地域ブランディングのイチロー(?)戦法
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエ イティブリーダシップ特論 第3回 平井俊旭さん(2020年6月1日)
クリエイティブリーダシップ特論・第3回の講師は、雨上株式會社の平井俊旭さんです。
平井さんは、株式会社スマイルズでSoup Stock Tokyoのブランディング・グラフィックディレクション・プロダクトディレクションを担当され、同社を急成長に導いた後、自分の会社を設立されて地縁のない滋賀県高島市に移住、同市の地域資源のブランディングに取り組まれているそうです。
高島市は琵琶湖西岸の北側に位置する都市とのことで(「麒麟がくる」で足利義輝が落ち延びていた朽木も含まれていますね)、琵琶湖西岸といえば学生時代に車で山中越えをしてよくドライブした地域なのに、どこにあるのかパッと思い出すことができません。
そんな高島市で、平井さんはどのようにブランド化を進めようとしているのか。
特に印象的だったのが、
「小さく、数を続ける」
というスタンスで取り組まれているということでした。
そこで思い出すのが、琵琶湖を挟んで対岸に位置する彦根市です。
彦根市は、彦根城という強力な観光資源を有することに加えて、「ひこにゃん」という幅広い年齢層に訴求できる強力なコンテンツを持ち、真逆の方法で知名度を高めているように思います。
彦根市が大きなホームランで勝負を決められる長距離砲であるとすると、平井さんの作戦は、短打を重ねるイチロー戦法といったところでしょうか。
イチローは、試合に出続けること、毎年コンスタントに成績を残すことを重視していましたので、そこに重なるものを感じます。
地域ブランディングというと、ゆるキャラのような成功事例に安易に追随しがちなようにも思えますが、細かい実績を積み上げていく戦略がどのような成果を上げていくのか。
自分は地方出張で地域産品を見る機会が比較的多いほうですが、各地で様々な取り組みが行われている中で、果たして需要者側にどれだけの購買余力があるのだろうかと感じることもあります。ハードルが高そうな取り組みですが、イチロー戦法の動向は非常に興味深いです。
次に滋賀方面に行く機会があれば、高島市にも足を伸ばしてみることにしよう。