社長は孤独か…
よく、「社長は孤独だ」と言われます。経営のことを相談できる人がいない、最終的な責任を負わなければならないということからだろうと思います。
本当に孤独なのか…そんなことを考えてみました。
そもそも社長の仕事とは…
前職(典型的なサラリーマンでした…)の方とお会いすると「社長って何やってんの」と聞かれることがあります。
前職は大手百貨店でした。今はどうかわかりませんが、マネージャークラスに近くなると、担当する売り場の計画を立てるわけです。階層が上がるにつれて、その範囲と時間軸が変わってきます。階層が低い若手といわれる頃は、来週のこと(どんなキャンペーンがあって、どんな商品をクローズアップするのか等)。少し上がると、翌月のことを考えます。さらに階層が上がると、翌シーズンのことを考えるようになります。さらに上がると、翌シーズンと翌月の部署全体→部門全体→館全体というカタチで範囲と期間が広がっていきます。
当時は、春夏シーズンと、秋冬シーズンの大きく二つに分かれてました。簡単に言うと、真冬に翌夏のことを、真夏に翌冬のことを考えていたわけです。内容はどんな商品があって、どんな売り場展開にして、どんなキャンペーンを仕込むのか。さらにトレンド(色とか柄とか)はどうなっているのか、そしてどんなお客様をターゲットにするのか…なんてことを考えるわけです。このシーズンの計画を「シーズンプラン」といっていました。
社長になって、よくよく思い返すと、毎日「シーズンプラン」を考えているようなものなんだなと感じます。前職の方々はこう説明するとすごく納得してもらいました…。
人によって多少違うかもしれませんが、足元も大切ですが、どちらかというと先こと、少なくとも1年以上先のことを考えることなんだと思います。
経営について考える時期…
毎日「シーズンプラン」を考えているとは言いましたが、日常的に会社経営について考えているのか…結果的にはそうかもしれませんが、私の場合は、波があるように思います。それではだめだといわれるかもしれませんが。。。
やはり、決算の前後は非常に深く考えることになります。数字が固まってくるにつれて、結果を踏まえて来期どのようにしなければならないかを考えなければなりません。取引金融機関への説明もありますし…。
さらには、私の場合、決算の状況を踏まえて経営方針というのを作成して社員に発表するようにしています。タイミングの関係で、10月末に決算情報と来期の考え方を金融機関に説明しつつ、年に1回、年明けに社員にまとまった時間を使って発表するようにしています。
なので、年末に向けた今の時期が1年で最も経営について考えていると思います。
すべての責任を負うので、当然真剣に考えるわけです。誰かに相談できるわけでもないし、自分で判断して方向性を出していくしかありません。そういう意味では、やっぱり孤独なのかもしれません。
先ずは、社内の情報収集から
経営の方向性を考える中では、いろいろ情報収集をしなければなりません。
当然ながら、現在の状況については各担当から情報を収集していきます。私の手元に集まる情報(主に数値上の資料ですが)を長いスパンで精査して、どうしてそうなっているのかをあらかたあたりをつけ、それを確認することになります。
そういう情報収集は様々な場面で行います。主に会議や、ミーティング等ですが、一番ためになる情報が得られるのは、雑談です。一昔前では、飲みながらといったところですが、昨今の事情によりなかなかそうした機会は作りづらくなりました…。
ふらっと、担当者のもとに行って話をする。会議のようなかしこまった場でもないので、立ち話程度でもためになる話を聞くことができます。(相手はどう思っているかわかりませんが…)
そうした意味で考えれば、話し相手というか、話を聞いてもらえるというのは重要なんだなと思います。
ヒヤリングをしているのに、結果的に話しながら自分の考えを整理しているのかもしれません。5分ほどの時間ですがスッキリしたりします。そんな話し相手がいれば、孤独ではないのかもしれません。
社外の情報収取
社内のことは社内にヒヤリングをするのですが、内ばかり見ていてもなかなかよい考えに至らないところがあると思います。
社外に目を向けると様々なつながりがあります。社外研修やセミナーをはじめ、業界、同業者の会合、取引金融機関の会合、母校同窓のつながり(小中高大の同窓会、OB会、経済人の集い等々)、学生時代のスポーツ(私の場合はバスケットボールですが…)でのつながり、元の職場のつながり…といった具合で人とのつながりは少ないほうではないと思っています。役職柄も含めてですが、こうしたつながりの中から、様々な方々とお会いする機会が多くあります。
例えば・・・
金融機関の会合などでは、同じ立場の経営者の方々がたくさんいらっしゃいます。業種は様々ですが、私と同じような中小企業の経営者の方々が集まるわけで、そうした会合等でお話をすると大変勉強になります。大先輩の経営者の方々からは、中小企業ならではの経験、壮絶な体験談を伺うことが多く、また、自分がわからないことや状況等を相談させていただくとご自身の体験談を踏まえてアドバイスをいただくことができます。しかも皆さん話が上手くて、面白い!そして声がでかい!
そうした経営者の集まりのなかでは私の年齢はちょうど中間あたりになります。最近では、私より若い経営者、次世代の経営者の方々とお話をする機会も多くなってきました。社長歴は私より長い方もいらっしゃいますが、これからという方々もいらっしゃいます。自分のそうした年代を思い出しながら様々お話をするのも大変面白く、若い方々の感覚みたいなものは大変参考になります。
一方、同業の業界の方々からは、経営に直結する、貴重な情報をいただけたりします。知らないと損したり、スルーしてしまうような、サポートの情報だったり、補助金などの直接的な情報交換ができたりします。実際に、お話をもらって自社に戻り、対応したようなこともありました。
いろいろな団体や企業が研修やセミナーを開催しており、そのあとに懇親会がセットになっていることが多くあります。昔は懇親会には出ずに帰るようなこともありましたが、直接情報交換ができ、生々しいお話を伺える分、セミナー本体よりも、懇親会的な集まりの方が役立つことが沢山あると私は思っています!
情報収集のシーン
同じ経営者としての目線や考え方はなかなか社内では聞くことができません。外に出ていくとが必要になります。
業界、業種等様々違いはありますが、皆さん大変お忙しい中と思いますが、迷ったとき、悩んだ時にも時間を作って相談に乗ってくださいます。
うすうす皆さんも気づいているともいますが、こうした経営者の方々との情報収集の場面は、大半はアルコールを伴った懇親会付きの会合の場面であったり、ゴルフをしながらといった場面がほとんどです。
まじめなお話をする時間もありながら、ざっくばらんにいろいろな話もすることができます。特に、ゴルフは(フェアーウェーにいることさえできれば…ですが)長い時間を共有するので本当にいろいろな話をすることができます。このような場面でお話をすると、自社の経営の参考になるお話を伺え、アイディアが生まれてくることがあります。大変ありがたいことですし、そうしたときは孤独を感じることはありません…。
でも、会社に戻れば、自分で判断しなければならず、すぐ孤独になるのかもしれません…。
人脈の大切さ
こうしたように、様々なつながりがあり、人脈は少ないほうではないと思っています。顔は広い方かもしれません…。最近では、子供の学校等の親同士の関係(いわゆるパパ会)も出てきてさらに広がっていくようにも感じています。
個人的には、広く浅くなってしまうことをいつも自戒しています。
いろいろありすぎて、話のネタも覚えられない。以前に連絡をもらっていたり、意外な関係性の情報をもらっていて、今度会ったときに話そうと思っていても、覚えていられない。いざ直接お会いしたときに、すっかり忘れていて家についてから思い出す…なんてことも多々あり、こうしたことが広く浅くということにつながっているようで、本当に情けなく思ってします。
話し上手な方々は、どう対処しているのか…何か良い方法を教えてもらいたいですね。
忙しいってどういうことか
付き合いが広く浅くなる、話のネタを覚えていられないは、忙しいからなのか…。私の記憶力のキャパの問題で必ずしもそうでないとは思いますが、そもそも忙しいってどういうことなんでしょうか。
先に書いたような集まりでも、「最近どう?忙しい?」って言いながら話が始まることは皆さんも経験あると思います。
先のことを考えることが社長の仕事と考えていますが、そうした場合、大概は必ず今日中に片づけなければいけない業務というわけでもありません。むしろ少し寝かせたほうが、考えがブラッシュアップするように思います。
やはり忙しいと感じるのは、足元の業務が立て込むときのことなんだろうなと思います。突発で発生するトラブル対応だったり、期限が決まっている決済だったり…。
どちらも大切なのですが、頭の切り替えをして、経営のことを考えることで忙しいといえるようになりたいものです。
やっぱり孤独ではないのか…
これまで書いてきた通り、社内外でいろいろ話をする機会があるということは、ある意味、孤独ではないのかもしれません。
ゴルフをしながらだったり、飲みながらお話をしたりとその時間は大変有意義で、勉強をしているというよりは、楽しい時間です。が、振り返ると大変役立ちます!
年末に会社のことを深く考えると冒頭に書きましたが、幸いなことに、様々な方々とのつながりは、集中する時期もありますが、一年を通して満遍なくあります。そうした意味でも、孤独を感じる時間が短くて済みますし、波はあるにせよ、大なり小なり、一年中、会社のことを考える機会を頂いているのだなと改めて思います。もしかしたらこれは幸せなことかもしれないです。
様々な方々とお話をさせていただくことで、いつでも、会社のこと、働く社員のことを考え、事業を継続できるように日々考えているということなのかもしれません。
つまり私の場合、幸いなことに孤独ではないのかもしれません。
結論!
社内で、話しかけた時はいろいろ教えてもらいたい、愚痴を聞いてもらいたい時、悶々としている時、孤独を感じている時なので、ちょっとだけ相手をしてもらいたい時だと思ってもらいたい。
外に出ている時は、経営者の方々と大切な話をしている時であり、最高の情報収集、勉強をしているのだと理解をしてもらいたい。ゴルフをしていても多めに見てもらいたい…
さあ、来年の計画を立てなければ…。
太平社の取り組み等については、ホームページをご覧ください。併せて、コラムでも情報発信を公開中です。