企画だけまるっと持っていかれた経験から考えたこと

10年近く前の転職活動中に「企画だけまるっと持っていかれた」ことがある。

選考テスト課題として、企画を10本提出するというもの。その雑誌でしたいことがたくさんあったから、10本なんてあっという間に完成したが、最終結果は不採用。ご縁がなかったんだなと思った。

不採用から数ヶ月後…

ご縁がなかったからとはいえ、好きな雑誌。選考結果に関係なく、その後も読者であり続けるだろうと思っていた。というより、買わなくなるという選択肢を考えることもなかった。

が、冒頭の「企画だけまるっと持っていかれた」。

編集・ライターの仕事をしていたとはいえ、イチ読者の企画なんてものはすでに編集部内で検討済みの企画だったのかなと思ったけど、どう見ても私の企画。百歩譲っても、私の企画に少し要素を足したくらいだよ…ね…?と呆然とした。

怒りの因数分解

混乱の時間が過ぎ去ると怒りがきた。この怒りを因数分解すると、「悔しい」「裏切られたような悲しみ」「(編集部の人たち)かわいそうな仕事してるんだな」だった。これ選考テストの時に私が出した企画ですよね?と言っても良かったけど、言う価値もないなと思った。そして、ただただ、こんなやり方をする仕事人にはならないと心に誓った。

忘れられがちな「顧客群」

定期的にこの一件を思い出す。きっかけになる瞬間は「誰かが誰かに接する態度が私の価値観から大きくずれているとき」が多い。私の気にしすぎなのか、自分は同じことしていないか、この人のこの行動がチームや会社に悪い影響を与えないか、ありえない、角が立たない言い方はないか…とにかく頭も気持ちも疲れるが、こういうことが目につく時は、きっと自戒ができるタイミングだからなるべく向き合うようにしている。

同僚や外部関係者は「同志」であると同時に、一番身近な顧客でもある。採用募集に応募してくれた人たちも同じ。忘れがちだけど、この感覚をなくしてしまうと、この顧客を失うことになる。私は鬱陶しいと思われても、この感覚を忘れないようにしたい。


あいまる




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