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勉強①猫風邪
勉強のために調べたことを書いていこうと思う。
初回は猫風邪。
ナツが鼻水とくしゃみを最近するようになり、現在治療中。
臨床的には上部気道感染症(いわゆる猫風邪)と呼ばれることもあり、猫カリシウィルス(FCV)、猫クラミジア(Chlamydia felis)、ボルデテラ(Bordetellabronchiseptica)と混合感染も多くみられる。
罹患率は少数の健康な母集団では1%と少ないが、多数の症状がある母集団では20%と多いため、シェルターや保護猫施設などでは大きな問題となる。
上部気道感染症の症候は、倦怠感、食欲不振、結膜充血、漿液性~粘液膿性の鼻および眼からの分泌物、唾液分泌亢進が認められ気管支肺炎により、呼吸困難や死に至る場合もある。
子猫の場合は死亡することもある。
一次病原体として猫ヘルペスウィルス1型(FHV-1)、猫カリシウィルス(FCV)、猫クラミジア、ボルデテラ菌、マイコプラズマの上部呼吸器における感染により引き起こされる。
一次病原体により障害を受けた組織で二次病原体が増殖し、病態が悪化する。
多くの病原体が似たような症状を引き起こすとともに、混合感染が多いため、臨床症状だけからでは確定診断は難しい。
角膜潰瘍が認められた場合はFHV-1感染、潰瘍性舌炎が認められた場合はFCV感染、浸出物が膿性であった場合は細菌性感染も起こっていることが示唆される。
検査のための材料採取は、必ず治療前に行う。
無菌的に口腔、鼻腔、結膜スワブなどを採取し、検査を実施。
細菌培養、PCR検査による遺伝子検出、ウィルス・クラミジアの分離が有用。流行が起きて重篤な症状が認められる場合、PCR検査で陰性となった場合は、新規呼吸器の可能性も考えて分離を行う。
軽度の場合は自然治癒するが、症状が重い場合は治療を実施する。
FHV-1感染による角膜炎、重度の結膜炎、潰瘍性顔面皮膚炎の場合は、ファムシクロビルの経口投与を行う。
FCV感染症の場合は、組換え型猫インターフェロン-ωの投与も有効。
重度の細菌感染症の場合は、ドキシサイクリンの経口投与が第一次選択である。
予後は移行抗体のない子猫は重篤となるが、多くは回復し、後遺症も残らない。回復した猫であってもFHV-1の潜伏感染、FCVの持続感染、常在菌として健常でも病原体を保有していることを忘れてはならない。
多頭飼育の場合は過密飼育を避け、適切な衛生環境を維持することが重要。
子猫には、コアワクチンの接種を最低3回行うべきである。
6~8週齢以降まで接種を行う。12ヵ月以内に(6ヵ月後が最適)に追加接種を行い、その後は、3年またはそれ以上の間隔をあけて再接種を行う。
注意事項として、ワクチンは症状の軽減である(ワクチンを接種していても軽度の発症はありうる)
FHV-1は回復後も潜伏感染し、FCVは回復後も持続感染する。感染源になり、再発もある。
健常猫でも検出されることから、検査結果は臨床症状などとあわせて総合的に判断する。
ストレスのない衛生的な飼育環境が最大の予防である。
次回は猫ヘルペスウイルス感染症を深堀する。