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3枚で一般書感想文『アダルトチルドレンの教科書』

 私は自分のことを「アダルトチルドレン」だと思っていたが、この本を読んで、認識が全く違っていたことに気が付いた。

 子どもっぽい大人のことを「アダルトチルドレン」と呼ぶのかと勘違いしていたが、実は逆で、何らかの事情により、早く大人にならざるを得なかった子どもたちのことを、そう呼ぶらしい。
 確かに考えてみれば、言葉の順序からしてもそうだ。アダルトな子どもたち、そのままではないか。

 こんな勘違いをしてしまい、それを今頃までずっと疑わなかったことからも、我ながらだらしないと感じるし、もっとちゃんとした大人になりたいと思う日々である。


 私は、自分で言うのもなんだが、子どもっぽい。
 四十を過ぎて、一度結婚して、離れて暮らしてはいるが子どももいる。それなのにちっとも「しっかり」していない。

 仕事で得た給料は生活費に充てているが、家事は両親に依存しているし、自分のやりたいことを優先している。

 未だに中学生時代に抱いた夢に囚われ、本業にすら本腰を入れることができていない。

 もちろん、夢への努力も中途半端で、本気度が足りないと言われても仕方ないような有様。

 一番大切なのはもちろん子どもだが、離れて暮らしているということに甘え、親としての責任感が自分でも薄いような気がしている。

 さらに、年を取ったからか、最近は怒りっぽくなり、親の言動にいちいち苛々してしまう。

 そんな現状に、わりと本気で悩んでいる。それでこの本を手に取ったのだが「チガウヨ」と言われてしまった。じゃあ、私は一体なんなんだ?

 違うと言われて、やっと本気で調べてみると、どうやら「ピーターパン症候群」に当てはまるらしい。大人になれない大人のこと。まあぴったり!

 それについてはまた今度、本などを探して解決の糸口を探りたいと思っている。もう二枚近くを費やしてしまったが、この本の感想を書かねばならない。


 対話形式で読みやすく書かれてはいるが、専門用語が多く、それほど簡単な内容ではないと感じた。

 が、『エヴァンゲリオン』や『血の轍』など、有名なアニメや漫画、小説などに登場する、アダルトチルドレンに該当する人物について議論しているコラムが面白い。
 知っている作品のあのキャラも、見方を変えれば確かに理解できる。

 興味深かったのは、自分と似た境遇のキャラクターが登場する作品を読んで、アダルトチルドレンのトラウマが軽減されたり、ある種の癒しが得られたりすることもあるということだ。
 物語が持つ力には果てがない。

 残念だと感じたのは、解決策として、主に対話型自助グループへの参加を勧めていたことだろうか。

 私もそうだが、できれば自分の問題は自分で解決したい。
 そりゃ人と対話することは効果があるのだろうが、そのハードルはかなり高い。

「ピーターパン症候群の集い」があっても、まず行かないだろう。
 その前に自分でできることはないのか。そこが示されていれば、もっと「誰か」の救いになれた本だと思う。


 本文は1200字。つまり3枚。
『アダルトチルドレンの教科書』
 横道 誠/著 晶文社


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