丁寧に洗練された普通
興味が無い人には分かりにくい世界なのですが、陶器の鉢ってものすごい大ブームでして。
かなり遡って見てもここまで日本で陶器鉢がブームになったことは無いでしょう。
デザインも色々出揃って、ちょっと『技合戦』みたいな感じになっているように思います。
一昔前のWebデザインの世界で言えばFlashコンテンツでマウスオーバーした時のトランジションやちょっとした動きなど、私は勝手に『トランジション合戦』と脳内で呼んでいました。
この説明の本意としては、本質でないところで勝負している、ということを言っています。
陶器鉢でも今流行りのデザインや手法というのがあって、それに習ったような形や釉薬のものがたくさん出てきてて、「何を植える?」とか「どこで使う?」みたいな割と本質的な部分がすっ飛ばされて『技合戦』になっているなと感じています。
そしてここでタイトルの話。
それは普通だけど美味しいラーメンです。
ただ、それはとても普通なのですがとても美味しかったのです。
先日知人に連れて行ってもらった目の前を通り過ぎてしまうような古びた、昔からやっているラーメン屋さん(前を何度も通っているのに気づいていなかった)
ラーメン屋さんの本棚、料理漫画の多さに気づきます。
「もっと今どきのパンチあるラーメン食べたいな」と内心思いつつ、レコメンドされたら断らないタイプなので行ってみることに。
お爺さんに近いような店主が無駄の無い動きでラーメンを作っており徐々に期待感が高まりつつ食してみると...。
すごく普通だけどもの凄く美味しくて感動しました。
今どきのラーメンとは全く違う、懐かしの中華そばとも違う感じ。
半熟煮玉子とかじゃなくてゆで卵、でも卵食べに来たわけじゃないのでラーメンが上手ければゆで卵で十分。
知人曰く「長年丁寧に作り続けて洗練されたんじゃないかな?」と言っていて納得。
見た目は本当に普通、でもすごく美味しい。
化学調味料も普通に使っているだろうし「どこどこの鶏の卵」とか「どこどこの小麦の麺」とかそういう講釈とは無縁な感じ、ただただ丁寧な仕事ぶりの積み重ねでこの味が作られたんだなと感じました。
その後二回ほど訪れたがその美味しさは全くぶれていませんでした。
カウンターだけの小さな店は満員になることなく常にいいペースでお客さんが訪れていました。
流行り廃りに流されずちょっとした時代を察するアンテナは持っておきつつ、丁寧で洗練されたクリエイティブなブランドにしたいな〜と、このラーメンを食べて強く思いました。
江古田にある羅毘徒軒、17時オープンで駅から徒歩10分ほどかかるのでハードルは高いですが食べる価値のあるラーメンです。
モノづくりに迷った人は是非食べてみてください(普通のラーメン好きな方も)