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九州島内完乗達成なるか!?① 西九州新幹線・松浦鉄道・福岡市営地下鉄七隈線
朝5時、30分で着替えと支度をして、寝ている妻と子どもを起こさないようにそっと家を出る。羽田発8時25分の飛行機に乗るため、この時間に家を出たのだが、すでに暑い。そして東京方面は通勤客で座れなかった。今日は8月13日だが、夏休みではなく仕事の人が結構いるようだ。
しかし、品川駅で京急に乗り換えると様子は一変した。キャリーバッグを手にした旅行客で社内は足の踏み場もない。人の数はそこまで多くないのだが、それ以上に荷物がスペースを占めているため、とても窮屈だ。つい、何をそんなに詰め込まなければいけないのだろうか、と思ってしまう。
羽田空港に着いてからどこかで朝食を済まそうと思っていたが、まだ店は開いておらず、開いていても同じような客で混みあっていた。先に搭乗手続きや保安検査を済ませて中に入っても状況は変わらない。発行された搭乗券を見ると、搭乗口は「46」で、バスで案内される500番台の搭乗口から、離れたターミナルにバスで移動するらしい。そこの方がいくらか空いているとにらんで階段を降りると、軽食コーナーがやっていて、おにぎり2個とみそ汁の朝食セットにありついた。
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今回、九州に残っている未乗線区を1泊2日で制覇する計画を立てた。その入り口である長崎空港には定刻に到着。長崎空港は何度か利用したことがあるが、天然の離島を大規模工事で改造した海上空港だ。長崎や佐世保に向かうリムジンバスが矢継ぎ早に出ていく合間を縫って、赤い車体の路線バスが停まった。この諫早駅行きの長崎県営バスに乗って、対岸の大村駅へ向かう。海上橋を渡るとすぐに大村市街に入る。消防学校、試験場と、公共移設が多い。長崎と佐世保という2大都市の中間あたりにあり、空港や港もあるので、何かと便利な町なのかもしれない。
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大村駅は街の中心部にあったが小さく、そこだけ時間が止まっているかのような木造の駅舎だった。冷房は効いていないが窓から入るそよ風が心地よい。次に乗るのは11時20分発の快速シーサイドライナーで、長崎へ向かう。新型のおもちゃのようなデザインのディーゼルカーで、背もたれが高くなっているのは座り心地としてはいいのだが、その分、窓の下が隠れてしまっているのは微妙だ。
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やがて新幹線の高架下をくぐり、長崎本線と合流して諫早に到着。しばらく停車する。諫早と長崎の間(正確には喜々津と浦上の間)は2つのルートがあるが、この列車は直線で結ぶ現川経由だ。長いトンネルを抜け、長崎市街地に入ると曇り空だった。見下ろすと路面電車が走っている。
長崎駅は新しくなり、新幹線の大きなホームに在来線が間借りしているかのようなだった。路面電車の乗り場も遠く、おそらく近いうちに再開発で整備されるのではないだろうか。そのきれいになった駅の向こう、山裾には県営バスのターミナルと駅前商店街が見えた。いつ再開発で消えるか分からないこの一角で、せっかくなので昼食にしようと思ったが、お盆だからか昼の営業をしているのはラーメン屋ばかり。そんな中で、窓やドアにチラシやポスターばかりが貼られて、中の様子が見えない定食屋を見つける。こういう雰囲気の店はいかにもなじみ客を相手にしているようで、普段は敬遠しがちだが、思い切って入ってみる。ランチメニューには定食やカレーが並び、ちゃんぽんや皿うどんもあるが、片隅に追いやられている。迷ったものの、どう逆立ちしても一見さんなのは変わらないので、ちゃんぽんを注文。これが正解だった。ニラやキャベツとうった野菜たっぷりの具で面が見えない。刻んだかまぼこ、豚肉、エビが溶け込んだ塩気のあるスープは、熱々なのに汗をかく夏にぴったりだ。
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乗車予定の西九州新幹線かもめ34号まで小一時間ほどあった。路面電車でどこかの駅まで往復することも考えたが、時間が読めないために駅の中にある土産物屋を散策。すると、出来立てのアジフライやさつま揚げを売っている店を発見。コンビニで買ったビールと一緒に、新幹線の中で昼呑みをすることにした。夏休みでもこの時間帯の始発では空いており、周囲の目を気にしなくてよい。
さて、初球は王道のさつま揚げ枝豆チーズ。これは外れようがない。2番手は「あじ御開き」という聞きなれない名前の一品。アジを開いて揚げたようなものなのだが、食感がかまぼこのようにふっくらしている。3品目はアマダイの天ぷら。これはほろりと身がほぐれ、文字通り少し甘い。文句なしのストレートがミットにずしんと納まった。そして最後はアジフライ。関東のアジフライと違い、この辺りのアジフライは小判型をしている。フライを上(揚)げて、見事打ち取られた。
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そうこうしているうちに、先ほど上陸した大村の市街地を抜けて海が見え、新幹線は棚田の中を抜けていく。末端の区間が先行開業した西九州新幹線は70キロ弱しかないため、もうすぐ終点の武雄温泉だ。反対側のホームには博多行きの「リレーかもめ34号」が停まっていたが、これには乗らず、反対方向の普通列車を待つ。武雄温泉駅のある武雄市は図書館の運営を蔦屋書店に委託し、書店としても営業するなどして一時有名になった。その賛否はともかく、駅の中にもコンセプトがはっきりした土産物屋や休憩スペースがあって、居心地がいい。
2両編成の電車で数駅。焼き物で知られる有田で下車。1両だけの松浦鉄道のディーゼルカーは冷房が効いており、未乗区間ながら、昼呑みでアルコールが回ってうとうとする。焼き物の窯元の煙突や、夫婦石など縁起のいい駅が続く。
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終点の伊万里は松浦鉄道とJR筑肥線の駅が道路を挟んで向かい合っており、もともと同じ国鉄の路線だったにもかかわらず、不思議な位置関係にある。9分の接続で筑肥線の列車がある。1両のディーゼルカーの車内は座席が埋まる程度に混んでいた。田んぼにかかし、風にそよぐ緑のさざ波。
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筑肥線は不思議な路線だ。福岡県側の姪浜と唐津の区間と、佐賀県内の山本と伊万里の区間に分かれている。当初は1本の路線で、博多から伊万里までを結んでいたが、福岡市営地下鉄との直通運転に伴う廃止などで現状の飛び地路線になってしまった。同じ名前であるにもかかわらず、1両だけのディーゼルカーと地下鉄へ入る6両編成の電車が行き交う都市近郊路線のギャップは大きい。いっそのこと路線名を分けてもいいのではないかと思うのだが、そうはなっていない。
時折、線路沿いに伸びた枝葉が車体にあたり、かさかさと音がする。肥前久保を過ぎると右手に唐津線の鉄橋が見え、この線路をまたいでからしばらくして並走すると、山本に着く。ここで佐賀行きの唐津線と接続。加工が近くなって川幅が広くなった松浦川に寄り添う。
唐津で再び、今度は出世した筑肥線に乗り換える。出世したとは言っても、3両編成の103系電車。これももう、日本全国で見れば珍しい存在となっている国鉄型通勤電車ではある。唐津城を眺めながら松浦川を長い鉄橋で超えると、虹の松原に沿って線路は走る。それを過ぎると玄海灘が広がる。通勤路線のイメージがある筑肥線だが、車窓はなかなかのものだ。
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筑前前原で福岡空港行きに乗り換えて、そのまま姪浜から福岡市営地下鉄に入り、天神で下車。地下街を5分ほど歩くと、新しく開通した市営地下鉄七隈線の天神南駅にたどり着く。4両編成の電車で車体も小ぶりなので、狭く感じる。終点の橋本まで乗って、折り返して終点の博多へ。今日は博多で1泊する。
ホテルそばの居酒屋に入ろうとすると、もう閉店だと言われ、さらにさまよって別のホテルの地下にある海鮮料理屋でカサゴの煮つけをつつく。
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