見出し画像

22.5.6 ゴムは偉大なる豚である

こんばんは、多部栄次です。
毎日日記やっていきましょう。

今日はゴムの日ということで、Twitterを見ますとまぁ案の定の内容を呟く人が多くて、平和だなぁと元気をもらいました。あとルフィの誕生日…は昨日(こどもの日)か。

さて、そんなゴムも僕の好きな高分子材料でありますので、材料としてのゴムを簡単にですが語りたいと思います。ゴム技術者や高分子屋の人たちにとっては良く知っている内容ではありますが、教養(というのも語弊ありますので、厳密には基礎)程度に紹介しようと思います。いやホント簡単にですよ、質は期待しないでくださいね。

1.ゴムとは

まず、ゴムほど奥が深いものは他にないと言いたいくらい、魅力的な材料です(個人の感想)。というのも、ゴムは一見単純そうで複雑で、未だ解明されていない部分は多いんですよね。特に配合の面が研究者・技術者の腕の見せ所ですね。あとはロール混錬や加硫工程でも技術を要します。それらひとつとってもそれぞれに特化した技術者がいるくらいです。配合を設計する配合師、混錬するロール技術者、(呼び含む)加工する職人がいますね。

ゴムとは、といいましても調べればすぐに分かるので正直これ書かなくてもいいんじゃないかと思ったりしていますが、ざっくり説明すると高分子の一種ですね。プラスチックと同じく、高分子量体です。

ゴムには大きく二種類ありまして、生ゴム(原料ゴム)エラストマー(弾性体)ですね。前者は平均分子量10~100万以上の線状高分子ですがプラスチックと異なり、分子同士の引力が小さく、というのも室温において分子の回転運動が活発なんですよね。そのため絡み合い相互作用が大きく、自然状態では比較的弾性を帯びた固体であることが多いです。ただ架橋してないので塑性もあります。伸ばしたらのびっぱなしのものがこれにあたります。

そのゴム材に、硫黄や過酸化物といった架橋剤を添加し、加熱プレスして架橋することで弾性を飛躍的に向上させたものが後者(エラストマー)ですね。外力を加えて伸ばしても、除くと直ちに収縮して元の状態に戻るものを指します。

2.主なゴムの種類

ゴムにはいろいろな種類がありますね。そりゃそうか。
まぁ調べたらすぐに出るので言う必要もないでしょうけど言いたいから言います。主なものを以下に挙げます。ついでに個人的な感想も添えます。

・天然ゴム(NR):力学物性は全ゴムの中で最強クラス。しかし劣化しやすいし植物由来なので品質(分子量・構造等)のばらつきは大きい。てかめっちゃ分子量大きいので素練りして分子量減らす工程が必要。タイヤによく使われる。

・イソプレンゴム(IR):天然ゴムと同じ分子構造であり、イソプレンと触媒(チーグラー触媒かリチウム触媒とか)で人工的に重合したもの。しかし物性はNRには敵わない…が、振動吸収性や電気特性がNRより優れており、分子量も均一に近い。素練りも不要。ただ高価。ちなみに上記はシス型の特徴であり、対してトランス型はめっちゃ強度が上がる。ゴルフボールや医用部品に使われる。トチュウとかの植物から得られる。

・ニトリルブタジエンゴム(NBR):一番いろんなところで使われている便利なゴム。パッキンから靴底までなんでもござれ。ロール混錬の初心者はまずNBRからやるのがいい。適度に巻き付きやすいし切りやすい。耐油性に優れているし、ニトリル量を制御することで耐熱や耐寒性を付与できるし(ガラス転移温度の制御)、他の物性(耐久性)や加硫速度を調整できる。ゴム材のものはちょっとおいしそうに見えるし独特な臭いが癖になる。

・スチレンブタジエンゴム(SBR):めっちゃ粘つく。ロールにしっかり巻き付くし切るのもめっちゃ力要る。けどフッ素ほどじゃない。だからすぐに熱くなる。すげぇ個人談。スチレンとブタジエンの比率でウェットグリップ性と摩擦抵抗性を制御する。タイヤにも使われている

・クロロプレンゴム(CR):塩素が入ったゴム(超ざっくり)。ハロゲン系が入っているので耐候性・耐油性に優れている。その上難燃性。なんか艶っぽい。EPDMとよくブレンドされがち。だった気がする。

・エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM):名前にエチリデンノルボルネンが入ってないのがいまだにわからないやつ。そんでノルボルネン構造が入っている意義を未だに知らない。これも混錬的にはやりやすい。耐熱・耐候・耐オゾン性を有する。良くブレンドされがちな気がする。

・シリコーンゴム(Q):唯一の無機系高分子。炭素でなくシリコンが主鎖。耐熱や耐寒性、生体適合性もに優れていることから医用品に使われることが多い。柔らかいので力学物性はそこまで高くない。練る時もべたつくし切ってもはがれにくい。熱もでないから配合剤も融点高いものや堅いものは不適。ある意味強敵。でも肌触りいいんだよな。構造は四種類ある。

・フッ素ゴム(FR):最強のゴム。その分価格も最強クラス。耐熱や耐油性、耐薬品性がドチャクソやべぇ(語彙力)。耐寒性も良き。やっぱフッ素はすげぇや。分子さについているフッ素の数や形で性質も変わる(当たり前や)。練るときめっちゃ力要る。なんだあれ。

・ウレタンゴム(U):ウレタン系めっちゃ多くて覚えるのに苦労した記憶。ウレタンフォームもあるし、ポリエステル系ウレタンやポリエーテル系ウレタンもある。プラのウレタンもあるし。力学物性は強いですね。耐摩耗性も良いですし、耐老化性も耐薬品も耐オゾンも優れてますし。ただ加水分解しやすいからスチームとか熱水とかに弱い。熱にもそこまで強くはない。

上記以外にもまだ種類はありますが、細かくなるので割愛します。あとそろそろ寝落ちしそうですので。

3.ゴム製品ができるまで

これも調べたらあっさり出るので僕が説明する必要もないですが、紹介程度にざっくり説明します。またいつかしっかりと語りたいですね。正直、配合や分子構造だけでも十分に語れますので笑

1.ゴム材選定・配合設計
 用途によってどういったゴム材が適しているかを選ぶ。またどのくらい作るかを把握。またどの配合剤をどのくらいの量で添加すればほしい物性や機能性が得られるかをデザインする。

2.秤量
 ゴムの重量と配合剤を測ります。めんどい。

3.ゴム練り・配合
 大きな工場であればバンバリーミキサーがよく使われていますが、高品質を狙いたいならオープンロール(二軸ロール)での混錬が良いですね。ゴム材をロールに巻き付けて、練りながら配合剤を添加して配合ゴムをつくります。これが職人技を要します。
 配合剤には種類があり、以下に分類されます。
・加工助剤:ゴムを練りやすくするための薬品。ステアリン酸がメイン
・加硫促進剤:ゴムの加硫(架橋反応)を補助する薬品。亜鉛華は必須。それ以外もいろいろあるし、逆に加硫を遅くさせる加硫遅延剤もある。
・補強剤:ゴムの力学的物性を向上させる重要な薬品。増量剤にもなる。カーボンブラック(CB)がメイン。CBにも粒子の大きさがあり、また添加量で引っ張り強度や圧縮永久ひずみを制御する。皮膚につくと中々取れない。
・可塑剤:ゴムを柔らかくして伸びを良くさせる(柔軟性を高める)。液状のものが多い。一気に入れるとゴムがドロドロに溶ける。
・老化防止剤:熱や光等による劣化を防ぐための薬品。組み合わせで老化防止性は飛躍的に向上する。
・着色剤:製品によってはつかわないことも。見栄えをよくするために使われることが多い。皮膚につきやすい。
・架橋剤:加硫剤とも。硫黄や過酸化物を指す。硫黄はそのままだと混ざりにくいのでEPDMとかのゴムに混ざったものを使う。一番最後に添加する。でないと熱で架橋・ゲル化してボロボロになる。

こんなもんですかね。多種多様の配合剤があり、また分量(phr)によって現れるゴムの性質は千差万別、練り方やロールの温度、混錬時間と回転速度によって大きく左右されるのでまさに技術が求められます。工場スケールだと30kgのゴムの塊を取り扱うこともあるので、ロール混錬の職人さんはがっしりとした体形の人が多いです。配合設計もレシピとして重要に保管されていることもあり、昔は配合師を年収1000万レベルで雇ったとか雇わなかったとか。

4.予備加工
 配合ゴムを指定された寸法でカットする工程。短冊形や丸形とかいろいろある。これも手間がかかるし、手動なら均一の重量の加工品を作る技量が求められる。

5.加工(加熱加硫/プレス加工/金型加工等)
 金型にカットした配合ゴムを置き、プレスや射出成型機等で加熱・架橋させてエラストマーへと成型する。これでようやく製品が生まれる。ここでも金型の設計でいろいろ議論するし、金型の温度や時間、熱の偏りやゴムの熱伝導といった条件を調整する必要がある。ひたすら試行錯誤しているが、ここに実験計画法を活用したいよね(突然の感想)。
 フッ素ゴムやシリコーンゴムは二次加硫(アニーリング)してモノマーや揮発性の薬品を熱で飛ばす工程が必要なことが多い。

6.品質管理
 ここからは他のメーカーと同じように試験や評価をしてクリアすればOK

4.まとめ

こんな感じで簡単にゴムについて語りました。ゴムの魅力を語れていない気もしますが、個人的には配合設計が楽しいと思いますね。最も、ゴムの分子構造の設計もすごい楽しそうです。

個人の感想で語ることが多かったですが、こういう回を設けるのもいいなって思いました。以上のことで、どれかピックアップして詳しく話したいこともありますし、ゴム以外にもゲルやプラスチック、ペプチドやタンパク質のことも語りたいですね。

今日よかったこと
・親戚の家に遊びに行った。食事もおいしかった(小並感)
・親戚の畑作業を手伝いして、いろいろな知識を教えていただけた。
・苦手な野菜や果物を以前より多く食べられた。よく吐かなかった。

それではおやすみなさい。明日も良い1日を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?