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トゥモロー・ウォー(2021年/アメリカ) 感想 バーサークフューラ―みたいな敵と戦う近未来SF。
コロナの関係で劇場公開を断念しアマゾンプライムオリジナル配信作品として再起したSFアクション映画。
〘トゥモロー・ウォー〙
(TOMORROW WAR)
画像引用元:プライムビデオ https://www.amazon.co.jp
以下、一部にネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
宇宙生物との戦争で絶滅寸前まで追い込まれた未来人が現代にタイムスリップして、現代人を徴兵して未来に連れ込むことでなんとか人的リソースを誤魔化しつつサイエンスパワーで敵の殲滅を目論む。
■内容
近未来戦争SFアクション映画。
突如現れた異星の怪物"ホワイトスパイク"に蹂躙された未来の世界では人口が実に50万人まで減少、絶滅寸前まで追い込まれた人類がなんとか過去と繋がるワームホールを開発し、現代人の協力を無理やり得る事でなんとか戦争を継続しようとします。
未来人の登場から、未来世界での戦闘までテンポよくどんどん話が進み、またそれ以降の展開も基本的にアクションに比重を置いて、難しい話を極力避けるような形で構成された映画でした。
派手なアクションシーンと家族や仲間の絆に比重を割いた物語で、クリスプラット演じる主人公は当然のように従軍経験ありの一児のパパといったところで、典型的なヒーロー像が投影されたような存在なのはご愛敬。
『インデペンデンスデイ』とか『世界侵略:ロサンゼルス決戦』とか、それこそ『オールユーニードイズキル』とか、SFアクションの特にアクションを大事にしてそうなこれまでの映画と同系統の作風なので、そういうのが好きな人にはしっかりハマる内容だと思います。
■感想(ネタバレあり)
敵クリーチャーのホワイトスパイクにマジで謎の既視感覚えて困惑してたけどティラノサウルス捨てて生身にしたバーサークフューラ―っぽい!!
未来人が過去世界に協力を求めにタイムトラベルしてくるのはいいとして、その内容が「未来の世界では人類は50万人にも満たないほど殺されまくってるから現代人を徴兵しまーす!!」なのはぶっ飛びすぎてて流石に笑いますって。
徴兵対象はいずれも未来で戦争が起きている時点では、既に死亡する事が判明している40代前後の大人達なので、"存在の矛盾"(同一時間軸に同一の個人が複数存在してしまう状態)を回避しています、という謎ケアによるものなんですがこの「どうせ君達戦争前に死ぬんだからいっそ未来の戦争で戦って死んでくれ」的な冷たい思想に誰か疑問を呈すべき。やべえことやってるからなそれ。
主人公ダン(クリス・プラット)が未来で娘のミューリ(イヴォンヌ・ストラフスキー)と雑談してる中で、タイムパラドックス周りのこの映画時空での設定がしれっと判明しますが、この映画は分岐型の解釈が採用されています。過去を変えれば未来が分岐するっていう初期ターミネーター方式。
その為、未来に徴兵されなかったダンのその後の人生が語られたり、後半での展開としてダンたちが送られた未来世界は滅ぶけど、その代わりに過去に敵を全滅できるウィルスを持ち帰ってもらってそれで敵を滅ぼして貴方達の世界は救ってね!というパスが回ってきたりします。
毎週数千人の中年がほぼ強制的に徴兵され現代世界から送り込まれた未来世界。基礎訓練など殆ど行われず送り込まれた素人上がりの現代人は7割近くがそこで戦死してしまう地獄が待っている訳で、当然未来世界の未来人たちも同様に次々とホワイトスパイクとの戦闘で死亡しています。
一方で現代と未来を繋ぐワームホールはわりと健在かつ安定的に運用されているわけで、ワームホールが使える内に未来人をそのまま過去に避難させちゃえばいいんじゃないかって僕は思ったんですがどうでしょう。どうせ滅ぶ世界は捨ててしまえば吉。
と思ったんですけど、ミューリ達が戦ってたのってホワイトスパイク全滅用のウィルスを完成させるまでの時間稼ぎ的な意味もあったので一概にそうとも言えないんですね。存在の矛盾云々も絡んできますし。やるな。
未来で敵対しているホワイトスパイクとの戦闘シーンがかなり力が入っていて非常に見応えがありました。多数のホワイトスパイクが攻めてくるシーンと、個体それ自体の恐ろしさを強調するシーンとで、上手く描き分けられていて面白いです。
例えば前者なら人類を飲み込む波のように攻めてくる、圧倒的な数を印象付ける俯瞰でのショットが多用されていますし、後者ならSFホラー的なエイリアンシリーズ的なスリリング演出が多用され、それぞれの描写でホワイトスパイクの恐ろしさが上手く強調されていたと思います。
そんなホワイトスパイク、背中の触手からスパイク状の突起物を射出する戦闘スタイルがめっちゃかっこいいです。
その威力の描写も結構凝っていて、スパイクの直撃を受けた人間が勢いそのままに吹っ飛んでいくのとか、いかにもやべえ敵って感じがして好きです。
現代世界に実はずっといたけど氷河の中で冷凍保存されて眠っていたホワイトスパイクを、ミューリと滅んだ世界の置き土産であるウィルスで殲滅する終盤の展開、個人的に地獄の未来戦争よりもこの辺りの雰囲気の方が好きでした。
なんというかロケーション選定シチュエーション選定も含め、この辺りの雰囲気が戦争SFアクションってより『遊星からの物体Xファーストコンタクト』とか『ライフ』とかの終盤っぽい感じに近いんですよね。
さっきまでド派手に殺し合っていたのに、SFホラー映画の終盤の雰囲気が突如融合してくるような感じで、ある種のギャップなのかもわかりませんがそこに惹かれました。
と思っていたら氷河に埋まる宇宙船もろともホワイトスパイクを爆殺し一掃する形で、強引に大作SFアクションの世界線に引き戻しくるふり幅の壊れ方。
ダンと彼の父親(ファッキンテンポJKシモンズ)が、爆破から逃げた最後の一匹をハンティングするクライマックスの決闘感も良いですね。
バトルシーンの規模で言えば後半にかけてどんどん縮小しているはずなのに、相対的に緊張感だったり迫力だったりが高まっていくのが面白いところで、最後なんて一匹と二人の決闘なのに一番盛り上がるまでありますからね。
■〆
個人評価:★★★☆☆
ホワイトスネイクって何度も書き間違えそうになりました。
よくあるSFアクション映画の範疇だと思うんですけど、後半にかけての盛り上がりの作り方であったり、敵クリーチャーのバトルシーンに対する凝り方だったり見どころが結構多くて個人的にはかなり楽しめる映画でした。
それなりにツッコミどころも見え隠れしますが、そこは勢いで殺せている部分が大多数ですし、タイムスリップ要素が絡む割に気楽に観れて良いと思います。
ではまた。