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FX/為替 メキシコペソ 22年の見通し      高金利通貨レポート①

【2021年のペソ相場】

2021年のメキシコペソ相場は対円で約10.4%上昇。対ドルでは約3.0%下落したものの、他の多くの通貨に比べると下げは小幅であった。つまり、メキシコペソも「強い通貨」のひとつだったが、「最強通貨」のドルにはかなわなかったということになる。

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【ペソ上昇材料を再点検】

2021年のペソの上昇を支えてきた主な材料として、①原油高、②メキシコ中銀の引締めスタンス、③リスクオンの市場環境に加え、④最大の輸出先である米国の景気回復などが挙げられる。

①の原油価格については、NY原油(WTI)が1月20日に87ドル台へと上昇しており、2014年10月以来の90ドル台を視界に捉えている。国際エネルギー機関(IEA)は19日、2022年の原油需要見通しを上方修正した。供給ひっ迫への懸念も相まって先高観は根強いようだ。

②のメキシコ中銀に関しては、新総裁に就任するエレラ氏がハト派と目されており、利上げスタンスの継続にはやや不透明感が残る。2022年最初の金融政策決定会合は2月10日に開催される予定。メキシコではインフレ率が7%台で高止まりしており、中銀目標(2~4%)を大幅に上回っている。それだけに、中銀が利上げを継続しなければ通貨安圧力が生じる可能性がある。

③の市場環境については、米国を筆頭に先進国の中央銀行の多くが金融緩和の正常化に着手する中、グローバルに株価が不安定化しており、リスクオンの流れは弱まっている。一方で、中国が事実上の政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げるなど金融緩和に動いており、リスクオフへの傾斜を防いでいる面もある。

④の米景気回復に関しては、これまでのところ順調だ。今月27日に発表される2021年10-12月期国内総生産(GDP)は、+6.0%前後の高い伸びなると見られている。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向けてタカ派姿勢を強めており、市場では拙速な金融引き締めが景気を冷やすリスクへの警戒感も浮上しつつある。

以上を踏まえると、2022年のペソ相場は下落リスクこそ小さいと考えられるものの、2021年ほどの強さを維持するのは難しいかもしれない。

【ペソ/円テクニカル】

昨年11月後半以降の反発で13週移動平均、26週移動平均、52週移動平均をいずれも上抜け。足元でもこれらを上回る水準で推移しており、上昇基調は維持していると判断できる。ただ、13週移動平均線と26週移動平均線がほぼ同水準で横ばいとなっており、上昇の勢いは鈍りつつある。2021年3月から7月にかけて示現した「パーフェクト・オーダー」を再現できるかが今後のカギとなりそうだ。※「パーフェクト・オーダー」とは、短期移動平均線(この場合13週)、中期移動平均(同26週)、長期移動平均線(同52週)が上から順番に並び、かついずれも上向き(右上がり)の状態を指し、強い上昇トレンドを示すシグナルとされる。

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