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カメラの師匠との対談記(前編)~モチベーション維持について~

私のカメラの師匠(と勝手に尊敬している)ダイソンさんとお話させて頂く機会に恵まれたので、内容を元に2本記事を書いてみようと思います。

前編では、お互いのプロレス、そしてプロレスカメラに対するモチベーションについての話題から、その内容と私自身で考えたことについて書いていきます。

観戦やカメラに対するマンネリ化

ダイソンさんのお話であった、

「『撮りたい写真』というものがあって、その像を追っかけるだけになっている」

というところが本稿の幹になります。

氏のTwitterアカウントをご覧いただければと思いますが、実力はプロレスカメラアカウントのアルファと言って差し支えない、一流(アマ)カメラマンです。

その実力をもってすれば、撮りたいと思う写真を撮ることは、私と比較すれば確度高く行えることと思います。
ある意味理想の状態ではありますが、裏を返すと「期待以上が期待できない」というマンネリ化を生んでいる状態です。

その場での会話では、如何にしてモチベーションを保つのか、復活させるのか、について意見を交えました。

方法①:座席を変える(ダイソンさんの場合)

プロレスの試合を撮影するにあたって、一番最初に気にする点は「座席の位置」です。

それなりに力を入れている方であれば、「この場所がいい」というポイントを会場ごとに抑えており、いち早くチケットを確保することも作品作りの一歩であると捉えられます。

過去にダイソンさんが書いた記事にも、座席について言及したものがあります。(以下、当該記事の内容を元に記述しますので、ご一読いただくとよいかと思います)

後楽園ホールの定番と言えば、正面となる「南側ひな壇」です。
私の印象では、ダイソンさんは「I列以降から望遠」で撮っているイメージがありました。

この件と、先ほどのマンネリの話が絡むのですが、ここで昨年バズを産んだ作品をご覧ください。

この一枚、どこから撮影されているでしょうか。
何を隠そう、先ほどの記事には言及がなかった「後楽園ホールの東西席」から撮影されています。

自分の期待以上の出会いを求めるとなると、それまでの方法・メソッドを時に捨てることも必要なことと思います。
結果として、南側ひな壇とは視点が異なる席から撮られたこの一枚は、プロレス界にとどまらず、多くの方の目に留まることとなります。

少し変化を付けることで、モチベーションを維持することの大切さと、それまで培ってきた実力の掛け算の大きさを思い知りました。

2021年1月4日の東京女子プロレスでも、東側から撮影されていました(私はダイソンさんの2段下の同じ列の席でした)。

方法①:座席を変える(たかはしの場合)

私の方法論は、正直決してオススメできる内容ではないのですが、概ね上記のものと同じでした。

私が取った方法は、「チケットは当日購入、もしくはランダム」です。

・当日購入
当日購入にした理由はスケジュールの都合などもあるのですが、「その日に空いている席」という縛りの中から一番マシな席で撮影したかった、というものがあります。

自分のお気に入りの席から、いい写真が撮れるのはある意味当然です。しかし、自分が望んだ訳ではない席からではどうなのか。
いい写真が撮れないのは席ではないから、という言い訳もできますが、「どんな席からでもいい物撮れないのか」という自分自身への挑戦です。

・ランダム
席がランダムって何だよという話ですが、これはプロレス界でのあるシステムを利用したものです。

プロレスのチケットを購入する方法にはいくつか手段がありますが、そのなかに「選手取り置き」というものがあります。
プレイガイドなどのように手数料がかからず、当日清算で前売り料金可能というものですが、時折トラブルの元になるシステムです。

このシステムは、「推しの選手が他団体参戦するとき」に最も効果を発揮します。
なぜかといえば、どの選手が何枚チケットを売ったのか、直接運営が確認することができるので、選手の人気バロメーターとして用いることも可能です。つまり、自分の推しが自分の力でチケットを売った証跡を残す、という貢献ができるのです。

一方でのデメリットに、「チケットを受け取るまで席が確認できない」というものがあります。ここがランダムと表記した所以です。

でも大丈夫。困難な座席だったとしても、それは課せられた試練です。
コーナーポストとリングカメラマンで邪魔されようが、会場のライトが条件最悪だろうが、会場の端っこの席だろうが、レンズと合わなかろうが、その席は自分が推しに取ってもらった席です。黙って撮るのです。

ちょっと頭おかしいなと書いていて思いますが、ある意味モチベーションになっていました。

そんなチケット取り置きでの作例を一つ。

方法②:プロレス以外を撮影してみる

これは共通で出た方法ですが、「せっかくいいカメラ持ってるなら、沢山使わないともったいない」ということで、カメラを持って出かけることです。

水族館、花、イルミネーション、街中etc…
被写体は世の中に溢れるほど存在します。すこし視点を変えて、色んなものの美しさに触れて、写真に収める。

そうすることで、普段の撮影スタイルでは得られない経験をして、カメラの魅力を新たに知ることが出来ます。
またそこで知った知識や方法論を、プロレス撮影へと還元できれば100点満点。

方法③:人と話す

これはダイソンさんと会話してみての実感です。

カメラの設定がどうのという話もさることながら、自分と他人との考え方や捉え方の違いに関して、客観的に見る機会となりました。

撮影時に徹底的に追い込むのか、レタッチありきでバッファを持たせておくのか。表情を抑えるべく寄りで撮るのか、全体としての調和を含め引きで撮るのか。
同じ会場で同じ試合を撮っていて、カメラの質が上がって個人差が少なくなったとはいえ、100人いれば100通りの写真が出来上がります。
自分の方向性や方法論が分からなくなったら、誰かと話して何かポイントを拾いに行く、という「どんなことにも共通して大切なこと」も必要だなと思いました。

さいごに:作品を出すことの意義

私がnoteという媒体で色々発信する理由の一端を、深く考察されている良記事がありましたので共有します。

何のために写真を撮るのか。そして「瞬間的に消費されてしまう虚しさ」にどう立ち向かうのか、はたまた立ち向かう必要はあるのか。

本稿では触れませんが、もっと深いところにモチベーション維持に関するポイントがありそうなので、いずれ記事にしてみたいと思っています。

次回ですが、ダイソンさんとの対談記後編、「応援のカタチと女子プロレスにおける横断幕論」を書きたいと思います。
主張が強くなってしまうので保留していた内容ですが、今一度整理して挑戦してみます。

それでは。

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たかはしあさぎ
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