精神科医という仕事

 私は初期研修医を中断し、精神科の患者になった。退院後に実家に戻って療養生活に入り、そこで現在の主治医(B先生とする)に診てもらうことになった。B先生は優しく、始めから私を双極症として治療し、どんどん病状がよくなるのが驚きだった。そんなB先生に憧れて、私は精神科医という仕事に興味を持つようになった。しかし気分をコントロールしながら、難しく思える精神科医という仕事をこなすのは至難の業のように思われた。しかし医師免許はあるし、初期研修を修了しさえすれば精神科医のスタートラインには立てる。ダメで元々、失うものはない。私はとりあえず精神科医になる決意をした。
 1年半の長い療養生活の後、私は研修病院に復帰した。温かい言葉をかけてくれる先生が多く、何とか残り3か月の研修を修了した。そして私は精神科医になった。

 私は精神科医になって10年以上経つが、いまだにこの仕事の難しさを感じている。よい精神科医になるのはエベレストを登るような大変な作業です。B先生の目標は「ちょっとでもましな精神科医になる」と聞いたことがあるので、私もエベレストの頂上まで登るのは現実的に難しいけど、登る努力は怠らないようにしたい。

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