。
すごい回転の速さです。ドロドロの自意識と劣等感のなかで、コンプレックスと向き合い続けて、ようやく手にしたオリジナリティだし、誰にでもできることじゃない。
やっぱりバラエティ番組で、山里さんいると安心感ありますもんね。ちゃんと話を転がしてくれるし、オチをつけてくれるし。
だから、もっと自信を持てばいいのにって思うんです。もっとストレートに言いたいこと言えばいいじゃんってずっと思ってました。
恨みや妬みを抱えた自分を常に頭の片隅に置いておくの、もうやめれば?
これだけ売れてるのに、まだ劣等感っていう土俵から出ないの?
いつまでモテない卑屈キャラを演じるわけ?
そういうとこがダセーよ。
とね。文字にするとハンパなく失礼ですね。本当にごめんなさい。
でも、そういった印象もあって、毎日欠かさず聞いてるTBSラジオのJUNKも、水曜だけはスルーしがちだったんですよね。
(そういえば『天才はあきらめた』読んでないな。読んだらもっと理解できるのかもしれないし、山里さんについてこういう話をするなら必読ですよね、すみません。今日買って帰ります)
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もうひとつ、これは実体験なんですが、すごくピリっとした場面に出くわしたんですね。
6年か、7年くらい前かな、取材をさせていただいたときのこと。
インタビューはとても楽しかったんです。(といっても、芸人さんの取材でおもしろくなかったことないんですが。)
でも最後に撮影をするとき、急に山里さんの顔が怖くなって。
「あと何枚っすか?」「ポーズ言ってくんなきゃわかんないっす」って。
いやぁ、しびれたなぁ……。
いま冷静に振り返れば、山里さんは午前は別の現場で仕事して、午後に収録(4本撮りだった気がする)した後の取材だったし、もう日付変わろうとする時間だったし、そこから1Hがっつり話して、それで撮影でしょ。
こちらの段取りが悪かったのかもしれないし、カメラマンとの相性が悪かったのかもしれない。
しかも、ピリっとしたのはほんとに一瞬。その瞬間以外は終始、笑顔で優しい方でした。
ちなみに、山里さんは各所で「撮影が苦手で」って明かしています。
もう10回くらい聞いたな、いろんな番組や媒体でその話してるの。
いかに撮影が苦手かって話を聞くたびに、「もういい年なんだから撮影ぐらい慣れてくれよ!」って毎回思ってました。
たぶん、山里さんにあまり良い印象がなかった理由はそのふたつ。
ちゃんと整理すれば、まぁたいした理由ではないですね。そんなきっかけで苦手意識を持たれたら、タレントさんもたまんないよな。重ね重ね、すみません。
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それが、ですよ。
一体なんですか会見での山里さんの魅力は!!!!!
「劣等感を滲ませるのが俺の芸風だし」みたいなナナメった態度がまったくなくて、ただまっすぐに、蒼井さんを守ることだけに集中した言葉の数々!
最高でした。
できるじゃん! 山里さん、できるじゃん! 「卑屈キャラ」っていうリングから飛び出して、誰も傷つけずにちゃんと笑わせてくれる自由な言葉を、いつも通りのスピードで言えるじゃん!
感動しちゃったな。
しかも、あれだけ撮影嫌いを公言していた山里さんのフォトセッションがノーカットで観れるの、眼福じゃないですか。えっ、いまだにそんなドギマギするの? 最近もいつもそうなの? 今回はやっぱり緊張してるから?
勝手にドキドキ、ヒヤヒヤしながら見ました。「もっと笑ってー!」「がんばってー!」って手に汗握ったね。
それで、昨夜の「不毛な議論」。
山里亮太、男を上げた結婚会見 ラジオで語った本音「みなさんのおかげで夢がかなっています」https://www.excite.co.jp/news/article/Oricon_2137052/?p=3
「実は結婚はすごく悩んでいて。というのも、ラジオでそんなのとは逆の人生の話をしていて。そういう人たちを妬んできていて、幸せになることがあんま良くないかなと思っていて。何か幸せになったら、リスナーのみんながオレのラジオを聞く意味なんかなくなって、楽しくなくなるかなとずっと思っていて、結婚することが…ごめんなさい、怖くて」
「でも、ある時リスナーが店を開いたって言って、飯食いに行って、それで『いつか、誰か好きな人できて連れてきて、でもオレが幸せだったら裏切られたってなるもんな』って言ったら、そのリスナーが『いや、ボス。僕らはみんなボスが幸せになる日におめでとうって言える準備できています。ボスの不幸だけでラジオを聞いている訳じゃないんで、気にしないで、好きな人ができたら、自分のところに来て飯食ってください』って(言ってくれた)」
「自分って、たぶんこう人に対しての恨みつらみとか、そういうのでしか笑いを取れないんじゃないかっていう恐怖があったけど、こうやって今日とか、リスナーが節目の時に『そんなことない。そんなのでオレたちはついてきているんじゃないぞ』っていうことを言ってくれたおかげで、その声が聞こえて、好きな人ができた時に結婚しようという選択肢ができました。本当にみなさんのおかげでいろんな夢がかなっています。(略)そして、僕と結婚してくれた蒼井優さんに感謝しながら、もっともっと精進しますので、これからもよろしくお願いします。ありがとうございました」
泣くわ! 泣くわ〜!!!
「お前なに普通に感動ラジオやってんだよ! ボケろよ!」ってツッコみたいし、小馬鹿にしたい気持ちもあるんだけど、泣くよ。最高です、山里さん。
そうしてたどり着いたこれまでの山里さんのスタイル、やっぱりすごく尊敬するし、幸せになって満たされてからの山里さんも、きっとまた新しいおもしろさを見つけて、楽しませてくれると思う。
末永くお幸せになられることを、お祈りしています。
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ひとつ思い出しので、追記。
むかし、ある女優さんと仕事をしていたとき、タクシー移動の車中、マネージャーさんがこんな話を女優さんにしてたんです。
Mg「やっぱり結婚するなら、みんなに祝福される相手じゃないとダメだよ。こないだ結婚したDAIGOさんと北川景子さんが理想よ」
女優「あー確かに。でも、あのおふたりくらい祝福されるカップルって次は誰なんだろう。あんなに理想的なカップル、なかなかいないですよね」
その日から3年半が経ち、“誰からも祝福されるカップル”、アップデートされましたね。改めておめでとうございます。
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