ミニマリストは社会が不安定になったら崩壊する?

 一時期、世間を風靡したミニマリスト。 部屋には最低限の私物のみ。シンプルな生活スタイルのあり方に感銘を受け、自分も断捨離をしてミニマリストの一員に加わろうと考えたことはなかったでしょうか。 特に若者世代に向けて雑誌やweb記事などで紹介され、部屋にはMacBook1つ、のスタイリッシュな生活が好感を持たれるようになっていた時期がありました。

 私もミニマリストの列に加わろうと考えたことのある1人です。 由緒正しく(?)汚部屋ニストであった私は、特集を見てわかりやすくハマった人間です。 断捨離やお片付け本、と銘打たれた数々の書籍を読み漁り、効率的な片付け方等について教えを請いました。 しかし、ふと気付いたのです。 この生活は持続可能なのか、と。

社会に負託するミニマリスト

 私たちは、日常生活において多かれ少なかれ社会に負託して生活しています。 租税の納付とそれによって維持される警察・消防等、役所の公共サービスを受けたり、バリアフリーが図られ利用しやすくなった公共交通機関を利用したりといったものがその一例でしょう。
 一方、ミニマリストはそうでない人と比較しても社会への負託度合いがより大きくなっている存在ではないでしょうか。 一般家庭にありそうな各種家電設備等を廃し、必要最低限まで絞りきった生活。 ミニマリスト生活を成り立たせるのは、巷で叫ばれていた所有から利用への転換を十全に図った結果と言えます。 言い換えれば、生活の外部性を高めたとも言えるでしょうか。 しかしミニマリストといえど、廃してしまったサービスを利用する機会は少なからずあると思います。 その場合は社会によって所有されているものを利用する形で、生活を維持することになります。

社会が不安定になった場合のミニマリスト

 社会への負託割合が高まったミニマリストが生活を維持できるのは、社会がそのサービスを維持しているからです。
 しかし、社会が不安定になった場合はどうでしょうか。
 現在のコロナ禍のように、外出さえ制限が求められてくる社会情勢において、ミニマリストはいかに脆弱な存在であるかを考えずにはいられません。 キッチンさえ廃した家では調理も出来ず、さりとて外食も時間制限がある。
 諸外国と異なり、コンビニエンスストアが通常営業を続けているあたりは、日本社会の強靭性を感じますが、現時点においては上記のように色々な場面で制限を受けていると思います。
 つまりは「利用」の制限です。 この点において、従前のように「所有」で生活をしている人々にとってはミニマリスト諸氏よりも少なからず持続可能な生活が営めていると思います。 自宅に設備があれば取り敢えず何とかなる、という思想ですね。
 このように、生活の外部性を高めたミニマリスト家庭においては社会の不安定化が即持続不可能な生活に陥ってしまうことに繋がります。

考えるべきNEWミニマリスト

 以上を踏まえて、今後のミニマリストのあり方についてどうするべきでしょうか。 私見にはなりますが、まとめてみました。

①持続可能な生活、について再考する
②社会への負託割合を見直す
③ミニマリストかくあるべし論を真に受けない

 この3点を行うことで、社会が不安定になった場合にも持続可能な生活を営むことが出来ると考えてよいでしょう。 ムダ遣いをするべき、というわけではありません。厳格すぎるミニマリスト論に従うべきではない、ということです。 何事もほどほどに。

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