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ブルーパブの家計簿その2 事業計画を立てる前に

前回までのあらすじ(大嘘)
ビール好きが高じ、脱サラしてブルーパブを始めることにした麦山田ホプ太郎(37歳、独身)だったが、趣味の火の輪くぐり中、突然異世界に転生してしまって……?!

醸造事業のサポートをやっています、高です。

冗談はさておいて、前回の続きです。
あなたは、小さなブルーパブを始めようと決心しました。

しかし、ざっくり事業計画を立ててみるとちょっとキビしそうです。

前回の記事で、それをうまくいかせるためにはどうしましょうか(つづく)と締めた記憶があります。

その前に、最近私が開業しようとしている方たちの相談に乗るうち「事業を始める前に、あらかじめ押さえておくとあとが楽かも」と思うポイントがでてきました。

今回はそんな、ブルワリーを始めようとした時に見落としがちなポイントをまとめてみました。

1.できるまで時間がかかる

ビールは通常、仕込みの日から発酵期間を経た後、冷温下で熟成をする必要があります。

作ってすぐに飲めると言うことはないので、仕込みから飲めるようになるまで、大体どれくらいの時間がかかるかまとめました。

仕込→1日
発酵→1〜2週間
熟成→2週間〜3ヶ月以上

こんな感じで、仕込みはじめてから1ヶ月後くらいに「飲めるようになる」わけです。

なんとなく作ってすぐ飲めると思ってた、という方も多いのではないでしょうか?

なので「来週末にあるイベントにオリジナルビールをつくって出したい!」なんて依頼は……

2.在庫の置き場所が必要

ビールは冷蔵室で保存しないと、すぐに悪くなってしまいます。
小さなブルーパブだと、大体3坪前後の冷蔵室を備えていること多いです。

月産の醸造量が500〜1000Lとして、それを入れておく樽が必要になります。
1000Lのビールを詰めておくのに10L樽が100個……
だとぜんぜん足りないです

通常のステンレス樽を使う場合
樽は
・ビールを詰められる状態(空樽)
・ビールが詰めてある状態(出荷待ち)
・中のビールがなくなって返却されてきた状態(洗浄待ち)
の3つのサイクルで動いていきます。

理想は「洗浄待ち」をなるべく少なくして「空樽」もしくは「出荷待ち」が多い状態ですが

4〜5個の洗浄待ち樽のためにこまめに樽洗浄にスケジュールを割くのは現実的ではありませんよね。

自分の感覚ですと、月産の3倍くらいの樽を持つのが理想的です。
(外販する場合、空樽がすぐ返ってくるとも限らないし…)

というわけで、これらを置いておくスペースも確保しておかなきゃならないのです。

3.安く買い叩かれる

ちょっとミもフタもない書き方をしてしまいました。

クラフトビール好きの方からしてみると、ブルーパブで飲むと一杯1,000円以上するのは当たり前ですが

なんとなく「近所にビール屋さんができたから飲んでみよっと」というお客さんにとって一杯1,000円以上はなかなかのもんです。

そして、世の中クラフトビールファンじゃない人がほとんどです。

ビール好きで毎晩のようにビアパブに通っていたり、SNSでお酒好きの方達とやりとりしていると、だんだんその感覚が鈍くなってきちゃいますよね…(自戒の念をこめて書いています)

パブで提供するにせよ、ボトル/缶で売るにせよ

大手の美味しいビールがスーパーで200円以下で買える時代です。

自分が作ったビールを、その何倍もの値段で飲んでもらうためにはどうしたら良いか?

これは難題です。

ですから、パブを始めて、お客さんに「なんだたかがビールなのにずいぶん強気の価格だね、隣の居酒屋だと中ジョッキで300円だよ」と言われてもどうか腹を立てないでください……

ボトル/缶売りも同じで、「うちのカフェで置きたいからボトルビールの見積ください!」と言われて見積書を出しても「うーん」というのもザラです。

長くなりましたが、今回はこの辺で。

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