転生したらスライムとは限らない件

あなたは5秒ボタンを知っていますか?


僕は怖い話、というか少し不思議な話が好きで、都市伝説のまとめサイトをときどき巡回しています。
そんな中で出会った5秒ボタン。

このお話、主人公の選択がなかなか興味深くて印象に残っています。

1)いつ何が起こるかわからないリスクよりも、目の前の100万円を選び5秒ボタンを押してしまう
2)自殺することによってどんなペナルティを受けるかわからないのに、5秒ボタンの苦しみから逃れるために自殺してしまう

この2つの選択、どちらも「今」を重視し、将来のことを楽観的に想像している点で共通しています。

というよりも、そういう思考があるからこの選択をすると考えたほうが正しいのかもしれません。

なぜこの選択が興味深いのか。
twitterを見てると時たま「首相は/知事は〇〇氏だけは嫌だ、それ以外なら誰でもいい」みたいなツイートが流れてくる。
このAじゃなきゃ何でも良い人達は、5秒ボタンの主人公と同じタイプなのではないかと思うわけです。
すなわち最悪と考える今を変えることを重視し、それによりもたらされる将来は必ず良くなると楽観視している。
もしこの人たちが5秒ボタンと出会ったら、きっと同じ地獄を見るのではと思います。

でも、将来を楽観視したい気持ちはわからなくもない。
少なくとも現状維持が自分にとって望む状況ではなかったら、選択さえ変えれば好転すると信じたい気持ちは僕にもある。
そんな考えはここ数年の転生最強系ラノベブームにも反映されているのかもしれません。

とはいえ恐いのは、こういう心理の時は自分に都合のいい言葉ばかり選んでしまうということ。
それが嘘でも本当でも、自分にとって心地の良い話をする人が優秀で最高の存在に見えてくる。
自粛生活や今後の不安とか、そういうのがきっかけで社会全体にそういう空気が広まっていないかな、と考えてしまう。
張りぼてのカリスマでもすぐ信じてしまうような、そんな気持ち。

人間社会にいる以上、何も選択せずに生きていくことなんてできない。
選択を放棄するという考えもあるけど、これも「他者に選択を委ねる」という選択なんだろうし。きっと。
だとすれば少しでも、自分が後悔しない選択をし続けるしかない。
一時の気持ちに流されず、自分に都合よく楽観視しない。
それが5秒ボタンを目の前に出されても押さないための、自分なりの心がけかなぁ。