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原因別浮腫のアプローチ方法
前回、浮腫の原因が何からくるものなのかという点をまとめさせてもらいました。
そこで今回は、その異なる原因に対してのアプローチ方法をいくつかまとめていこうと思います。
はじめに
前回の復習で、浮腫の原因は心臓や肝臓、腎臓などの内臓系からくるもの。
リンパ系、甲状腺機能からくるもの、薬剤や低栄養からくるものなど原因は様々です。
もう少し詳しくしりたい方はよければこちらからご覧ください。
心臓機能低下、血流低下に対する浮腫アプローチ
心臓は心筋と呼ばれる筋肉で構成されているため、心臓周囲の組織の柔軟性が低下していると心筋の柔軟性にも影響を及ぼし、心機能低下の要因の1つとなってしまいます。また、心機能が低下してしまうと血流低下の要因にもなってしまいます。
まず、心臓の位置関係と周囲組織について確認します。
心臓は胸部の中央やや左側に位置し,左右の肺と前後の胸骨と脊椎に囲まれ,下は横隔膜に接して存在します.高さとしては,胸骨第2肋骨から第6肋骨の間に位置します。
図1 参照: https://ameblo.jp/ykm24i-kisa/entry-11760999274.html
この位置関係を頭に入れた状態で、胸の周りに手を押し当てると弾力がある部分、ない部分があると思います。
弾力がない部分を見つけたらそこに手を当てて深呼吸をします。
深呼吸を繰り返すと手を触れている部分の動きが呼吸に合わせて大きくなってくると思うので大きくなってきたなと思えればオッケーです。
腎、肝臓機能不全に対する浮腫アプローチ
腎臓、肝臓は平滑筋という筋肉で構成されています。
そのため、腎臓、肝臓に対してのアプローチも心臓のアプローチ同様その周囲組織の硬さをとっていくアプローチとなります。
まずは位置関係から整理していきます。
肝臓は腹腔の右側で横隔膜のすぐ真下にあります。
上は横隔膜に接していて、下は胃、十二指腸、右腎などの臓器に接します。
腎臓は、左右一対からできていて、第12肋骨付近にあります。肝臓や胃の後面にあるため、お腹の深くにあり、背骨の近くに位置します。
また、右の腎臓に比べると左の腎臓の方が上にあります。
参照: https://jp.glico.com/boshi/futaba/no78/con02_02.htm
この位置関係を頭に入れておき、その部分に手を添えて深呼吸や、手を添えた状態で待ちます。
手が沈み込んでくる感じがあれば緩んでいる証拠なのでオッケーです。
また、腎臓に関しては、身体の後方にあり、背骨に近いため、腰周りのストレッチなども効果的でしょう。
甲状腺機能異常に対しての浮腫アプローチ
甲状腺は、自律神経とのつながりがあります。
そして自律神経は図のように背骨との関連もあるので背骨の柔軟性が出せるアプローチをしていきます。
参照: https://i-l-fitness-jp.com/aboutbody/nurve/index-jiritsu.html
背骨の柔軟性を高めるために、四つ這いで猫のように背中を丸めたり、そったりします。
ポイントは、一生懸命になって力んでしまわないように。
自分が気持ちよく動かせる範囲で動かしていきましょう。
リンパ由来の浮腫アプローチ
リンパのアプローチに関しては、特にリンパ節の硬さを取るようなアプローチをしていきます。
リンパについて詳しく知りたい方はこちらも読んでみてください。
リンパ節は、膝窩、鼠蹊部、おへそ、鎖骨下などにあります。
そのため、その周囲で特に硬くなっている部分をほぐすようにしていきます。
・膝窩部
膝の裏に手を当てて、膝の屈伸を緩んでくるまで繰り返します。
膝の屈伸は、早くやるのではなくゆっくり行いましょう。
・鼠蹊部
鼠蹊部の硬くなっているところを見つけたら1番そこが緩む位置に調節して待ちます。
深呼吸をしたり身体を揺すったりするのもいいです。
・おへそ
おへそに手を置き深呼吸をします。
緩んでくる感じがあればオッケーです。
・鎖骨下
鎖骨下をマッサージします。
強くやると痛いと思うので優しく、ジワーっとほぐれる感じで触りましょう。
また、左の鎖骨下は、両下肢のリンパも流れてくるため、念入りにほぐすようにしていくといいでしょう。
さいごに
今回は浮腫に対しての原因別アプローチをいくつか紹介しました。
このアプローチ以外にも浮腫を改善する手段はまだまだあると思います。
患者さんの浮腫が何が原因なのか、しっかり評価して、その中でどのようなアプローチができるか今一度考えて臨床に臨んでいきましょう。
感謝・謙虚・敬意
意志堅固
西條 貴則