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『J-KISS』をブリッジ調達で利用する際の、既存・新規株主とのコミュニケーション含めた注意点!
こんにちは!
KIRINJI株式会社CEOの早瀬です。
本日は、スタートアップがシードフェーズで活用する『J-KISS型新株予約権』による調達を、シードではなく、シードとシリーズAの間等の「ブリッジ調達」で利用する際に注意する点をまとめました。
■ J-KISSとは
J-KISSとはCoral Capitalがメンテナンスを行いオープンソースとして無償公開しているコンバーティブル・エクイティを使ったシード投資のための投資契約書です。
*ここから入手できます。
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「J-KISS=ひな形のまま使う」というイメージを多くの投資家の方がお持ちのため、多くのケースで、ひな形をそのまま利用して投資を受けることができます。
このように便利なJ-KISSですが、ブリッジファイナンスのタイミングでも利用可能です!
このnoteでは、ブリッジファイナンスのタイミングでJ-KISSを利用する際に、契約書修正で気をつけるポイント、既存・新規株主への説明について、実際に私が行ったことを説明していきます!
*そもそもJ-KISSについて知りたい!という方は、以下をご覧ください!
前編はもちろんですが、特に後編が大事です!
■ ブリッジ調達時に注意すべきこと
前段で案内したCoral Capital様が、ブリッジ調達時に気を付けることを公開くださっています。
実際に私がJ-KISSをブリッジに利用した際に、特に以下の点に注意が必要だと感じました。
①既存・新規投資家のそれぞれのメリットを予め説明し大枠の合意を取る
そもそもなぜJ-KISSのひな形を活用するのか、J-KISSによって既存投資家が得られるメリットは何か、また新規投資家が得られるメリットは何かを説明し、J-KISSのひな形を使う許可を得てから契約書の準備に入りましょう。
②既に種類株を発行している場合は契約書を修正
種類株を発行している場合は、J-KISSの変換に関する条件が種類株の権利と衝突しないようにする必要があります。
③M&A時の処理を決める
M&Aの場合には、J-KISSがどのように処理されるかを事前に明確にしておく必要があります。特にイグジットが多様化してきたいまは、M&A時における清算優先権や、変換時の株式評価額の取り扱いについて既存/新規投資家と合意を取ることが大切です。
④フロアを追加する
J-KISSにおける株式変換時の価格にはフロア(下限)が設定されることが一般的です。このフロアが低すぎると、既存株主の持分が過度に希薄化する可能性があるため、適切な水準で設定する必要があります。逆に、フロアが高すぎると、投資家のインセンティブが減少する可能性があるため、バランスの取れた条件設定が求められます。
上記の項目について既存・新規投資家とコミュニケーションし、合意が取れた内容を弁護士に依頼して契約書に反映していきました。
■ 大事なのは投資家とのコミュニケーション
実際に私が既存・新規投資家に送った資料の一部を公開します。
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各パターンについてはさらに細かく説明資料を作りました。
加えて、契約書に記載する以下の内容をサマリした資料を作りました。
①資金調達時(=J-KISSのB種株式転換)に関係する項目
・株式転換のトリガーとなる調達金額
・株式転換時のディスカウント割合
・フロア価格
②M&A時(=J-KISSのA種株式転換)に関係する項目
・M&A時に転換される株式
・ポストキャップ
さらには、上記の条件をもとにした際の
①調達時の資本政策表、②M&A時のキャピタルゲイン、この2つのパターンについて、調達やM&Aの金額ごとのシミュレーションした資料を作りました。
■ 弁護士と契約書作成
ここまで説明資料を作成したらもう大丈夫。
弁護士の先生には、投資家説明資料と、以下のスライドだけを送りました。
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今回の依頼はGVA法律事務所の熊谷先生にご依頼しました。
J-KISSをはじめ、スタートアップの資金調達に慣れていらっしゃる先生・事務所であるため、費用感・スピード感ともに非常に良かったです。
■ まとめ
J-KISSは、スタートアップや投資家双方にとって、迅速かつ柔軟な資金調達手段として非常に優れた仕組みです。シンプルな契約内容で交渉負担を軽減し、将来の資本政策に配慮した構造を持つことで、初期段階のスタートアップでも活用しやすい点が大きな魅力です。また、株式転換の条件を明確にすることで、投資家にとってもリスクがコントロールしやすい仕組みとなっています。
このJ-KISSは、ブリッジ調達の際にもメリット多く活用ができます。
ぜひ、このnoteが少しでも皆様の参考になれば幸いです。