マーダーミステリーをひとつ作ってわかったことの雑記
昨今のマーダーミステリーブーム。
筆者の知り合いのVTuberたちがこぞって新作を作る中、僕自身も何かしら作り出さねばと四苦八苦し、ようやく一作品完成させた。
マーダーミステリー『騎上の空論』
https://toraku.booth.pm/items/2697795
これは、そんな中でいろいろ思ったことの雑記である。
マーダーミステリーには制限がある
マーダーミステリーは知っての通り、複数の人間が話し合って犯人を決めるゲームである。
当然のことのように書かれる、この常套句が実はやっかいだったりする。
つまり、マーダーミステリーは"登場人物だけで犯人を処断するという状況"がまず作られなければならない。
当たり前だと言えば当たり前なのだが、この条件を生み出せるのはいわゆるクローズドサークルなど、設定的にかなり限定されたシチュエーションが求められる。つまり、作れる作品の幅は思ってる以上に少ない。オープンな状況で事件が発生してしまうと、みんなで犯人を指名する状況が滑稽なものになってしまう。
作品によっては犯人をその場で処罰することになる。言い方は悪いが私刑というやつだ。それが許される状況もかなり限られてくる。現代日本を舞台にするとなお難しい。
もちろんシステム的に例外があるシナリオもあるだろうが、多くは狭い範囲を舞台とした作品になるだろう。
まずはタイムラインを埋めろ
マーダーミステリーの多くは人物の時間ごとの動きを示すタイムラインがハンドアウトに書かれている。マーダーミステリーを作るにあたって、ある程度のコンセプトが決まったら全員分のタイムラインを一気に作るのがコツ、な気がする。
細かい部分はあとから微調整すればいいので、まずは全体の動きをしっかりと作り上げるのだ。まとめて作るとこで矛盾が発生しにくくなる。
表記揺れは大敵
ハンドアウトに書かれている文章は、受け手がどう感じるのかをできる限り想像して修正を繰り返す。「こう書いたつもりだったのに、違う意味で受け止められてしまった!」というのはしょっちゅう発生する。
これはもはや予想だけで完全に判断することは難しい。テストプレイを繰り返し、チェックを重ねないといけない。
多人数の思惑が交錯するのは楽しい
シナリオによるが、やはりTRPGよりも多人数のシステムは面白い。そのぶん集めなければいけない人数が多くなるが、とにかく多人数は楽しい。
制作者側から見て、各々がハンドアウトに従って動くのを眺めるのは、至高の愉悦感を味わえる。予想もしないムーブが発生し、プレイヤーが翻弄されるのをニヤニヤしながら見るのも最高だ。これを味わうためだけにマーダーミステリーの制作をオススメしたい、といってもいい。
おそらく今がマーダーミステリーのバブル期といえる時期なのだろう。今後も多数の作品が生み出され、どこかでバブルは弾けるかもしれない。そうなる前に一度はマーダーミステリーを味わっていただきたい。