見出し画像

海外で働くということ(5): 海外で働いた経験 3/ Work Overseas(5): Experience to work in overseas 3

さて、今回で5つ目の記事になりますが、今回は大学卒業から社会人になるまでの違いを書いてみたいと思います。海外でと言いながらも、今回はシンガポールならでは特徴が多いかもしれません。

シンガポールの大学が誇る集客力

画像1

シンガポールには世界のトップテンに入る2つの国立の大学があります。それが総合大学のNUS(National University of Singapore) と理工系大学の NTU(Nanyang Technological University)です。ここにはシンガポーリアンだけじゃなくて、アジア各地から集めた優秀な人材が集まっています。都市レベルが金融・貿易で発達した都市でもあり、東京やニューヨークなどと同じなのもあり、環境的な呼びやすさもありますが、潤沢な奨学金(Tuition Grant)と共に優秀な学生たちをうまく呼び込めている感じですね。ただ、もちろん単に優秀な人を集めるだけではなく、その奨学金を利用した学生にはその後最低限3年間はシンガポールでの就労義務(Bond)が発生します。アジアリージョンのHQが集積しているシンガポールなのでグローバル企業への就職も可能ですし、いい企業でキャリアをスタートすることも可能なので、その条件についてはあまりネガティブに捉えている学生は少なく、むしろ大半が進んで受けている状態かと思います。というのも、シンガポールの教育機関はシンガポーリアンやRP(永住権保持者)に対しての学費と、外国人留学生の学費にはかなりの開きがあり、Tuition Grantで減額等を受けないと、かなり留学コストとしては高くつく状況もあいまっているのでしょう。

画像2

また、シンガポールは小学校の教育の段階からGifted Education Programという端的に言えば超優秀層へのエリート教育が行われており、徹底した競争環境でローカルの子供たちは育っているため、近隣諸国から集まってくる優秀な層とも競い合って学んでいるようです。とはいっても、そこまで人間関係が悪いと言うわけではないですが、社会に出た後もしっかりとグローバル競争の中で戦って生きていく力は確実についているように感じます。特に日本の大学と比べたらというのもありますけど。。。

奨学金制度とか詳しい紹介は下記の記事をお勧めします。

より実践的な教育、そして成長スピードも

自分がIT系のいるため一般的な学部の学生さんについては正直わかりませんが、コンピューター系の専攻をしている学生は必ずインターンシップを在学中に3ヶ月から6ヶ月、また複数回を経験して、学校の勉強とは別に就職することを意識した経験を積むように努力しています。また、学校のカリキュラムも聞いている限り、日本の理系大学でアルゴリズムや論理的なことばかり、研究者になるがごとく学ぶのではなく、JavaやPHPなど実践で使うプログラミング、またインターンでなくても実際に動くシステムを作ってみる、ビックデータの分析をしてみるなど、社会にでて役に立つ学習を中心にしているようです。それ以外にも自らの意見を述べることが授業では重視されているようで、受け身というよりは自ら何ができるのかを考えるトレーニングもよくされている印象です。

画像3

このためか、正社員として就労した経験がなかったとしても、採用エントリーの書類や、面談においては、いかにインターンシップで実戦に使える経験を積んできたのかなど、中途採用なのかと思わせるぐらいの自己PRをしてくる学生も多々います。日本の名だたる大学にいる就活している学生たちともし並んでプレゼンするみたいな機会があるとしたら、インタビューをする側としてはその差に愕然とする気がします。少なくとも自分は、稀に日本の採用の面談もすることありますが、正直、このレベルならこの前シンガポールで通さなかった子達の方がいいんだろうなと思うこともあります。自分もきっと多分にそういう学生に見えてたはずなので、これはこれで恐ろしい差分がスタート時からあるんだなぁということを日々感じている状態です。あまり有名ではないIT企業でも、その差を感じられるような学生が応募してきてくれるので、グローバルで有名な企業の担当として面談したら、さらにその印象が大きくなるんじゃないかと思っています。

ちなみに入社したあとについては、もちろん少ない教育で実戦に入れるだけでなく、いかに改善するのか、シニアや中途半端になってしまっているミドルレベルの社員よりも積極的に提案する、またすぐにいろいろな状況を理解してこなしてしまうメンバーも多く、伸び方も明らかに違う状態です。逆に企業がとしてはそういう子達がいかに活躍できる環境を用意する、そしてマーケットに応じた報酬を渡せるのか、日々努力することが求められているので、日本の伝統的な企業の年功序列などは全く通用しないのは明らな状態です。

このように教育段階から世界を意識した環境を用意しているのもシンガポールの強み、特色といえるのではないでしょうか?

このシリーズ過去の記事はこちら。


日々ぼけっと生活してしまっていますが、他の人にもなんらか価値のある情報や自分なりの視点を何か持っているはずと信じてnoteをはじめました。 自己紹介はこちら https://note.mu/t_kis/n/n768f4613e0ef