声優の"耳"といえば?
我々の業界用語で"耳"といえば、ヘッドホンやイヤホンのことを指します。
吹き替えの仕事が主戦場の人あるあるなんですが、ついうっかり習慣でアニメの現場でも"耳"をつけようとしちゃうこともあったりして。
吹き替えの場合は、収録時に原音を聞きながらやるのでイヤホンなりヘッドホンを必ず装着するんです。なのでスタジオ入って準備する流れで耳を用意するんですね。私は持参のイヤホン派でございます。スタジオのヘッドホン派とどちらが多いか気になるな。
一方アニメはまっさらな状態から作り上げているわけで、原音なるものはない。だから耳は必須ではないんですが、最近は分散収録なので先に収録した人の声を耳に返してもらいながらテストすることも増えましたかね。
あ、番組ナレーションや企業VPとかも映像があるから耳を使いますね。なんやかんやで我々の現場に耳はある意味欠かせない存在です。
さて。実はこの記事を書くにあたり「利き耳」というのは本当にあるのかと、ふと疑問に感じたので調べてみることにしました!!手は左右の動作で差異がある人も多いでしょうし利き手は実感しやすいと思うのですが、果たして利き耳なるものは存在するのだろうかと。
私の場合、利き耳は?と聞かれても凄く迷うなと思ってしまったんです。自分にとってのベストは原音を左耳で聞き、右耳で共演者の生の声を聞く。右耳は開放させておきたいという感覚です。
余談ですが、私の場合両耳を塞ぐ事が苦手なんですよね。外を歩いている時、基本耳を塞ぐことはありません。歌収録があったりする日はその楽曲を聞きながら移動したりもしますが、左耳イヤホン・右耳開放です。何かの事情でイヤホンする側が違っても必ず片方は何もつけていない状態にしています。
話を元に戻しますが、そんなわけで利き耳について調べてみたところとっても面白いことが分かりましたよ!
人間の左脳には、ウェルニッケ野という感覚性言語野があるんだそう。音を「言語」として認識するのは、その左脳にあるウェルニッケ野だということなんです。
さらに音というのは聞こえた方からその隣の脳にスーンと移動するらしく。
右耳から入った情報は
【右耳】→【左脳】→【ウェルニッケ野】
左耳から入った情報は
【左耳】→【右脳】→【左脳】→【ウェルニッケ野】
ざっくりいうとこんな感じになっていて、左耳から入った音を言語として理解するためには移動が増えてしまうということでした。
私ってば、ただの感覚的な違いで左右の使い分けをしていたけれど、実は理に叶った耳の使い方をしていたようです。五感の中で割と頼りにしてるのが昔から耳だったし何だか納得。
ん、アレ、でも待って?っていうか収録現場を思い出してみると、左耳にイヤホンなりヘッドホンをしている人が多いような気が……
まぁね、とはいえ「利き耳」なるものは人それぞれだという解説があったので私としてはソレを推したいと思います。仕組みを知って今の自分に当てはめて、だから自分はこうなのかと分かっていればいいんじゃないでしょうか。
そんなこんなで私は今後も右耳を開放し、共演者の魂のセリフをウェルニッケ野に素早く到達させてセリフをウェルニッケ野で情報処理してからココロで濾過して魂のセリフを吐くぞッッ
そして収録の時に耳を塞ぐのが癖になってるそこのアナタァァァァアア!!!!!!!開放してあげたら突然のレベルアップとか…あるかもですよ?