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Marja Pirilä, Satoko Sai+Tomoko Kurahara|inner landscapes, other stories

inner landscapes, other stories
同じ時に、同じ場所で、交差したかもしれない誰かの物語。


「inner landscapes, other stories」はマルヤ・ピリラとSatoko Sai + Tomoko Kuraharaによる「inner landscapes, tokyo」のスピンオフプロジェクトです。
2018年、東京の東エリアに暮らす70代~80代の8名の方々に取材を行ない、モデルの方々のアルバム写真を紐解きながら子ども時代の思い出をインタビューしました。ピリラは3週間東京に滞在し、カメラ・オブスキュラの手法を用いたポートレート作品を撮影。崔と蔵原はアルバム写真とインタビューを元に肖像としての陶器を制作。それらの作品は「inner landscapes, tokyo」展として2021年に発表されました。

制作過程を通じて、私たちは今回の作品のモデルとなったKeiko、Takashi、Irisと出会い、短くも親密な関係性を築くことになりました。彼らは、これまでのモデルの方々よりも若い世代にあたり、プロジェクトに関わってきた人々や街と直接的にも間接的にも繋がっています。トゥルク、東京と続いた「inner landscapes」プロジェクトのスピンオフ作品として私たちは彼らの肖像を作ってみたいと考えました。

ピリラは東京滞在中に、三人のポートレート写真をそれぞれの自室や滞在先の部屋で撮影しました。窓を遮光して光学レンズをはめた穴から光を取り込み、部屋そのものをカメラ・オブスキュラ(ラテン語で暗い部屋)に変えることで、外の風景が室内に上下逆さまになって映り込みます。その空間にいる被写体を通常のカメラで撮影しており、この集中した瞬間をモデルの方々と共有しているのです。


©Marja Pirilä



崔と蔵原は、2023年になってから、彼らにあらためてインタビューを行ないました。幼少期のアルバム写真をたどりながら、さまざまな思い出が語られました。記憶には鮮明な部分とおぼろげな部分があり、過去と現在を行き来するような彼らの持つイメージの断片を集めて、そこに今の印象を重ね合わせ、写真を陶器に転写し焼き付けることで表現しました。

写真と陶は物質としても制作プロセスもかけ離れたメディアのようですが、どちらも時間の痕跡を焼き付けるということが共通しているのではと私たちは考えています。本展では、両者による別の小作品シリーズも展示されます。それらは私たちが当時訪れた街の風景を通して自身の記憶を伝えるものになっています。

私たちがフィンランドのトゥルクで2010年に「inner landscapes, turku」プロジェクトを始めてから14年が経とうとしています。この間に私たち自身の環境や社会の状況も大きく変化する中で、多くの方々のご協力や支えのおかげでこれまで続けてこられたことに深く感謝しております。モデルの方々をはじめ、プロジェクトにご協力いただきましたすべての皆様に心よりお礼申し上げます。

全てのプロジェクトの発端となった「inner landscapes, turku」の作品シリーズを展示している東京都写真美術館にて開催中の展覧会「記憶:リメンブランス ー 現代写真・映像の表現から」を併せてご高覧いただけましたら幸いです。

2024年2月
Marja Pirilä、Satoko Sai + Tomoko Kurahara
<展示概要>
Marja Pirilä, Satoko Sai+Tomoko Kurahara|inner landscapes, other stories

会場:POETIC SCAPE|東京都目黒区中目黒 4-4-10 1F
会期:2024年3月2日(土)−4月14日(日)
時間:木曜−日曜 13:00-18:00 / アポイント制営業:3月18日以降の月曜-水曜
アポイントはメール、または予約専用サイトにて→ https://airrsv.net/poeticscape/calendar

<関連イベント>
◉オープニングレセプション
日時:2024年3月2日(土)18:00-20:00
会場:POETIC SCAPE
参加費等:予約不要、無料

◉対話型鑑賞会:ファシリテーター 小川桂以子、田辺梨絵
①2024年3月30日(土)17:00-18:00
②2024年4月7日(日)13:00-14:00(予定)
詳細、お申し込み方法等は POETIC SCAPE のSNSにて発表いたします。

<Profile>
Marja Pirilä(マルヤ・ピリラ)
写真家
1986年、ヘルシンキ芸術デザイン大学写真学科及びヘルシンキ大学動物生態学修士課程卒業。1990年代か
らカメラ・オブスキュラの技術を追求。外と内の世界が融合した夢のような作風で知られる。受賞歴に
「フィンランド国家写真芸術賞」(2000)。2024年1月よりKunsthalle Helsinkiにて個展「Because of
Light」開催。展覧会にあわせ、同タイトルの作品集を出版。

Satoko Sai + Tomoko Kurahara(サトコサイ+トモコクラハラ)
陶芸作家ユニット
崔聡子と蔵原智子は共に多摩美術大学工芸学科で陶を専攻。2002年の卒業と同時に陶芸作家ユニットとし
て、共同制作を開始する。蔵原は2002年からフィンランドのヘルシンキ芸術デザイン大学(現アアルト大
学)へ留学。2005年に修士課程を修了。崔は2005年は韓国へ留学した。陶器を媒体に、風景・旅・記憶な
どをキーワードに、版画や写真などの要素を取り入れた表現を探求している。


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柿島貴志 POETIC SCAPE
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