大会とボランティアはどうあるべきか
こんにちは!コイケタクヤです!
筆不精でなかなか投稿が続かず、またしても久々になってしまいました^^;その間企画していた大会もコロナと豪雨災害で中止が続き、未だに本格再開できていません。ランナーの皆さん、応援してくださる皆さんにもフラストレーションと心配をおかけしており申し訳ありませんが、私自身はいたって元気でやっております!
さて今回は「ボランティア」について、最近思う所を書いてみました。被災地支援もボランティア、大会運営に協力頂くのもボランティア。それらは同じものなのか、似て非なるものなのか。大会とボランティアは今後どうあるべきなのか。
(表紙写真は第3回Aso Round Trail ギャラリーより。僕は右上にヒョッコリしてます)
災害ボランティア
今年7月、熊本県南の球磨川流域を中心に全国各地で豪雨災害が発生しました。多くの団体・企業・個人がボランティアで被災地の復興支援に携わっていて、八代市坂本町ではトレイルランナーが中心となる被災地支援組織「チームドラゴン」が活躍しています。(現在もメンバー募集中)
参加者を県内居住者に限定していることもあり僕は現地の活動にはあまり係わることができていませんが、事務的なサポートなどリモートでできる事を細く長く続けていこうと思っています。
チームドラゴンの活動はこちら⇒https://www.facebook.com/dragontrail/
被災地支援ゼッケンベルトはこちら⇒https://shop.inner-fact.co.jp/?pid=152260350
(チームドラゴンFBページより)
災害ボランティアと大会ボランティアの違い
このチームドラゴンの活動に関わる中で印象的な出来事がありました。
寄付金の一部を使ってチームドラゴンの参加者に昼食(弁当)を提供してはどうか、と私が提案したところ、長くボランティア活動に携わる他のメンバーから「ボランティア活動の精神に反する」と一喝されてしまいました。
曰くボランティアは衣食住全て自弁(=無償)が基本で、チームドラゴンの活動で昼食が支給されると参加者がボランティアの意味を勘違いしてしまう、とのこと。大会では昼食支給は良くあることなので驚きましたが、狭義のボランティアには徹底した奉仕の精神が必要なのだと改めて知りました。
(チームドラゴンFBページより。大変な作業ですが、実に爽やかな笑顔。)
一方で肚に落ちたことがありました。食事、参加賞、宿泊施設などが支給されることの多い大会ボランティアは、いわゆる「有償ボランティア」であるということです。(異論もあるとは思いますが、ひとまず僕の解釈として)
有償だから価値が減ずるというわけではもちろんありません。大会としては盛り上げて頂く以上最低限の補助は必要と思っていますし、大会や地域の良さを感じてもらうための仕掛けが食事や参加賞であったりするわけです。その上で気持ちよく活動してもらえるならまさに両者にとってwin-winです。
大会とボランティアはどうあるべきか
日本のほぼ全てのスポーツイベントは、ボランティアスタッフのお陰で成り立っています。トレイル大会など弊社が関わるイベントも同様です。その意味ではボランティアスタッフこそが大会の顔であり、主役です。ボランティアの皆さんが輝ける大会が、選手にとっても魅力的な大会と言って良いでしょう。
ボランティアの皆さんがより輝くためにどうすればいいのか。もちろん大会運営者として、拘束時間の短縮や環境改善(寒さ/雨対策・休憩施設・トイレなど)が求められていることは言うまでもありません。ただ自分の過去の経験から、「快適さ=やりがい」ではないことも理解しています。
ボランティアで大会に参加してくださる方の多くは、「(九州の)トレイルランを盛り上げたい」「地域を応援したい」「選手やスタッフと繋がりたい」という想いだと思います。このお金に代えられない価値を最大化することは、私達大会運営者に課された仕事のひとつです。
ではどうするか。あまり具体的ではないですが、運営側がより「開かれた組織」になる必要があるのではないかと考えています。大会の準備は基本的に運営会社が担い、ボランティアは当日のお手伝い、というのがこれまでの大会の在り方でした。中・小規模の大会であればそれでもいいのですが、大規模になるほど運営会社の力だけでは限界があり、また両者の距離や温度差も大きくなります。そのためにも、企画段階から広く地域や一般の意見を取り入れ、情報共有し、コース整備などの準備を通して一緒に大会を作り上げ、成功の喜びを共に分かち合うことが必要ではないかと思うのです。
「ボランティア」のネーミング
ここまで散々「ボランティア」と言ってきましたが、実はこの言い方も改めたいと思っています。ボランティア(ボラ)という言葉に、どこか脇役のイメージが付いて回っているように感じるからです。もちろん言葉を変えるだけでは意味がありませんが、言葉に現実が付いてくるということもあります。
山梨県の人気大会スリーピークス八ヶ岳トレイルは「ゲストスタッフ」という言葉を、コロナの影響で10月に延期開催される長崎県・多良の森トレイルでは「サポートクルー」という言葉使っています。前者は様々な特典がある有償スタッフであることを、後者は同じ船を漕ぐ仲間ということを強調するネーミングだと想像します。趣旨は違えど、いずれもスタッフに対する哲学と愛情が感じられます。
弊社では10月に開催される御船ジュラシックトレイルから、「サポーター」という言葉を使うことにしました。サッカーにおけるサポーターが「12人目の選手」として欠かせない存在であるように、スポーツイベントにおけるサポーターもひとりひとりが選手と共に輝き、大会を楽しんでほしいと願っています。
(第3回Aso Round Trailギャラリーより。地域の方々の笑顔ももっと輝きますように。)
▼こちらもサポーター・参加選手募集中です!
11/15(日)フォトロゲイニング宮崎2020秋:
https://local-gain.com/event/rogain-miyazaki/
最後に
今回ボランティアについて改めて考えたきっかけの一つには、ある恩人の存在があります。
彼女は数年来たくさんの大会をボランティアスタッフとして支えて頂きました。包容力のある笑顔と大きな声で選手を応援し、運営側である私たちのことも力強く叱咤激励してくださいました。大会が終わった後には、スタッフとしての感想や改善点を長文のメッセージで頂いたこともありました。
8月下旬に唐突に訃報が飛び込んで以降、SNSでは彼女を追悼する投稿が溢れました。沢山の方に愛されたのは彼女の人柄があってこそです。そして改めて思うのです。
「スタッフとしての彼女は、確かに大会の主役のひとりだった」と。
改めてご冥福をお祈りいたします。
(第2回Aso Round Trailギャラリーより。右端が同氏。)