マイスター2人の、視線の先
今日もポカポカ陽気でスタッフMと日向ぼっこしていると、久保元幸さん(ザ・プリンツ/アマナサルト)が来廊。「この展示は気になって。最近インクに興味あるんですよ。」とおっしゃっていた。アマナサルトでプラチナプリント、ライカ銀座で「ライカプレミアムプリント」も手がける、写真プリントを極めた名工からの意外な一言に、さすが久保さんだなあと唸る。
久保さんと積もる話(お互い10年ほど前、伝説のワークショップ(?)マレビトスクールの5人のメンバーでした)をしていると、一人の年配の男性がいらっしゃって静かに作品を鑑賞されていた。なんだか良い空気をまとった人だなあと思いつつ、そちらの男性はスタッフMにまかせて久保さんと談笑していました。
久保さんにPOETIC SCAPEの会期の長さを説明していると、その男性が最後に「会期が長いのはいいですよね。助かりました。おかげで見られました」とにっこり笑って立ち去られた。なんかすごくいい笑顔だなあと。でもそれは今日の陽気のせいかなとも思って。
で、久保さんも帰られてからふと芳名帳を見ると、そこには「野田哲也」という名前があってびっくり。トレイシーも先日の藝大のレクチャーで紹介していた、日本を代表する版画家の野田哲也 東京藝術大学名誉教授でした。
これば大英博物館による野田先生を紹介するビデオ。
今回のTracy Templeton展は、いままで写真を中心に展示してきたギャラリーが手がけた、最初の版画作品展ということもあってか、お客さんの数は正直多くはない。だけど、久保さんや野田先生という現代のマイスターとも呼ぶべきお二人はきてくれた。そしてこの二人は今までも、ジャンルや常識にとらわれることなく、ずっと先を見て自分の仕事をされてきたのだろうなあと思った。
久保さんとマレビトスクールの話になって「あれは試みは良かった。ちょっと早すぎたのかもね」とおっしゃっていた。もしかしたらPOETIC SCAPEにとって今回の展示は早すぎたのかもしれない。けど、やはり視線は常に遠くを見ていたいとも思う。
いただいたサポートは、POETIC SCAPEの活動を通じてアーティストをサポートするために使わせていただきます。サポートをぐるぐる回していければ素敵だなと思っています。