高金利通貨レポート②メキシコペソ
先週(8月9日~13日)のメキシコペソ相場は伸び悩む展開。
メキシコ中銀の利上げ期待などからペソの堅調推移が続き、12日には5.558円前後まで上昇して7月13日以来の高値を付けた。しかし、メキシコ中銀が予想通りに25bpの利上げを発表すると上げ幅を縮小。利上げが織り込み済みであった事や、利上げの決定が全会一致ではなく5人中2人が据え置きを主張した事などがペソの重しになったようだ。
中銀が2会合連続で利上げ、政策金利は4.50%に-JETRO
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/821f1664c2285872.html
前週末に米8月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値の悪化を受けてドル安・円高が進行した影響もあって週明けのペソ円は弱含みで推移している。中国8月鉱工業生産の下振れなどで同国の景気減速懸念が広がった事や、アフガニスタンで旧支配勢力タリバンが20年ぶりに政権を掌握するなど、中東の地政学リスクが高まった事などもペソ安・円高に繫がったと見られる。
もっとも、メキシコ中銀はインフレが徐々に低下し始めるのは来年第2四半期以降になるとの見通しを示しており、市場では早晩、追加利上げ期待が浮上する事になるだろう。なお、7月のメキシコインフレ率は5.88%と、中銀のインフレ目標(3%±1%)を大幅に上回っている。利上げ期待はペソの押し上げ要因となる公算が大きい。ただし、ペソなどの新興国通貨は「外部要因」に振り回されやすいのも事実であろう。引き続き、中国景気や中東情勢などの動向にはチェックが必要となりそうだ。