世界一モテない男

村上龍のユーチューバー、という小説で、世界一もてない男、というのが主人公の一人として登場する。
自分と同じでびっくりした。もうすぐ38歳で仕事をやめて(自分はやめようとしている)、儲かるかどうかもわからず、youtuberになろうとして、悪戦苦闘する。もてないので妻も子もいないから、そんな適当な甘えた身の振り方が許容される。その言動、心情、身長から、もてないことが明確にわかる。
 『わたしは女に興味が無いということにしている。
  興味があってもなくても関係がない。私は女にもてないからだ。』
 『子供や高齢の女以外、たいていの女は自分より背が高い』
 『女から好きだと言われた事がない』
 『笑顔を作ろうとしたが、うまく作れなくて、自分でも変な顔に
  なってしまった。』
大好きな小説家の本の中に、自分がいるようで驚いた。
特に、『興味が無いということにしている』、は、小学生のころからそうだ。手に入らないので、興味がないということにする、興味があるということを外部に示すと、様々なタイプのトラブルが発生する。
同時に、少しうれしくも思った。好きな本の作者が、自分を理解してくれているような気がしたからだ。
昔の村上龍だったら、こんな情けないキャラクターは、厳しい世界の中でグチャグチャにされて、悲惨な最期を迎えていた。
一方で、モテたり、アウトローの自立した男が、そういった連中の犠牲を糧にしたりゴミのように捨てて、厳しい世界で辛くも勝利する、といった感じだ。
だが、今回の本では、穏やかに、うまくいかないわけでも、うまくいくわけでもなく、ダラダラと人生が続いていく。
お前はそれでいいんだよ、と言われたような気がした。
 『計画性のある仕事、人生ってあるのか?皆行きあたりばったりで生きて 
  いて、追い詰められて仕事や人生を選ぶんじゃないかな?

今、仕事をやめようと思っていたところで、昨日、飲みの席で2段階上の上司から転属しないか、と誘われた。
今の直上の上司は最悪で、言うことがコロコロ変わるくせにマイクロマネジメントをしたがる。優秀な部下にはケチをつけて、マウントしないと気がすまない、何かにおびえて攻撃的になっている。体はでかいが、人としての器は最小サイズのカスだ。カスはカスと気づかれている事に対して異常に敏感だ。結果、さらにネチネチと攻撃・マウントしてくる。
声・足音・姿だけで不快、今すぐ消えてほしい。存在自体に反吐が出る。何回も衝突しており、疲れている。酔っていたこともあり、転属に同意はした。
だが、仮に部署を替えたところで、そんな奴を上に置く組織、似たようなことが頻発するのではないか?会社自体が信用できない。人もどんどんやめている。周りからは辞めないでほしい、あなたが辞めるなら私も辞める、と言われていて、その人には世話になっていて尊敬もしているので、残りたい気持ちもある。
でも、この龍さんの文のように、なるようになるさ、追い詰められたら辞めれば良い。そう考える事にした。

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