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高金利通貨レポート③トルコリラ円

トルコリラ/円週足

13週、26週、52週の短・中・長期移動平均線から下放れて過去最安値の更新が続く。このままいけば、今週は今年最大の下げ幅となる見込み。移動平均線からの乖離が急拡大した事で下落ピッチは鈍る可能性があるものの、下値のメドが見当たらない「チャート・レス」の様相となっている。

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トルコ中銀追加利下げ

トルコ中銀は18日、政策金利を16.00%から15.00%に引き下げた。予想通りではあったものの、利下げ後にリラは下げ足を速め、この日だけで対ドルでは6%超、対円では7%近く下落した。トルコ中銀は声明で「インフレ圧力は金融政策によってコントロールできない供給サイドなどの一過性の要因で来年前半まで続くと予想」とした上で「次回12月の政策決定会合でこれらの要因によってもたらされる限られた政策余地の実施を完了することを検討」とした。わかりにくい表現だが、利下げサイクルの終了を12月に検討すると表明したようだ。

市場は中銀を信用せず

トルコ中銀が12月に利下げサイクルの終了を検討するとしたにもかかわらず、リラは売られ続けた。トルコ中銀の政策委員はカブジュオール総裁以下、エルドアン大統領が自らの意向に沿って人選を行ったメンバーばかり。エルドアン大統領が「最後まで金利と闘う」と宣言しているだけに、市場は大統領のコントロール下にある中銀のメッセージを信用しなかった。「中銀が12月に利下げを打ち止めにする」可能性は低く、「少なくとも12月は利下げを行う」と受け止めた模様だ。ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも、リラ相場は一段の下落に警戒が必要だろう。