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ママの帰りを待つまでの……

青が黄色から赤に変わるやすぐ黒に。
夕方の空の変化は釣瓶落とし。
いけない、保育園に迎えに行かなくちゃ。

妻は残業。先週、五歳息子の発熱騒ぎで早退した穴埋め。
父子二人で帰りを待つ。
「パパ、お腹空いたよ」
ラックを探るとうまい棒を4本発見。
「僕が買ったやつ!」
――パパももらっていい?
「いいよ。食べ比べしよう」

一本ずつを息子と分けて齧る。
腹はふくれないが妙な幸福感。
「決まったよ」
息子が早々に結論。私も負けじと……よしいいぞ。

パパ) 1、サラダ 2、チーズ 3、テリヤキ 4、サラミ
息子) 1、サラダ 2、テリヤキ 3、チーズ 4、サラミ

―― 一位、同じじゃん。
「テリヤキと迷ったけどね」
指を舐め舐め、うまい棒を語る息子。
――残ってるの食べていいよ。
「駄目だよ。これはママの!」
優しい男はうまい棒を三等分する計算だった。

「パパ、お腹空いたよ」
誰かを待つ時間の経過は遅い。
息子は袋に付いた粉をまた掬って舐めた。


秋夕焼指まで舐めるうまい棒

(あきゆやけゆびまでなめるうまいぼう)

季語(三秋): 秋の夕焼、秋夕焼


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