BCC d6 『朽ちていった命』NHK「東海村臨界事故」取材班
#ブックカバーチャレンジ
#一碗からのピースフルネス
#Peace_thru_Tea
2つの取組みを、横断してみようかと。GWの自由研究。
ーーーーーーーー
「死ぬぞ」
という看板が昔、和歌山・串本の道路に立っていた。
人間いつ死ぬかわからない。
幸いなことにあまり身近な人を亡くしたことがなく、遺体を見たのは母方の祖父が亡くなったときと、研究室の秘書さんが亡くなったときと、人体解剖実習のときだけ。
人がどうやってできてくるかをずっと勉強しているが、人がどうやって死ぬのかは、あまり知らない。なかなか知れる機会もない。人の構造を知るための人体解剖実習で、解剖学の先生からこの本を教えてもらった。「放射線事故という特殊なケースですけど、人が死ぬ経緯がわかりますよ」
今日、改めて読み返した。染色体がズッタズタに引きちぎれ、血中に血球がなく、筋肉は溶けて血中へミオグロビンが流出し、あらゆる上皮組織が剥がれ落ちて毎日数リットル下血し、出ていった分を輸液する。染色体や病理染色標本、一部患者の写真つき。院生時代にマウスの染色体を数えてたけど、あんなズッタズタの染色体は見たことがない。検査した人も目を疑っただろう。
「ヒトの身体のなかには幹細胞がいて、常に新しい細胞を産生し、古い細胞は剥がれ落ちていきます」
教科書的な文言は、へぇ、と思うけど、通常の状態が破綻したときのことを知らないとリアリティはない。
今生きているだけで、たくさん細胞が働いてくれていると感じる。ありがとう細胞。素晴らしきホメオスタシス。
ーーーーーーーー
串本の海で波に揉まれ、シュノーケルが外れたとき「うわ、死ぬかも」と思った。marinoの由来は海なので、海に還るならまだいい。
新型コロナで亡くなる人のニュースが、否が応でも耳に入ってくる。
単身赴任で東京のアパートで療養していたら、症状悪化して入院もできず独りで亡くなった人。
自宅で療養していて、妻が出勤している間に急に悪化して亡くなった人。
遺骨になるまで家族と会えなかった著名人。
看護師の友人には、こんなに転帰が早く亡くなることは通常少ないと聞いた。COVID-19はタチが悪い。
2月頃に「コロナなんてインフルと一緒でしょ」とか言っていた私の周りの人を私は忘れないぞ。
関係あるかわからんけど、私の周りにいわゆる”正常化バイアス”がかかっていたのは男性が多かった。その想像力のなさがいろんな人を殺している。怖がる感覚がないのは鈍感の証拠。いざというとき、死ぬよ。
メメント・モリ
今日、死ぬかもしれないと思って生きよう。細胞に感謝。
ーーーーーーーー
小野穣さんはすごく可愛らしいお茶碗も作っていらっしゃるのだけど、私が持っているのはこのUFOのような銀の茶碗。
銀は少しずつ酸化して、色が変わっていく。まるで人が老いていくように。
《終わり》