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ポップコーンは買わない派です。vol.38

失くした体

失くしていたのは体以上に愛情だった。

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予告編

あらすじ

パリのとある医療施設から、切断された手が逃げ出す。再び自身の身体とつながりたい手は、身体の持ち主である孤独な青年ナウフェルを捜して、ネズミやハトに追いかけられながらも街をさまよう。手は、何かに触れるたびに記憶がよみがえっていき、ナウフェルの幼少期や、思いを寄せる図書館司書ガブリエルとの思い出が明らかになっていく。Netflixで2019年11月29日から配信。日本では配信に先立つ11月22日から、一部劇場にて公開。

ちょっと理解が追いつかなかったw

正直のところ僕には全てを把握できるほどの理解が追いつかなかった。予告編では、センセーショナル!映像美!と出ていて、これまたネトフリの映画で、尚且つ今度はアニメときた。これはまたまた興味が惹かれるじゃないかということで問答無用で鑑賞した。

観ての感想としてはよくわからなかったです。
んでもって、他の方が書いていた解説を読んだ時に
うわあああそういうことか。と、思いましたね。この記事でも少し引用させていただきたく思います。

「失くした体」

というタイトル

ポスターには手形が記されている。そのとおりに、この作品には手というモチーフが印象的な作品である。

手というモチーフ

手が触れてきた記憶って体験を伴う記憶だから強く印象に残っていることが多いのではないかと思う。

本作は事故によって右手を失ってしまった主人公の右手が病院に安置されていたのだが、それが動き出して自分の身体に戻るために冒険していくという物語なのだ。なぜ主人公は手を切断してしまったのか。主人公はどんな人間なのかということが作中に回想シーンとして流れる。

それの多くが手を触れて体験した記憶に基づくもので触覚における記憶の尊さを強く感じる内容になっている。

心情を可視化したアニメーション

主人公のナウフェルは家族やたくさんの愛を浴びてくいた。裕福な家庭で育っていった。しかし、その両親を交通事故で失った。
すごく幸せそうな家族の映像なのにどうも無機質で冷たさを感じるモノクロの映像。これは現在軸での主人公の心情を表しているのだ。彼は寂れたシェアハウスで貧しい生活を強いられており、ピザ屋のバイトでは叱責されてばかりで、天気も雨ばかりと徹底的に虐げられた暮らしをしている。彼が体から失ったのは愛。温かい愛を受けられなくなったためにモノクロで冷たい映像として表現されているのだ。

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そんな中で出会ったガブリエルという女性。あるきっかけを元に彼女に恋をする。恋ゆえの愛を得ようとナウフェルは彼女の家が営んでいる木材屋で働くことになる。

ここまででナウフェルに言えることは非常に受容的であるということ。自分で与えることをしてこなかった。

恋心が芽生えてから、確かに少し映像が明るくなっていったようになった印象。しかしながらガブリエルに突き放された時再びナウフェルの心から温度がなくなっていく。そしてその後に自分の手を誤って切断してしまうのだ。

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季節は巡ると冬になっていた。外界は寒く温度がない世界でありながら、ナウフェルは白い息を吐いている。それはまだナウフェルに温度が残っているという証なのだ。何かが大きく変わることでもないんだけど

最後のシーンではナウフェルが録音した音声で思いを寄せていたガブリエルに温もりを与えていたというのが、ナウフェルが能動的に誰かに何かを与えらるようになっていたのだ。

すごく細かい心理をアニメという特性を使って温度を表現したり、斬新あ映像表現で普遍的なテーマを表現していたりと、これぞアニメというより芸術だなと思った。

テーマとしては誰しもが経験しているような内的な部分が浮き彫りになってきた。家族愛、恋心。ナウフェルは恋を契機に受容的な人間から何かを与えれらるような人間に成長したわけだ。

アニメーションという手法を使ってこんなにも普遍的テーマを手というモチーフを用いてモノクロやビビットを使い分けて心情を表現するというところがすごい。映像作品として昇華させている。

内容を知った上で見た方が腑に落ちるかもしれない。ぜひご覧いただきたいと思う。

いやあすごいわ。アニメの可能性の広がりを感じる素晴らしい作品だと思いました。観てすぐの時は気づかなかった部分もめちゃくちゃあったけどw

最後に

後から内容をさらうのもとても面白いし、勉強になる。だけれでも前情報としてある程度入れておくと内容理解が深まるのではないかと思う。ネタバレを恐る人もいるがそれはシリーズ物だったりするからね。そうじゃない単館上映系の映画は情報を入れてから見ると理解が深まる。一本の映画を見るにも1800円かかるなら、より内容を理解したいですよね。この作品はNetflixで観れるけどね。何度も観た方が発見が多くなって理解が深まるのはもちろんなんだけど、前情報、後からの情報で理解の補完をすると豊かな映画体験につながると思うよ。

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