タンス預金は悪なのか?
ビットコインなど仮想通貨が金融の最先端として話題となる昨今、タンス預金というといかにも時代遅れのダサいもののように思われています。それどころか最近は、マイナス金利政策の効果をそぐので、経済にとって悪だという意見も目にします。タンス預金って、そこまで責められなければならないものなのでしょうか。
本日付の「経済教室」(白井さゆり・慶応義塾大学教授)は、この問題について考えるヒントになります。マイナス金利政策の効果が今一つな日本と対照的に、スウェーデンでは効果が出ているそうです。その理由の一つは、スウェーデンはデジタル通貨社会への移行が進み、そもそもタンス預金にする現金が少ないからだといいます。
もし日本政府が通貨のデジタル化を推し進め、極端な場合、現金を廃止してしまえば、タンス預金はできなくなり、マイナス金利政策の効果は今より大きくなるでしょう。
ただし、それが私たち市民にとって良いことかどうかは別問題です。銀行が預金金利をマイナスにしたり、諸手数料を引き上げて実質マイナスにしたりしても、黙って耐えるしかないのですから。
言うまでもありませんが、お金は私たちの大切な財産です。金融政策に都合が良くないとか、ダサいとかいう理由だけでタンス預金を厄介扱いする風潮には、ちょっと待ったと言いたくなります。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18207880Y7A620C1KE8000/