見出し画像

【選手記事】#1 多々良琉翔「もう1度、信頼される投手に」

'24年、ドラフト1位で入団。1年目のキャンプでケガを負うも、ルーキーイヤーに先発として初登板・初勝利。期待された2年目だったが、再びケガを再発。3年目には育成選手となるも、4年目に支配下復帰すると、中継ぎ投手として一軍で活躍。41登板で14Hを記録すると、5年目に43登板28H、6年目には53登板34Hで最優秀中継ぎのタイトルを獲得。「一流」として軌道に乗った、と思われた。

背番号を入団時に期待されて背負った「16」に変更した7年目の'31年。この年新たに習得したカットボールを武器に凡打を量産。従来の直球を豪快に押し込む投球とは一味変わった術を身に付け挑んだシーズンだった。

「今思えば、自信過剰だったと思います。この辺に投げれば抑えられるだろう、みたいな。相手が誰だとか関係無かったですから。」

この年は30試合に登板し、防御率は6.30。ケガも重なり、翌'32年は一軍登板なし。'33年も24試合に登板するも防御率5.04。「一流」にはかけ離れたシーズンが続いている。

「昨年は全く自信が無かった。一軍で投げていても、なんで一軍で投げさせてもらえてるんだろうって。二軍で活躍してる投手にも申し訳なかったですし、プロアスリートとしてはありえないメンタルでしたね。」

期待・挫折・栄光・苦悩・・・その全てを知る男が、今年は原点に帰る。

「いい背番号ももらえましたし、まだ期待されてるんだなって思いました。高校生みたいなしたたかで溌剌とした気持ちをもう一度取り戻したいですし、今季は特にそういう姿を見せたいと思います。」

今季背負う背番号は「1」。高校野球ではエースナンバーとされる番号だ。ピーファウルズでは'01~'04年に背負った小越奏人以来、30年ぶりの投手の1番となる。

「ここまで来たなら「1」と「6」がつく背番号を全部制覇したいなってのが目標にもなってます(笑い)。それだけわがままを言える成績を残しながら、長く現役を続けたいですね。」

ここまでの10年間での背番号遍歴は、「16・16・116・61・61・11・16・16・61・1」。「6」と「66」で達成とはなるが・・・

「稲熊には言いました。来年6くれよって(笑い)。ピーファウルズの1はチームの顔の内野手のイメージが強いので、稲熊も1を目標にして欲しいですね。」

'24年ドラフトの1位が多々良。2位で入った大型高校生内野手が稲熊だ。稲熊は順調にプロ・一軍へ順応。活躍を続け、今や一軍には欠かせない戦力となっている。が、多々良にはまだ物足りなさがあると言う。

「入団したときを考えれば、まだ一軍で二桁ホームランの年が無い(最多は'32年の9本)のが考えられないですよ。大学にもあんなに飛ばす人はいませんでしたし、すぐに一軍で活躍するんだろうなあと思ってました。」

境遇が違えど、共に飛躍の年を目指す'34年シーズン。

「もう一度、信頼される投手になりたいですし、自分自身も自分の球を信じて投げ込んで行きたいです。」

節目の10年目のシーズン、陽気な男の「再々起」が始まる。

【TIPS】チームメイトに聞きました。「多々良 琉翔」ってどんな人?!

#6 稲熊 海里 (ドラフト同期)

「いっつも冗談言ってくる。ロッカーとか食事中とかはもちろんですし、試合中にマウンドに集まった時でもです。表裏とかオンオフの無い人なんだと思います。」

#31 串田 息吹 (多々良の1年前のドラ1投手)

「最初に話した時、1つ下とは思わなかった。後輩感、わかります?(笑い)あの雰囲気はちょっと羨ましいときありますよね。誰にでも愛される感じ。」

#34 清水 光莉 (自称「多々良さんの一番弟子」)

「いつも明るい、おふさげ好きなタイプの人って、「集中した時は凄い」ってなる人多いじゃないですか。多々良さんはそれも無い。何も変わらないです。野球の話をしてるときと、野球以外の話をしてるときの差が無いです。」



※この記事は8月28日にtelegraphで公開されたものと同じです。

いいなと思ったら応援しよう!