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2024年8月4日(日)

1枚の絵画

@兵庫県 神戸市

ゆるゆる寝起きも身支度サクッと済ませて家を出て本日オープンの新生ジャンクションカフェ、784ROOMへ11時15分到着、なべさんと合流。

何度もリノベのお手伝いで通って汗を流した。自分が作業にあたった部分が真っ先に目に入る。しみじみ。中に入る。

物販あれこれ、靴を脱いで奥の席に座って冷や汁セットを注文。物販でも取り扱っているこだわりな食材たちがそれぞれの料理に使われている。食前に出された麦茶は透明で香ばしさも残しつつやや甘味もあり驚きのおいしさでいきなり魅せられる。麦茶を作ったときのガラもひじきと和えている。ウリ科の野菜の白和え、白米とメインの冷や汁、お出汁が効いていて気持ちのいい味。最後はご飯の上に冷や汁をかける、食べきるのが惜しい。この食体験が塩屋でできることが不思議で仕方ない、旅行しに来ているような特別感。

食後のホットコーヒーで身体に熱を与える。カバンの中から『孤独先生』を取り出してなべさんに見せる。

するとなおみさん登場、まだ時間があるかどうかを確認したうえで一旦奥に戻る。オープン祝いのサービスのデザートでもあるのかなと考えていると、再び出てきたなおみさんの手には1枚の絵画が。阿部海太さんが塩屋に引っ越してきたばかりの頃、塩屋の夜の風景を描いたものとのこと。どこの風景を描いたものなのかはすぐに分かった。ジャンクションカフェと我が家とを往復する道中、坂道から海を望んだ光景に違いない。どことなくこの絵の雰囲気、全体的に濃いめのブルーな世界観は『孤独先生』の表紙を彷彿とさせる。

なおみさん曰く、この絵を所有するには僕がぴったりだとのこと。なおみさんは他にも海太さんの絵を有していて、その中でも『孤独先生』の絵の雰囲気によく似ているこの絵を、リノベお手伝いのお礼の気持ちとともにプレゼントしてくださったのだ。

思いもよらないプレゼント。言葉を失った。信じられない。胸いっぱい。ただただ、ありがとうございます。

その場にいた、大阪からお越しの阿部海太ファンの女性は、ここがかつてアトリエだったことを知らずに来店し、その事実を知って大いに驚いていた。

その方と自分、2人に共通するのは、自ら行動していったからこそ手繰り寄せた驚きであるということだ。

『孤独先生』を読んで感動してそのままであればそこまでだが、わざわざ高知まで出向いて出版に関わった方々と交流するという経験をし、その上で塩屋に住むという選択をし、ジャンクションカフェのリノベ手伝いをしに行くという行動をとった、私。

かたや、阿部海太さんの個展によく通っておられ、絵本の中の塩屋の風景と思われるシーンはどこから描いたものなのかを求め、直筆サイン入りの絵本を携えて大阪から塩屋にわざわざやってきた、その女性。

自分の選んだ道に間違いや遠回り、ムダなことなどないのだ。たとえそう思えるような選択をしたとしても、そこにかけた時間や味わった経験はきっと未来に生きてくる。

ジャンクションからheso.経由で海角へ、その道中のなべさんとの会話の中で「健全な負債感」というワードを思い出す。東京・国分寺のクルミドコーヒー店主の影山知明さんの著書『ゆっくりいそげ』の中に出てくる言葉。お互いに相手を消費対象としてしか見られなくなるとなんだか息苦しい。対して、ギブの連鎖、愛の送り合い、そんな関係性っていいよね。

数回間にわたるカフェのリノベお手伝いには、賃金は発生していない。しかし私はその場所が阿部海太さんの家だったということを知ったため、私にとっての特別な場所、愛を注げる場所になった。愛をもってリノベに関わる原動力となった。リノベ現場に毎回のように顔を出したなおみさんはいつも私の背中を押してくれた。なおみさんによる、リノベ従事者に対する愛が充満していた。その愛に対しても、愛をもってリノベに関わった。愛の応酬と呼ぶべき状態の中での酷暑下の連日の作業を経て完成した784ROOM。そしてなおみさんからのプレゼント。

この愛を還元したいという気持ちが大きく湧き上がる。まさしく「健全な負債感」。私と四国遍路、上林暁、そして塩屋。書きたい内容が次々と増えていく。表現の意欲が高まる。本を完成させていろんな人に読んでもらいたい、善行さんにも島田さんにも黒潮町の方々にも、海太さんやなおみさんにも。本を作ってイベントを開く、瀬戸でも、そして塩屋でも。孤独先生の原画展を開催して、トークイベントで海太さんと善行さんを呼びたい。ワクワクな気持ちがメラメラと再燃し出した。

なべさんと海角の舫書房さんへ、有吉さんとさっきまでの出来事を話す、ひとり出版社としての起業を考えている人がいるとか、耳寄りな情報を教えてもらう、風向きはこちらに利あり、このまま前に進むのだ。

2階に上がって個展を見て木村石鹸シリーズの新商品を買う。
海角を出てシオコレへ、まりさん今夜のライブ頑張ってください、かき氷代もなべさんご馳走様です、かつてシオコレの前には駄菓子屋さんなりあれこれお店が連なっていた、その頃からかき氷屋さんをやっていた、暑いのが好きだからねとのこと。

なべさんと分かれて帰宅、どっと汗が吹き出す、服を脱いで洗濯物を回す、オリックスは負けている、身体を休めて感情も休ませる。

お腹が減ってきたので焼きそばチンして目玉焼き乗せる、味噌汁に豆腐わかめ油揚げネギ入れて18時ごろのはやめな晩ごはん。

物干し竿から洗濯物を取り込む、バッタがくっついて来たが冷静に対処して外へ。それから家を出てheso.へ。

着くととても賑やか、イベントがない日なのにどのテーブルもワイワイ、しばらく隅っこでスマホいじいじ、ここまで賑やかだとDJの必要もない。あくまでも人数が少ない時に会話の隙間を埋めるためのBGMとしてDJをしているのだ。

少しずつ客が減ってくる、マップ前のテーブルの会話に入り込む、新婚夫婦のささいなトラブル話、夫は現在仕事をしていなくてメンタル不調になりがち、それが夫婦喧嘩の原因のひとつなのかな。

自分のこれまでの休職期間中にもたびたびなにかに当たりたくなるくらい不調な時期もあった。とはいえ自分は独り身、相手は世帯持ち、訳が違う、何も言えることはない、ただただ話を聞き、想像を働かせるのみ。
これから先そんなことが自分にもあるのかな、いやでもそもそもこんな自分のことで精一杯なのに、他の誰かのことを大切にできるものなのかな。
夫婦の中にはやはり自分のことで思い悩み、自分のことで精一杯なくらい不調な人もいるのだろう、そんなときに一番近い距離で支えることができるのがパートナーの役割なのか、と考えることもできるのか。ひとりでいたら至らなかった考えを知れてよかった。

あれこれ話をしてそこそこお酒飲んで23時をそこそこ過ぎてお開き、普段の生活圏内で起こったこの1日の出来事にしてはあまりにも濃密すぎる。本当に幸せなことだ。すぐ寝られる。


本日の1曲

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伊東ゆかり

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