風俗嬢から見る性産業
森田誠也さんという方の書いた記事です。PDFでどなたでも読むことができます。セックスワークとセックスワーカーの置かれた状況について書かれています。
私は30代のうち5年ほどデリヘル嬢として過ごしていました。
この仕事はだんだんいろんなものが麻痺していきます。
残ったのは男性に対する憎しみだけでした。
風俗嬢になってから、3つのことが起きました。
・借金返済のために働き出したのに散財する
金銭感覚の麻痺ですね。
私は障害由来からか、お金の使い方がド下手です。
だからこそ自己破産に陥ってしまいましたし、当時も親に迷惑をかけてはいけないと焦り『短時間で高収入で保証がある』という文句につられて風俗に足を踏み入れました。
保証なんてなくて、客がつかないときは「交通費として2千円」だけ渡されました。
当時から精神障害者で勤怠が安定しなくて職を転々としていた私には自由出勤の風俗店はありがたかった。
ですが収入がある程度安定し時間が立つと、新たに借金も重ねました。
買い物依存症も併発してしまって、完全に収支のコントロールを失いました。
結局、辞めるとき借金は残ったまま。
・自分が自分でない感覚に陥る
解離状態ですね。
接客中は私ではない『源氏名』として生きてました。だから私ではないなにかに押し付けて、私はあの時間を乗り切ってた。
そのうち接客中だけじゃなく、ほぼ私じゃない時間が増えていきました。
当時付き合ってた彼氏の前でも本当の私ではいられなかった。
嘘をつかなきゃならなかったから。
全てに現実感がなく足が地に着いていませんでした。
病院の先生の前くらいでしたね、私でいられたのは。
・拒んでいた本番行為(つまり性行為)に抵抗しなくなる
本番行為を流すようになったきっかけは、抵抗したけど無理矢理挿入されたからです。
腕を拘束され、電話もできず、助けも呼べず。
私の勤めていたデリヘルは主にホテル派遣のホテヘルと呼ばれるタイプのデリバリーヘルスでした。
だから完全に密室だし、助けを呼んだところでスタッフが駆けつけるまでに時差がある。
中絶経験があったのでピルはずっと服用していたので妊娠の心配がなかったのは幸いでした。
そんな事が何度かあり、もう疲れたんです。
タトゥーはNG(NGにするとスタッフがその客を断ってくれる)のはずなのにタトゥーびっしりの客が来たときは、断ったら殴られるかもしれない…と恐怖で震えたのを覚えています。
だんだん本番行為を断る手間より、客が腰振ってさっさとイッてくれる方が楽だと気がついたのも理由の一つです。
今思うと他の嬢には申し訳なかったと思います…。
(ちなみにデリヘルは本番行為は禁止です)
森田さんの仰るとおり、性産業なんてなくしたほうがいい仕事です。
精神障害者でも勤怠安定しなくてもサポートしてもらえてある程度収入が得られる仕事ならそっちを選びました。
たまたま性的観念がバカだったから風俗の道に入ってしまった。
短時間で高収入だとしても、私みたいに自己管理できなかったり依存の傾向がある子にとっては、お金は泡銭でしかない。
管理する練習も必要なんです。
今の日本はそういうサポート制度が薄いんです。
生活保護を受けている今でさえ、金銭管理の指導をしてくれる担当がいない…。
メンタル面においても悪影響は必至です。
病気が悪化し情緒は乱高下、副産物として何年経っても男性との接触が気持ち悪くて仕方がないし、信じることができない。
頭では全ての男性がそうではないと思っても、本能で拒絶してしまう。
男は全員あのドス黒い欲望をぶつけてくる獣だと思わずにはいられない。
最近パパ活だったりホストやコンカフェで借金を作って身体を売る子が多いそうだけど、本当に自分の身体をお金に換えるような真似はしたらいけないです。
すればするだけ心がすり減ります。
自覚がないだけで、確実に心は消えていきます。
自分を守れるのは自分だけ。
若いうちは刹那的だったりするけど…。
男のドス黒い欲望に踏みにじられていい時間じゃない。
誰か親しい人と楽しい時間を過ごすべきだし、生きるための知恵をたくさん得る時間にあてるべきなんだよ。
性産業だけはダメ。
デジタルタトゥーどころの話じゃない。
心に刻まれるタトゥーだから。
あらゆる場面で苦しむ。
セックスワーカーなんて地位を確立されていいものじゃない。
男の奴隷
社会の奴隷
一部の女性が被害に遭わないための生贄
それが性産業という地獄。