川崎市登戸・殺傷事件② 【事件の引き金とみる、川崎市精神保健福祉センターの大きなミステイク】
note川崎市登戸・殺傷事件①では、国の曖昧なひきこもり定義について書いた。今後は、「軽度」「中度」「重度」の見極めをおこない、それぞれに見合った支援を提供していかなければならない。その区別がないままに支援をおこなうことは、再び川崎市登戸のような凄惨な事件や家族間の殺傷事件を引き起こすことにもなる。
事件の経緯を振り返る
はじめに、報道から分かる範囲ではあるが、事件までの経緯を振り返っておく。
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2018年11月~2019年1月
被疑者の伯父や伯母が、川崎市の精神保健福祉センターに相談(面談8回、電話6回、計14回)
2019年1月
市の担当者の助言を受け、伯父と伯母は被疑者の部屋の前に手紙を置く。被疑者は数日後、伯母に「食事や洗濯も自分でやっているのにひきこもりとはなんだ」などと話す
2019年2月
東京・町田市の量販店で柳刃包丁2本を購入
2019年5月28日
川崎市多摩区登戸新町の路上で、スクールバスを待っていた児童と保護者ら20人を殺傷
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(参考)
「川崎殺傷事件 市「『ひきこもり傾向』と聞いていた」
今回の事件を受けて川崎市は29日会見を開き、小学生たちを刺したあと自殺した川崎市麻生区に住む岩崎隆一容疑者(51)のおじやおばらから、おととし11月からことし1月にかけ、面談で8回、電話で6回の合わせて14回市の精神保健福祉センターに相談が寄せられていたことを明らかにしました。
最初の相談は「おじとおばが同居しているが本人との接触は一切なく、おじらの高齢化にともない介護ヘルパーが家に入ることへの本人の反応が心配だ」という内容だったということです。
その後、岩崎容疑者が「長期間仕事に就かず、ひきこもり傾向にある」と聞き、市の担当者は、手紙でのやり取りなどを助言したということです。
これを受け、ことし1月、おじとおばが容疑者の部屋の前に手紙を置いたところ、岩崎容疑者は数日後に「食事や洗濯も自分でやっているのにひきこもりとはなんだ」などとおばに話したということです。
その後、親族から「本人なりの考えがあるのでしばらく様子をみたい」という連絡があったのが最後で、一連の相談の中で川崎市が容疑者本人と接触することはなかったということです。
引用:NHK NEWSWEB 2019/5/29
この時系列をみる限り、伯父と伯母からの「手紙」が、被疑者を事件に向かわせる引き金となった可能性は否定できない。
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