ブルーパブの家計簿 小さなブルーパブをはじめたい人へ
今回は「自分で小さなブルーパブをはじめたい」という方にざっくりとした「ナノブルワリーの家計簿」を書きたいと思います。
まず、いろいろすっ飛ばして(笑)
ビールの材料原価+酒税は
250~280円/L
となります。
多くのパブで採用されているUSパイントで換算すると
1USパイント(473ml)=118~132円
となりますね。
安いって?
いえいえ、材料原価と酒税でこの値段なので、この段階では製造、保管から販売にかかる光熱費や人件費は含まれていません。
クラフトビールの卸値は800~1000円/Lが相場です。
10L樽で8,000~10,000円(消費税含まず)と書けばイメージしやすいでしょうか。
材料原価が250円/Lとすると、原価率25%はわりと妥当と思えるのではないでしょうか。
ビアパブ(≠ブルーパブ)でUSパイントを頼むと1,000円強なのは、この仕入れ値から考えると良心的とさえ自分は思います。
一般的な飲食店として、売上高に対するFLコスト(原価+人件費)は50%以内、売上高に対する人件費は15~20%といわれています。
例えば月の人件費が30万円、人件費率を20%とした場合、月の売り上げは150万円必要で、月25日間の営業とすると、6万円/日の売り上げが必要となります。
(FL比が50%の75万円として、人件費を引くと月にかけられる原価は45万円までとなります)
客単価3,000円のお店だと一日あたり20人の来客数が必要ですね。
ここまで踏まえてもらえたら、次は「月に何リットルのビールを作って売ればよいか」ということを書いていきたいと思います。
客単価3,000円として内訳を
ビール2,000円、フード1,000円=3,000円
と仮定します。
1USパイント1,000円×2杯
おつまみ500円×2品
とでもしてみましょうか。
そうすると、月の売り上げ目標が150万円、ビールだけで月100万円分の売上をあげることが目標になります。
一杯473mlを1,000円で売るとして、月に1,000杯=473Lのビールを作って売ることになります。
月に500L作って売ることができれば、やっていけそうです。
(ちなみに、酒類製造免許の中で発泡酒の年間最低製造数量は6,000L、月毎で割ると500L/月となり、大体、先述の数字と合致します。)
このモデルだと、1日の売り上げが目標6万円となっていますが、飲食業界では、3営業日分の売上が一般的な家賃と言われているので、かけられる家賃は18万円までとなります。
まとめ
人件費 30万円/月
売上目標 150万円/月
目標製造数量 500L/月
家賃 18万円まで/月
よし、これで自分も一人でブルーパブができるぞ!
と思ったあなた、無理です。
なぜかって?
飲食店とブルワリー業務の全てを一人でまわすのは常人には不可能だからです。(経験者は語る)
このモデルだと、一回の仕込み量が300~500Lの設備を導入して月一回か二回仕込めば楽勝でしょ?
と、思うかもしれませんが、ビールは仕込み以外にもいろいろと手がかかります。
確かにビールの仕込み自体は1日で済みますが……
例えば樽詰め。
15Lか20Lの樽を導入した場合、500Lで25~33樽ほどになりますが、まずこの量の樽詰めで1日仕事になります。
また、ステンレス樽の場合、空になった樽は洗浄してまたつかうので、洗浄作業が必要です。これにも100万円以上する樽洗浄機を導入しない限り、1日使います。
仕込み、樽詰、樽洗浄で少なくとも3日。
お店の営業日が25日間だとすると、これだけで28日潰れてしまいます。
そうするとあなたが休める日は月に2~3日あれば良い方です。
(酒税関係の帳簿づけや醸造設備の洗浄など、他にもやることはたくさんあります。)
人件費が月30万円まで使えると考えると、自分ともう一人雇って2人体制で、ということも考えられますが、収入は当然少なくなります。
仮に月10万円分働いてもらうアルバイトの方を雇うとします。
東京都の最低時給1,013円(2021年5月現在)ですから、98時間/月の労働力が確保できます。(本当は交通費や雇用保険などでもっと費用がかかりますが……)
さて、他にはどういうモデルが考えられるでしょうか?
あなた自身がやりたいこと、やれることを考えていくと、色々なスタイルが考えられそうです……
(つづく)
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