コピー機でお札のコピーできない仕組み(Ver.0.1.0)
有名Youtuberが実験した動画を公開してるので有名な話ですが、カラーコピー機で、1000円札のコピーをしようとすると自動的に止まります。
これは簡単に偽札を作れないようにするための業界の自主規制です。
同じような機能は、AdobeのPhotoshopや、自宅用のインクジェットプリンターにも入っていると言われています。
機械(カラーコピー機など)がコピーや印刷しているものがお札かどうかを判定しているわけですがさてどうやっているのでしょう。
お札の偽造防止ですから、日本では、千円札だけでなく、5千円札, 1万円札にも対応する必要があります。
なんだったら世界中の国々のお札にも対応する必要がありますし、将来出るであろう新紙幣にも対応する必要があります。
かつては今のようにAIが発達している時代ではなかったですから、お札であるかを判断させるところが、この自主規制のキモだったのです。
💡アイデア: 全ての紙幣に、コピー禁止のマークを入れる。
実は、この自主規制のための仕組みは、紙幣側にも工夫がなされています。
1995年に日本のオムロンで考えられたアイデアです。
せっかくなので、お財布からお札を取り出してみてください。
1000円札でも10000円札でも同じ記号がみつかるはずです。
1000円札
表側: “千円”と大きく書かれた文字の”円”の右側の桜の軸
裏側: 印鑑の右側から下にかけてあるミッキーマウス型の図形
5000円札
表側: “透かし”の周囲
裏側: 左上の”5000YEN”の文字の下。左下の図形
10000円札
表側: 透かしの左側と、諭吉さん画の額近くの図形
裏側: 透かしの下側・右側のミッキーマウス型の図形
桜の軸分や、ミッキーマウス型の図形に隠れて、黄色い丸がセットで描かれてませんか?この黄色の丸をみつけるとコピー機は停止する仕組みになっています。
このアイデアの優れている点は、
①デザイン上目立たないこと。
お札の両面のどこかに記号があればいいので、隠しやすいマークといえます、
②将来新しいお札が出てきてもコピー機の使用変更せずに対応できること。
お札自体を判定しているわけではないので、新札にも同じマークをこそっと入れておけば過去機種でも良いわけです。
③色が決められていること。
カラーコピー機のスキャナーは複数の色を識別する必要がありますが、色を決めておくことで、黄色を読み取る場合にのみ判断プログラムを動作させることでコストを削減できること。周りに同色の印刷がないのもデザイン上の配慮ですね。
日本のお札は黄色ですが、海外のお札には緑色の場合もあります。いずれも黄色を読み取るときに発見できます。国ごとのデザインに対応できます。
④お札のデザインへの影響が少なく、コピー機での判定が容易なこと
丸の大きさや太さではなく他の丸との相対的な位置関係で判定している点。お札のデザインに溶け込みやすいだけではなく、整数の計算のみで判断できるため、コンピュータの処理量が劇的に少なくてすみます。
この記号の秘密。特許は出願されていましたが、特に発表するようなことでもないので日本のお札でしれっと初めて採用されましたが、マークが初めて発見されたのはユーロ紙幣というのが面白い点です。
「なにこの記号」と調べてみたらすでに世界中のお札に入っていたという、まさに隠れたデファクトスタンダードです。
さて、もうすぐ日本のお札も新デザインになりますね。
ぜひ手に入れたら、同じデザインがあるか探してみてください。
【参考文献】
- 日本国特許第2893080号: 1995 オムロン株式会社
このnoteでは、日常にあふれるアイデアを記録していきたいと思います。プロの方には当たり前なことかもしれませんが、知らない人に新鮮に映るよう簡単に説明していこうと追っています。
明らかな誤りがあれば教えて下さい。タイトルバージョン表示は修正によりカウントアップさせていきます。Ver.1.0になったら完成の方針。
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