来る(2018年/日本)感想 まさかのオカルトバトルエンタメ映画。
怖さで言えばディズニーランドのホーンテッドマンションくらいのレベル感!
〘来る〙
画像引用元:プライムビデオ https://www.amazon.co.jp/%E6%9D%A5%E3%82%8B-%E5%B2%A1%E7%94%B0%E5%87%86%E4%B8%80/dp/B08CSVXF5W
以下、一部にネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
■内容
Jホラーの湿度高い感じが苦手だし嫌いだしなんならちょっとナメてる節すらある僕みたいなのでも存分に楽しめた異質な映画でした。澤村伊智さんのデビュー作となった小説『ぼぎわんが、来る』を映像化した作品です。
ホラーの風味は濃く、取り扱うジャンルも民間伝承や怪異といったカテゴリーの存在を軸にした作品ではある物の、その主体となる"何か"を通して、浮き彫りになっていく登場人物達の醜悪さや脆弱な人間性を併せ描くような作風でした。
物語が進むにつれ次々に深掘りされていく登場人物達の本音、それに吸い付くように巻き起こる怪現象、これ誰が主人公なんじゃろか状態をしばし体感した後やってくる想像の遥か上をいく超展開とクライマックス、総じてホラーの枠組みで魅せるゴリゴリのエンタメ映画と言った印象です。
人体破壊や損傷、流血表現といったゴア描写が目立ちますが、対してJホラーお得意のジワジワ意識させていって一気にドッキリ的な描写がかなり控えめで、不気味な雰囲気や空気感中心で色調を整えるタイプの映画だったので、怖いの苦手民でも多分楽しめる要素多いと思いました。『イットフォローズ』が近い印象かも。
■感想(ネタバレあり)
順風満帆な結婚生活を送っている様に見えるある家族の周りで怪奇現象が起こり始め、解決する為に人を霊媒師がやってきて立ち向かうも状況が悪化していく……、そんな霊媒イズムを感じる内容だったはずが、気がついたら日本中の強力な霊媒師やら神主さんやら住職さんやら巫女やらシャーマンやらが屈指の実力を持つスーパー巫女の元に集結し、強大な悪気を放つ"何か"に立ち向かう怒涛の展開が待ち受けていた、オカルトバトルが面白すぎる一作。
最後の方はもはや登場する怪異が何なのかを明かすとかじゃなく倒す(お祓いという名目の魔法戦争状態)事に全力振り切っていたので、結局その"何か"がどういったシステムの怪異なのかは判明しませんでした。
ただ人間の弱さや醜悪さを好んで近づいてくる存在という事は散々描かれるので、逆に後半からはお祓い実行までの期待感がどんどん上がっていって個人的には楽しめました。
そんな存在が背景にいる映画なので、劇中の主要登場人物の嫌な一面が悉く嫌な感じに描かれていくのが特徴です。
ただ、その嫌な感じっていうのが無自覚な嫌味だったりで、誤魔化し合うコミュニケーションが常態化した人間関係の結果として現れてくるものっていうのが、別の意味で観ていてキツかったところでした。生々しい誤魔化し合いの末に待ち受ける怪奇と悲劇。
コミュニケーションの中で生まれる感情が呪いのような位置付けで機能しているように見えるのが面白かったです。
夜職でシャーマンの真琴ちゃんの強キャラ感が凄まじいのに、本当にヤバい霊媒師は姉の方だったっていうの勝手に騙されてくぅぅってなりました。真琴ちゃんから忍野メメのヴァイヴスを感じたんだよな。
■〆
個人評価:★★★★☆
人間関係のもつれに惹かれてやってくる怪異が暴れ回りすぎたから、最終的に日本屈指の霊媒師たちが立ち向かう、この内容をそれぞれ濃密に描いている上に全て繋がっている面白さ。怖いかと言えばさほど怖くは無いですが不気味さは堪能できます。僕は好きな映画でした。
ではまた。
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